実現への第一歩は10mのミニチュア版から。
かねてより噂に聞いていた「宇宙エレベーター」計画。これは地上から高度35,786kmまで続くエレベーターを造るという、夢物語みたいな話でしたが……毎日新聞では、「9月に静岡大工学部が稼働実験を行なう」と報じています。
1895年来の夢「宇宙エレベーター」
記事にはこうあります。
実験では、静岡大工学部が開発した超小型衛星2基を使う。一辺10センチの立方体型で、長さ約10メートルのスチール製ケーブルで2基をつなぐ。これを国際宇宙ステーション(ISS)から放出し、2基の間のケーブル上で、エレベーターの昇降機に見立てた箱をモーターを使って移動させてみる計画だ。衛星に取り付けたカメラで、実際の宇宙空間でどう動くかを確認する
「宇宙エレベーター」を最初に提唱したのは、ロシアの数学者コンスタンチン・ツィオルコフスキーでした。彼は1895年にエッフェル塔を見て、この案が浮かんだのです。以降SFの世界で語り継がれる、夢の科学技術となりました。
本物は10万kmにも及ぶ
完成形の宇宙エレベーターは、静止軌道上にある衛星から超耐久ケーブル(これを構築する素材はまだ存在していないかもしれない)を地上に垂らすことで造られます。Wikipediaによりますと、その際、全体の遠心力が重力を上回るように、反対側(外側)にもケーブルを伸ばしたり、十分な質量を持つアンカー(いかり)を末端に設けるため、ケーブルの全長は約10万kmにも及ぶことになる、とあります。
この重力と遠心力がバランスよく保たれたケーブルをエレベーターが上下することによって、宇宙への旅をロケットより安く実現できるかもしれないのです。
かつて634mのスカイツリーを建てた大林組は、カーボンナノチューブ製のケーブルを使ってこのエレベーターを造ることに意欲を燃やしていましたよね。米Gizmodoは当時その技術(カーボンナノチューブの耐久性)について懐疑的な意見を持っていましたが……ホントのところ、どこまで大丈夫なのでしょうねぇ?
種子島からH2Bロケットで
超小型衛星は9月11日、他の小型衛星などとともに鹿児島県の種子島宇宙センターからH2Bロケット7号に乗せて打ち上げられる予定となっています。
テストは是非とも成功して欲しいものの、超長距離間で電気を通すこととか、隕石で穴が開かないかとか、これから心配事はいろいろでてくることでしょうね。まずは11日の打ち上げに注目しましょう!
「次の階は、宇宙です」
Source: The Mainichi, 毎日新聞, Phys.org
Reference: Wikipedia