一子相伝の秘密の必殺技も数値化されちゃう時代、きますね。
製品そのものの開発だけではありません。ソニーはソニーCSL(コンピュータサイエンス研究所)という場で様々な基礎研究を行なっています。製品化前提ではなく、最先端の技術を編み出し、活用して、これからの社会にどう役立てるかを見据えていくテクノロジーの芽がここにはあります。
そんなソニーCSLのオープンハウスが開催されていたのでお邪魔してきました。
プロの指の動きをデータ化するHack Key

ピアノの練習は1日休むと3日前の技術に戻ってしまう、と聞いたことはないですか? 指の動きでわずかなニュアンスを表現する楽器演奏技術はそれだけセンシティブだ、ということをイメージさせる言葉なのでしょうけど、たとえ毎日弾き続けていたとしても体調やメンタルによって、演奏の出来栄えは大きく異なります。
昨日はうまく弾けていたのに今日はダメ。いったい何が違うのか。

その原因を探るのではなく、具体的に指の動きがどう違うのかを見て取れるのが「Hack Key」です。鍵盤を押し込んだタイミング、押し続け、指を離した時間を可視化する技術です。
テンポの違いや1秒間に何鍵弾けたのかといったスコアも可視化。普段からの演奏時のデータをとっておけば、スランプに陥ったときに名ピアニストだったときの自分の運指を確認できます。エビデンスに基づいた適切な身体の使い方を確認できる音楽医科学につながる技術なのですが、なんですか。これ音ゲー特訓機ですか。レースゲームのゴーストカーですか。

また世界的に活躍しているピアニストがデータ取得に協力すれば、多くの人のココロを震わせる情感こもった演奏技術を数値化できるということでもありますね。センシング技術によって、演奏中に指先だけではなく腕の、どの部分の筋肉をどれだけ使っているのかもわかっちゃうみたい。
もちろんピアノだけではありません。弦楽器の弦をどれだけ震わせているのか、管楽器でどれだけの息を吹き込んでいるのかも赤裸々です。うわ、デジタル社会って怖い!
でも現役を引退した方が自分の技術を誰かに継承する、または共有する目的で使うといったこともできそう...。

さらに、ストックした華麗な演奏技術をダイレクトに指先に伝えるパワードアームも作れるみたい。うわ、やっぱりデジタル社会って怖い! でもセンシング音楽教室があったら楽しそうだし通っちゃうかも。