Intel 5GHz 8コア16スレッド第9世代Coreプロセッサ「Core i9-9900K」レビュー:5GHzは論理的限界を超えた夢の数字

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Intel 5GHz 8コア16スレッド第9世代Coreプロセッサ「Core i9-9900K」レビュー:5GHzは論理的限界を超えた夢の数字
Image: Alex Cranz/Gizmodo US

CPU市場の製品ラインに異変が起こっているようですよ。

Intel(インテル)とAMD(エーエムディー)は昨年既存のプロセッサ製品ラインに手を加えることで次から次へと新製品をリリースし、しのぎを削ってきました。ある製品群では値段を下げ、別の製品群ではコア数を増加させたりスレッドを減らしたりと、動きが不透明で、はっきりしたポリシーもなく勝ち組がいない代わりに負け組もいないという、なんとなく新しいCPUが現れては消えるという感がありました。

おかげでCPUがずいぶん安くなったんですけどね。ただ、近年半導体産業が好調である見返りに半導体の原料となるシリコンが不足しファウンドリ(半導体製造工場)では製造を控えなくてはならなくなっているので、これからはプロセッサの値段が上がることが予想されますよ。今のところは、数百ドルも出せば、ネットを見たりワープロ機能を使ったりする一方で、高速な動きが要求されるようなゲームをしたり、高い処理能力が要求されるようなタスクもこなせるような、立派なCPUが手に入りますが。

IntelもAMDもプロセッサの販売を伸ばすには、普通以上の機能の提供を強いられています。そこでIntelの最新CPUの登場です。 8コア16スレッド、一般消費者向けの第9世代Coreプロセッサ「Core i9-9900K」を500ドル(5万5900円)でリリース。 これはIntelのターボブースト周波数が5GHzとなった初の機種となりました。これは速いだけじゃない。これまで業界が信じ込んでいた論理的限界を越えようとするレベルなんです。

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Image: Alex Cranz/Gizmodo US

Intel i9-9900K

これは何?

Intel初の公式5GHzプロセッサ。

値段は?

500ドル(約5万5900円)

好きなところ

高速なところ。昨年のIntelと同じソケットを使用しているところ。

好きじゃないところ

値段が高い。

ターボブースト周波数5GHzの意味

5GHzは「夢の数字」といっても過言ではありません。プロセッサの根本的な設計自体を大きく見直さなければ、叩き出せないような数字だったのです。ですが、Intelは今年はじめ、同じクロック数のCore i7-8086Kを限定版でリリース。かたやAMDは2013年にFX 9590をリリースしていますが、CPUは公称クロックレートを下回る感じで、一般には失敗作と言われています。 だから10月初旬にリリースされた初の5GHzプロセッサとなるi9-9900Kも、実際に首をかしげる数字が出たとしても驚くには値しない、というわけなんです。

対抗馬と比べると価格は倍

でも、Intelが発売する初の5GHzプロセッサは、誰もが買えるものではありません。限定版ではないのですが。競合AMDの「Ryzen 7 2700X」(280ドル/3万1300円)のおよそ倍の値段をつけられています。Ryzen 7 2700Xも8コア、16スレッドですが、ターボクロックの速度は少し遅く4.3GHzとなっている一方、ベースクロック速度は3.7GHzとIntelの3.6GHzよりも速くなっています。熱設計電力は105Wで、i9 9900Kの95Wと比べると少し電力を食います。

比較相手は近しい製品である「Ryzen 5 2600X」と先行製品、そして怪物CPU「AMD Ryzen Threadripper 2950X」

残念ながらベンチマークスコアをまとめるときレビューに使用したAMDプロセッサが破損していたため、直接2つの製品を比べることはできませんでした。なので、それに近い製品である、6コア/12スレッドのRyzen 5 2600X(小売価格190ドル/2万1000円)、i9 9900Kの先行機6コア/12スレッドのi7-8700K(370ドル/4万1000円)、AMD Ryzen Threadripper 2950Xの日常的なタスクにおけるパフォーマンスを比較してみました。

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Image: Alex Cranz/Gizmodo US

AMD Ryzen Threadripper 2950Xは、たっぷり馬力の16コア/32スレッド。 TDP(熱設計電力 = CPUをフルに使ったときの消費電力)は180Wも必要とされ、お値段も900ドル(10万600円)と張っています。8月のリリース時に、AMDは370ドル(4万1000円)のi7 8700K(i9 9900Kの発表前)とは比較せず、TDPが165Wである16コア32スレッド1300ドル(14万5000円)のi9-7960Xと比較していたほどです。

数字の羅列が続きますが、よく見ると比較は簡単です。それぞれのプロセッサの価格は大きく異なるため、価格よりもTDPを比較するのです。使用する電源は変えられないため、TDPは大切な要件となります。ですが、マザーボード、冷却、筐体など、その他のコンピュータの要素は、プロセッサの電力要件ではなく、そのアーキテクチャにも大きく左右されます。上記で書き連ねたプロセッサはすべてそのアーキテクチャが異なるのです。また、いずれも異なるソケットを必要とするため、マザーボード、冷却、メモリすら異なってきます。購入する段になったら「価格」と「必要とされる速度」、このふたつを考慮するとよいでしょう。

ゲームでは大差なし。GPUのほうが重要

ゲームをするためのコンピュータがほしいなら、プロセッサは190ドルでも900ドルでもさして大差はないでしょう。 グラフィックカードにNvidia 1080を搭載したマシンで『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VI - Civilization® VI』や『ライズ オブ ザ トゥームレイダー』を最高のセッティングの4Kでプレイしてベンチマークをテストしたところ、各製品間における差はほとんどありませんでした。画像処理装置であるGPUのほうが、CPUよりもゲームパフォーマンスには影響を与えるようです。

『ライズ オブ ザ トゥームレイダー』の平均フレームレート(FPS)

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高ければ高いほどよい
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『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VI - Civilization® VI』のフレーム当たりのレンダリング所要時間(ミリ秒)

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低ければ低いほどよい
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『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VI - Civilization® VI』のフレーム当たりのレンダリング所要時間(ミリ秒)

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低ければ低いほどよい
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日常動作でもそこまでの差はない

合成ベンチマークでは、Intel製品が競合であるAMDをしのいでいるようでした。これはGeekbench 4やWebXPRTなどの合成ベンチマークはIntelが有利になるようになっているのが原因のようです。(AMDはこれを認識し、苦言を呈しています)

Geekbench 4でのマルチコアスコア

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高ければ高いほどよい
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Geekbench 4でのシングルコアスコア

3-2
高ければ高いほどよい
Image : Alex Cranz/Gizmodo US


WebXPRT 2015での獲得スコア

3-3
高ければ高いほどよい
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Photoshopで画像をリサイズしてRAWファイルをJPEGに変換する時にかかる秒数

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速ければ速いほどよい
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これらのベンチマークはウェブのブラウジングなどの日常動作におけるパフォーマンスを示すものです。プロセッサに100ドルも投資すれば、十分快適なパフォーマンスが得られ、メモリやストレージの速度により、そのパフォーマンスはさらに改善されます。これはPhotoshopのテストを見れば明らかです(上掲)。RAW画像をJPEGに変換したときにかかる時間を測りましたが、その結果はほとんど変わりませんでした。

3Dレンダリングや動画変換などの過酷な処理で怪物CPUに匹敵

価格帯が190ドルから900ドルまであるCPUすべてを比較して違いが見られたのは、もっとも過酷なテストであるBlenderで3D画像がレンダリングされるのにかかる時間の比較と、4K動画を1080pに変換するのにかかる時間の比較でした。このふたつのテストでは、いずれもすべてのコアとスレッドをフル活用します。CPUで違いが見られたのはこのふたつのテストにおいてでした。この結果は期待されたとおりのものでした。TDPは似たり寄ったりでもコアとスレッドが同じAMDプロセッサが、それよりも値段が高いIntelに勝っていたのです。

ただし、i9 9900Kは例外です。こちらのプロセッサは超高速で、性能では400ドル以上も値段が高く、TDPもコアもスレッドもほぼ倍であるAMD Ryzen Threadripper 2950Xに性能では匹敵するほどです。

ですがレンダリングが必要でないほとんどの人にとっては、実質的な利益はほぼないと考えてよいでしょう。普通に使っている範囲内ではi9 9900Kからは値段相応の利益が得られないということです。AMD製品の中には速度は倍近いのにお値段は半分というものもあり、これらはお得。 これはi9 9900KとThreadripperとの比較でも同様でした。ここまで比べないとわからないとは! 消費者も迷うわけです。

一般人はi5かRyzen 5でいいってことです

で、どれが買いかって? ほとんどの人には、最新のi5かRyzen 5がお勧めです。それでじゅうぶん。予算に合わせて選ぶべきです。ただし、Threadripperレベルのレンダリング速度が必要な人には、 i9 9900Kの半分の値段で買えて同じ性能を活用できるプロセッサあたりが賢い選択でしょう。

どんなプロセッサが必要かを判断するのは難しいものですが、どんな価格帯であっても共通して言えるのは、AMDもIntelも、ものすごく速いプロセッサであることには変わりないということです。

まとめ

・とにかく速い。

・競合よりも値段が高いが、仕様が勝っているCPUよりも実質的に速かった。

・予算に合わせて買うべし。今の時点ではIntelもAMDもさして変わりなし。

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