Fitbit Charge 3レビュー:「ベーシックなフィットネス・トラッカー」というコンセプトが時代遅れでは

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  • author Harrison Weber - Gizmodo US
  • [原文]
  • 塚本 紺
Fitbit Charge 3レビュー:「ベーシックなフィットネス・トラッカー」というコンセプトが時代遅れでは
Image: Harrison Weber/Gizmodo US

Fitbit、今後はスマートウォッチに転向か。

フィットネス・トラッカーを一気に普及させたFitbitが新しくリリースしたCharge 3。スマートウォッチがどんどんと台頭してくる中でFitbitは「ベーシックなトラッカー機能を洗練させる」という方向性でアップグレードをしてきました。しかし米GizmodoのHarrison Weber記者は「ベーシックなフィットネス・トラッカー」というカテゴリー自体が魅力を失っているのでは、と指摘しています。以下、Harrison Weber記者です。


Fitbitが世に出しているプロダクトは体重計、スマートウォッチ、ワイヤレスヘッドフォンと多岐にわたります。しかし彼らの目玉商品はやっぱりフィットネス・トラッカーです。Fitbitのトラッカーはこれまでに数千万台も売り上げています。最近ではフィットネス・トラッカーに対する消費者の関心少しずつ薄れつつあるものの、新モデルは次々に発表されています。

そんな中、Fitbitによるトラッカー・シリーズでもっとも人気なモデルであるChargeは、今月アップグレード版が発表されたのでした。タッチスクリーンと耐水機能が搭載されたこの新バージョンですが、かなり素晴らしいプロダクトと言えます。「とにかくカジュアルなフィットネス・トラッカーが欲しいだけ」というユーザーには最適です。新しいディスプレイは使用感も向上されています。「水泳耐性(swimproof)」デザインと名付けられたデザインは、汗やシャワーでも安心なガジェットとして進化しています。毎日のエクササイズにつけるデバイスとしては必要な機能はすべて備えてくれているんです。しかし一歩下がって考えてみると、ちょっとためらってしまう部分もあるんです。

プロダクトとは関係なく、そもそも2018年になってベーシックなフィットネス・トラッカーって本当に必要なの?という疑問です。

Fitbit Charge 3

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Image: Harrison Weber/Gizmodo US

これは何?:タッチスクリーン対応・耐水性になったフィットネス・トラッカー

価格:150ドル(約1万7000円)

好きなところ:タッチスクリーン対応で超操作しやすくなった

好きじゃないところ:退屈

Fitbitファン、フィットネス・トラッカーファンにとってCharge 3に150ドルを払うのかどうか、というのは実は簡単な質問ではありません。フィットネス・トラッカーの機能をさらに向上させることができる、と今回のアップグレードで証明してくれたわけですが、スマートウォッチの性能も同時に大きく進化してきました。と同時にスマートウォッチの価格帯は下がってきていますよね。そんな中でFitbitのトラッカーはその魅力をキープできているのか?というのは深刻な疑問なわけです。

スリム化しスクリーンは明るく大きく、バッテリーも充分

タッチスクリーンと耐水性以外にも言及に値するアップグレードはいくつかあります。

Charge 2よりもスリムになっており、スクリーンはより明るく、大きくなっています。Fitbitによると大きさは40%大きくなっているとのこと。側面のボタンはまだ存在していますが、電磁誘導式のオンオフであり隠された形になっています。反応もよく、親指でちょっと押すだけでズズッと反応してくれます。

Fitbitによるとバッテリーも7日間は持続するとのこと。私もデバイスを入手した日だけ充電して事足りました。タッチスクリーンはどの角度から見ても明瞭ですが、色の表示はできません。これは特に問題ではありませんが、退屈なのはまぁ、間違いありません。特に誰かがメッセージで絵文字を使ってきたときはこの退屈さが鮮明になります。

心拍数のトラッキングも向上されたとのこと。そして血液中の酸素量を推測してくれるSpO2センサーも搭載されています。Fitbitによると、このセンサーによって「睡眠時無呼吸症候群といった新しい健康に関する指標をトラッキングできる」ようになるとのこと。個人的には何かを腕に取り付けて寝るのは大嫌いですが、もしそれを厭わなければ、通常のサイクリング、水泳、ランニング、ウォーキング、ヨガ、といったエクササイズに加えて睡眠状態もトラッキングできます。

ガジェット自体には呼吸ガイドや天気、タイマー、アラームといった“アプリ”が複数搭載されています。こんな小さい画面でアプリ操作とか...と思いきや、操作はかなり簡単で驚きました。だからと言ってさまざまなことが試せるわけではありません。あくまでも、フィットネス・トラッカーであってスマートウォッチじゃないですからね。

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(左)?の絵文字を醜く表示するCharge 3、(右)少し大きめに感じられるCharge 2
Image: Harrison Weber/Gizmodo US

毎日のフィットネスに関するニーズを満たしてくれるか、という点ではCharge 3はほぼ満点でしょう。これで何かが物足りない、と感じるユーザーが本当に欲しいのは、これよりももっとスマートなデバイスや何かに特化したデバイスではないでしょうか。たとえばランニングのためには私個人はGPS、GLONASS、ケイデンストラッキング、そしてStrava対応であって欲しいと思っています。これらすべてがCharge 3に搭載されていたらもちろん素晴らしいですが、それをカジュアルな毎日のフィットネスデバイスで、しかも値段が150ドルというデバイスに求めるのは無理難題というもの。

機能的にはいいんだけど…

以前の私はちょっと違った考えを持っていました。

ちょうど数ヶ月前の時点でも、Charge 3からGPSがない、という情報に対して「大きなロス」と反応しています。その結果、GPSを求めてGarminウォッチを試すに至ったわけですが、こうしてCharge 3を数週間試してみて分かったのは、何か一つの機能が欠けていることが問題ではないということです。フィットネス・トラッカーはほぼすべてが、今となっては退屈なデバイスに思ってしまう、それが私の懸念です。というのもスマートウォッチはフィットネス・トラッカーのシェアをどんどんと侵食しているわけです。Charge 3は文句なしに2よりも良くなっているものの、ベーシックなトラッカーをより楽しいデバイスにする、という点では何も変更はありません

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Image: Harrison Weber/Gizmodo US

日常生活におけるCharge 3の着け心地としてはごく一般的なトラッカーと変わりません。Charge 2やWithings Steel HR Sportとも変わりません。私は朝起きると装着し、電話が震えて通知がCharge 3にも表示されたときや、1時間ほど座りっぱなしなとき、時間をチェックするとき以外はCharge 3の存在は忘れることができます。エクササイズを検知するだけでなく、どんな運動をしているかも自動で検知する機能を持っています。手動でランニングを開始することもできますが、いきなり走り始めて終わった後にそれを知らせることもできるのです。使い慣れるまではこれはいまいち信頼できませんでした。頑張って運動をしたのに、ちゃんと検知してくれなかったらどうするんだ、という具合です。しかし宣伝通りにちゃんと機能してくれました。

次に見た目ですが、私がSteel HR Sportを付けていたときはそのデザインについて褒め言葉を人からもらったものですが、Charge 3に関しては褒め言葉をもらうことはありませんでした。Fitbitはこの数年間に、トラッカーを目立たなくさせるデザインを洗練させてきましたので、その成果とも言えるかもしれません。見た目は問題ないですが、もう少しカッコよくても良いかなというレベルです。

先週の土曜日には、Charge 3を付けて人生初のハーフマラソンを走りました。時間をトラックする、そして1万歩踏むたびに震えて教えてくれる、という点は最初から期待していた性能でしたが、スマートフォンのGPSなしに距離を正確に測るという点では期待していませんでした。しかし数字はなかなか正確で驚かされました。私の歩数と歩幅の長さの推測から計算された推定距離は実際の距離とわずか0.78マイル(1.25キロ)しかずれていませんでした。

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左がCharge 2、右がCharge 3
Image: Harrison Weber/Gizmodo US

個人的に生じた問題点としては、他の人たちも指摘しているように、Charge 3で天気をシンクさせるのが難しかったです。デバイスのアップデートをした際にはその問題も直ってしまったのかと思いましたが、数日後には同じ問題が生じました。

フィットネス・トラッカーを通じて、毎週どれだけの歩数を歩いたかを見られるのは良い体験です。オプションとして設定できる、時間ごとに動くことを促す通知のおかげで、数千歩多く稼ぐことができたように思います。しかし同時に無視するのも簡単だと感じるようになりました。値段の高いApple Watchのようなデバイスが持っているモチベーション向上機能を使ったときと比べると、習慣として確立するのが難しいのです。アプリを通じて、自分の成果を友人たちと比べられます。これは楽しい要素ではあるものの、家族や友人がFitbitを使っていた数年前と比べると、参加している知り合いが一気に減ってしまっています。彼らの多くはスマートフォンやより特定の機能に特化したデバイスへと移行したわけです。そのためアプリが持っているソーシャル面の機能は使うことはありませんでした。もちろん、まだ多くの人がFitbitを利用しているため、人によっては異なる体験をしていることでしょう。

毎日使うトラッカーとしてはCharge 3は必要な機能をすべて備えています。しかし他のデバイス同様、「もっとこういうことができれば」と思えるのも真実です。Fitbitはアスリートたちが抱える何らかのニッチなニーズに答えることで、拡大するスマートウォッチの進出にChargeモデルで対抗することができるのかもしれません。しかし現状では毎日のベーシックなフィットネス・トラッキングを用途としており、その点で何か目覚ましい新しい機能を生み出しているわけではありません。これはますますフィットネス・トラッカーの利用者を減らす方向性と言えるのではないでしょうか。

フィットネス・トラッカーというジャンルが時代遅れなのかも

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Image: Harrison Weber/Gizmodo US

Fitbitはアイデアがなくなって苦しんでいるのでは?と考えている人も多いかもしれません。昨年は200ドルでスマートウォッチ「Fitbit Versa」を出しています。また古いデザインを再パッケージして、親が子どもにプレゼントするプロダクトとして売り出すということも行っています。Charge 3のプレスリリースを読んでみると、フィットネス・トラッカーが今でも重要であることをなんとか説得しようとフラストレーションを沸き起こしている様子が伝わります。

もちろん、フィットネス・トラッカーは未だに多くの人に利用されています。それはマーケットをほぼ独占しているFitbitが一番よく理解しています。しかし売上は落ちています。Fitbitが収益を落としているのもそのためです。しかしスマートウォッチの売上から来る収益というのは伸びています。Versaも良い売上を見せています。Fitbitは「Fitbitの歴史上もっとも早く売り上げているプロダクト」と形容しています。

一つ言えることは、昔ほどはフィットネス・トラッカーが魅力的なデバイスではなくなったということです。もはや時代遅れになった、と私は思います。もちろん、反対意見を持つ人は多いでしょう。

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上がCharge 3、下がCharge 2
Image: Harrison Weber/Gizmodo US

古いバージョンのChargeを気に入っていて、新しいモデルに買い換える時期だな、と感じている人にとっては古いバージョンがCharge HRであれCharge 2であれ、今回のCharge 3は良い買い物となるでしょう。フィットネス・トラッカーを使ったことがなくて、ただどんな物か試してみたいと思うのであれば、このプロダクトが満足させてくれるかもしれません。しかしマーケットの流れは既にスマートウォッチに向かって変わってしまいました。Fitbitが今後どのような変更を加えようと、それを変えることはできないように思います。今ではトラッカーのセールスポイントは値段に集約されつつあります。今でこそ値段を理由に高級なトラッカーやスマートウォッチの購入を控えているユーザーもいるでしょう。そして値段が大きな要因であれば80ドルのFitbit Altaや130ドルのAlta HRのほうが良いかもしれません。

それでも150ドルでもCharge 3の価格設定はフェアーなものに思えます。これはカジュアルなフィットネス・トラッカーというジャンルを極めたプロダクトである、というのが私の論です。そのアプローチは数年前であれば魅力的だったかもしれませんが、2018年になった今となっては過去の物に感じられる、というだけなのです。

まとめ

・古いChargeが大好きであれば、新しいChargeも気に入るでしょう。でなければ退屈で寝てしまうかもしれません。

・驚くような新しいアイデアはありませんが、タッチスクリーンと耐水性はありがたいアップグレードです。

・Fitbitが出している低価格帯のスマートウォッチはもっと魅力的で、価格も200ドルとそれほど高くありません。

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