命短し調べよリュウグウ。
小惑星リュウグウに2機のローバーを投下した小惑星探査機「はやぶさ2」ですが、10月3日、ドイツ航空宇宙センター(DLR)とフランス国立宇宙研究センター(CNES)が作った小型着陸機「MASCOT」の投下に成功しました。さらに、無事MASCOTがミッションを完遂したことがTwitterアカウントからも伝えられています。一人称でつぶやいているのがおちゃめ。
All done with work! Oh my... can that be right? I explored Ryugu for more than 17 hours. That is more than my team expected. Do I get paid overtime for this? #asteroidlanding
— MASCOT Lander (@MASCOT2018) 2018年10月4日
どんなプロジェクト?
MASCOTは「Mobile Asteroid Surface Scout」の略で、直訳すると「可動型小惑星地表偵察機」というニュアンスになります。
JAXAの説明では、大きさは0.3×0.3×0.2mの直方体で、先日投下された「MINERVA-II1」より少し大きめ。これがはやぶさ2の側面に格納されていました。バッテリーは太陽電池ではなく、内蔵されたリチウム一次電池によって動きます。つまり充電切れになると、そこで任務完了。寿命はたった16時間の想定でした。
靴箱のような小型機ながら、たくさんの機能が満載のMASCOT。広角カメラ(MASCAM)が周囲の風景を撮影し、底面の分光顕微鏡(MicrOmega)がリュウグウ表面の鉱物の組成や特徴を調査します。そして表面温度を測るための熱放射計(MARA)や、磁力計(MASMAG)も搭載。それらの計測器を駆使して、電磁放射や磁力、表面温度、そして多岐に渡る波長などをとらえ、分析結果を母機に送信します。
期待以上の成果をあげる
まず、MASCOTはリュウグウのおよそ51m上空から落とされるも、無事に着陸。落下中の写真も送ってくれました。「ワタシの影が写っているのがわかるかな?」とつぶやいています。
Hello #Earth, hello @haya2kun! I promised to send you some pictures of #Ryugu so here’s a shot I took during my descent. Can you spot my shadow? #AsteroidLandingpic.twitter.com/dmcilFl5ms
— MASCOT Lander (@MASCOT2018) 2018年10月3日
落下中に20枚もの写真を撮影し、着地から20分後にはやぶさ2とコンタクトを開始したMASCOT。プロジェクト主任のトラ・ミ・ホー氏いわく「これ以上ないほど素晴らしい着地だった」と話しています。
今回のミッションでは、寿命が16時間といわれていたのに17時間以上動けたり、一回しか使えないはずだったホッピング機能が予想外になんども繰り出せたりしたそう。ホッピング機能とは、内蔵アームをモーターで回転させて、最初の計測を終えると次の地点へと移動するためのものです。
宇宙での実験って、想定外の悪い事態が起きて思うように任務を進められないことも多々ありますが、今回はラッキーなことがたくさん起きたみたい。Twitterでは、はやぶさ2さんも成功を讃えています。はやぶさ2プロジェクト全体を通しても、順調に成功を重ねているから毎回ワクワクしちゃいます。これからのプロジェクトも頑張れー!
打ち上げからずっと深宇宙を旅した小さなスカウトは、一足先にリュウグウに降り立って、与えられた時間を目一杯楽しんだようです。
— 小惑星探査機「はやぶさ2」 (@haya2_jaxa) 2018年10月4日
きっと驚くような科学成果をあげてくれることでしょう。
探査機は名残惜しくもゆっくりと上昇を続けます。
おやすみ、MASCOT。リュウグウ表面でまた会おうね。
(IES兄)
(2018年10月5日 12:05 訂正)一部の表示に乱れがあったため、訂正いたしました。
Source: Twitter via JAXA, German Aerospace Center, BBC, AFP