バッテリー寿命に関しては、エクセレント!
決して安い買い物では済まない、Apple製品。iPhone XRは最新モデルの安価版として位置づけられていますが、価格は84,800円 (税別)〜。上位版と比べて多少優劣の差はあるものの、なにかものすごい妥協をしなければいけない...というわけでもなく、最新のデバイスの特権をうまいこと味わえるモデルになっていることがわかりました。
iPhone XR

これは何: Appleの手頃なiPhone
価格: 84,800円 から
好きなところ: 色!バッテリーもち!カメラ!
好きじゃないところ: サイズとディスプレイ
XRのほかにXS/XS Maxが気になっているという人もいるかもしれません。価格だけみると、iPhone XSは112,800円、iPhone XS Maxは124,800円(いずれも税別)。スペック情報を比較してみても、もしかするとXRでも十分なのでは...と、うっすら感じていた人もいるのでは?
顔認証機能「Face ID」はどれも昨年のiPhone Xから引き継がれますし、「A12」プロセッサ搭載、ノッチつきという点も同じです。...となると、iPhone XRとiPhone XSの価格差はどこからきているのでしょうか?
まずiPhone XRのサイズに注目してみると、iPhone XS と iPhone XS Maxの中間くらいになっています。また側面がステンレススチールではなくアルミニウムフレームになっているのもiPhone XRの特徴です。
機能面での違いは、主に3つ。防水性能はIP68ではなくIP67(IP68が水深2mに対し、IP67は水深1mで30分浸水可能)。液晶ディスプレイはiPhone X以来の有機ELと異なり、比較的安価なLCDを使用しているのがiPhone XRです。これは結構気になるという人もいるかもしれません。また、デュアルカメラでなくシングルカメラなのもiPhone XRの特徴です。ちなみにApple製品にこだわらないというひと向けには、有機ELディスプレイ、デュアルカメラ搭載で約6万円のOnePlus 6もあります。
Apple製品は時折"廉価版"デバイスを用意してくれているわけですが、それとはべつに旧モデルが比較的安くなることもありますよね。たとえばiPhone 7 とか MacBook Airとか。もっと遡ると iPhone SE や 5cもありますが...いずれも、最新機種と比べるとスペック面でも結構な物足りなさを感じずにはいられません。そういう意味では、最新のデバイスの廉価版として登場するiPhone XRは、ぜんぜん安くはないのですが多少のお得感はあるかもしれません。
比較してわかったこと
iPhone XRで注目したいのが、カラーバリエーションです。Apple製品からひさしぶりにポップなカラーが出てきました。これまでにもお馴染みだった白、黒に加えて、赤、コーラル、黄色、青と選択肢が広がりました。色自体はいい意味で目を引くのですが、アルミニウムフレームとの相性はイマイチです。どうも安っぽく見えてしまうというか...でも背面のガラス部分や削られやすい側面のアルミニウムをまとめて保護できるスマホケースで覆ってしまえばいいんですけどね。
XS/Maxと同様、ノッチのおかげでちょっとした高級感は出ます。このノッチ部分にある「True Depthカメラ」によって顔認証ができるわけですが、もし「Touch ID」のほうが好きだからと最新機種に手を出せずにいるひとは諦めましょう、おそらく「Touch ID」はもう帰ってきません。

個人的にはこれまでiPhone Xを使ってきましたが、画面が小さすぎると思ったことは一度もありません。でも、改めてXRと並ばせると変な感じがしますね。8 Plusより以前のモデルと比べると、ノッチのおかげでしょうか、ものすごい時代の流れが感じられます。これについてはもう私から何か語るよりも画像で見てください。
それから画面について。先に触れた通り、XRのディスプレイは有機ELディスプレイのXS/XS Maxと比較すると劣るので、この点はXRの場合、妥協しなくてはならないポイントかもしれません。


ちなみに、XRをレビューするうえで今回は8 Plusと比較しています。じつは8 Plus とXRには5,000円の差しかないんです。8 Plusの価格は78,800円(税別)〜になっています。

1792 x 828ピクセル解像度は、XSや昨年リリースされた8 Plusよりも低い数値ですが、実際は気づかない程度の差だといえます。ただ、画像密度でいうとiPhone XRの326 ppi( iPhone 8と同様 )はiPhone XSの458ppi、iPhone 8 Plusの401ppiと比べると差が出るかもしれません。
もっと明確に違いが気になるのが、デバイスのサイズ感。具体的な数字でいうとXSよりも縦に0.3インチ大きく、XS Maxよりも縦に0.4インチ小さいのがXRです。幅でいうとXSよりも19インチ広く、XS Maxよりも0.07インチ狭くなっています。こうしてみるとちっぽけな話かもしれませんが、実物を比べてみると XS、SE、8などのサイズに慣れていた人にとっては肌感覚でわかる差だともいえます。気になるひとはぜひ、実際にアップルストアに足を運んでたしかめてみてください。

XR以前にAppleが廉価版スマホをリリースしたのは、iPhone SEでした。結局のところ、ネットやメールなど毎日使うアプリを開きながら、上位版のスマホならどれくらいサクサク動くのか比較したいと思うことはあまりないものです。とはいえ、バッテリー寿命に限ってはどうも見逃せないところがあります。

バッテリー寿命を比較するためにある実験を行ないました。明るさを200ニトに設定し、Wi-Fiのみをオンにした状態で、ユーチューブ動画を電源が切れるまで流し続けたのです。 この結果、XSはXよりも1時間10分長くもち、XRが8 Plusよりもかなり長くもつことがわかりました。ちなみに8 PlusのバッテリーはXRよりも大きなサイズなんですけどね。
まとめるとiPhone 8 Plusは9時間10分、iPhone XRは11時間59分、iPhone XS Maxは 13時間7分、iPhone XSは11時間11分という結果でした。
「A12」プロセッサの凄みは、カメラにも波及しています。2017年にAppleがリリースした唯一のシングルレンズ搭載であるiPhone 8、背面に2つのカメラをつけた8 Plusも負かすような性能です。
「シングルカメラだけ」の落とし穴

最新スマホを選ぶときに最も重視したいもののひとつが、カメラですよね。ソーシャルメディアで発信するのもそうですけど、現代のスマホの使いかたを語るうえでカメラとか写真は切り離せないものです。
iPhone XRはA12プロセッサを使って、8 Plusに相当するカメラパフォーマンスを発揮します。幅広なレンズによってより多くを映り込ませることもできます。そしてその仕上がりは、鮮やかでシャープだといえます。
XRのカメラはXS/ XS Maxとまったく同じワイドアングルレンズ、センサーが使われています。いくつか、XRで撮影した画像を載せておくので是非見てみてください。このクオリティはすばらしいです。






でもひとつだけ、大きな欠点があります。それはポートレートモードです。これは背景をぼかして被写体にフォーカスする機能ですが、この撮影には2つのカメラが必要なためiPhone 7、8では使えず、デュアルカメラつきの7 Plus、8 Plus、X、XS、XS Maxでは使えるようになっています。XRはというと、背面には1つのカメラしかないものの、ソフトウェアとA12プロセッサによってポートレートモードと同様の効果がねらえます。ただし、人間の顔以外(テディベアや猫など)には適用できなかったりします。


あなたはどっち?
iPhone XRを検討する際には、妥協ポイントを受け入れられるか否かが重要です。10万円以上払って得られるiPhone XSと比べて、XRではディスプレイの鮮明さやポートレート撮影を諦める必要があります。でもおそらくこれくらいなら許容範囲という意見のほうが多数派ではないでしょうか。

ここまで色々書きましたが、ひとつハッキリしておくとiPhone XRには満足しています。どれくらい満足かというと、XS、XS Max、X、8、8 Plus、それに 7、7 Plusと同じくらいです。
年々進化するiPhoneをみてきたなかで、iPhone XRはおそらくiPhone8、8 Plus、もっと言うと7、7 Plusのユーザーが乗り換えるほどの改良を重ねたとは言えないかもしれません。それでも、撮影した画像に満足できたり、長距離フライトでもバッテリーが切れなかったり、XRが十分よくやってくれているので旅行中にXSを家で留守番させてもまったく問題なかったです。
結論
- これまでの廉価版iPhoneよりも大きめのサイズです。小さいほうがお好きな方は、購入前に実物を触ってたしかめてみるのをおすすめします。
- バッテリー寿命は、すばらしい!
- ディスプレイは、上位版のOLEDに比べて劣ります。でも、そこまでひどいってわけじゃないです。
- カメラはデュアルレンズカメラには及びませんが、これで十分と思えるレベルです。
- カメラのダイナミックレンジもとてもいいです。
- 最新のiPhoneのなかで最安値の84,800円(税別)で手に入ります。