いろんなモヤモヤが残ります。
絶好調のマーベル映画の世界をベースに、独自のストーリーを展開し人気を博している、Netflixとマーベルのドラマ・シリーズ。つい先日公開されたばかりのドラマ『デアデビル』の最新シーズン3もかなりの高評価を獲得しています。
昨年はシリーズ4作のドラマの主人公たちが一同に介するクロスオーバー展開のミニシリーズ『ザ・ディフェンダーズ』も展開され、順風満帆かと思いきや、今月に入りカンフーヒーロー『アイアン・フィスト』と超鋼黒人ヒーロー『ルーク・ケイジ』の2つのシリーズの打ち切りが続けて正式に発表されました。
今回の記事では、その2つのドラマが打ち切りになった理由だけではなく、ディズニーが始める配信サービスでの展開の可能性などにも予想してみます。
打ち切りの原因は?
厳密な打ち切りの原因は『アイアン・フィスト』、『ルーク・ケイジ』の両シリーズとも打ち切り発表時には明らかになっておらず、公式には明らかにされていません。
まず『アイアン・フィスト』は、他のシリーズに比べてシーズン1の評判が悪く、主人公のダニー・ランドはクロスオーバー作品である『ザ・ディフェンダーズ』でもあまり大きな活躍の場がないままシーズン2に突入。こちらでも(残念ながら)主人公はあまり目立たなかった一方で、脇を固めるキャラクターたちが物語を形作り、人気を獲得し始めていました。
しかし、それでも打ち切りとなったので、さまざまなメディアが初期の人気・評価不足が原因なのではないかという予想を展開しています。
一方『ルーク・ケイジ』は黒人差別問題に切り込み音楽を巧みに使い『アイアン・フィスト』とは対象的にシーズン1から評価が高く、続くシーズン2でもかなりの盛り上がりを見せ同様の評価を受けて、各所からシーズン3が早く見たいという声が上がっていました。
そんな中での突然の打ち切り発表。打ち切りの公式声明を伝えたDeadlineなどのメディアは、『ルーク・ケイジ』はシーズン3の脚本などの製作を進めていたものの、製作陣とNetflixとの間でクリエイティブ的な断裂が起こるというハリウッドではありがちなパターンに陥り、打ち切りの原因になったという匿名ソースの情報を掲載しています。
どちらの物語も明らかに次のシーズンがある前提で終わっており、まったくもってキレイに終わらない突然の打ち切りという事態。
ちなみに、悪党処刑人『パニッシャー』のシーズン2はすでに撮影が終了しており、2019年に配信予定です。またルーク・ケイジと同じく、ザ・ディフェンダーズの一員である豪腕私立探偵『ジェシカ・ジョーンズ』は、現在シーズン3を撮影中と、Netflixのマーベル・ドラマ自体はまだまだ続く予定だったりします。
未完の物語はディズニー配信サービスで日の目を見るか?
かなり突然だった打ち切りですが、打ち切りの可能性として考えられるのが、来年スタートと言われながらもまだまだ全貌の見えないディズニーの配信サービスとの兼ね合い。
ディズニーはマーベルの親会社であり、ゆくゆくは『スター・ウォーズ』なども含め自社のコンテンツをその配信サービスに固めて来るのではないかとも言われています。
ディズニーとしてはこれからライバルとなるNetflixに自社が版権を持つコンテンツをもたせ続けるというのは旨くないと考え、製作が始まっていない作品は打ち切りながら、引き上げる準備をしている可能性もゼロではないかもしれません。
Netflixで配信されているマーベル・ドラマシリーズは「Netflixオリジナル」と言っているものの、NetflixはあくまでSVOD(オンデマンド方式のストリーミング・ビデオ配信)での独占配信権を持っている配信会社という立ち位置であり、製作はあくまでマーベルとABCスタジオ(ディズニー傘下のTV局系制作会社)。
契約がどうなっているかは明かされていないのでここで断定することはできませんが、やろうと思えばNetflix抜きでも同じ制作陣・キャストを使い、別のシリーズという形で続きのストーリーを展開するなんてことも可能かもしれません。
ただその際が独占配信権をNetflixが持っている関係上、過去のシーズンはNetflixかソフト版で観なきゃいけないというちょっと面倒くさい状況になるかもしれませんね。
『ヒーローズ・フォー・ハイアー』への布石か?
今回打ち切りになった『アイアン・フィスト』と『ルーク・ケイジ』の主人公ダニー・ランドとルーク・ケイジは実はコミックでは、ヒーローズ・フォー・ハイアーというチーム名で長いことコンビで活動していて、そのチーム名を冠したシリーズも長く展開されていました。
『ルーク・ケイジ』のシーズン2では明らかにそのコンビを意識した素敵な展開がありファンが湧いたのですが、場合によっては『アイアン・フィスト』と『ルーク・ケイジ』という単独シリーズは打ち切りにして新シリーズとして『ヒーローズ・フォー・ハイアー』を展開するということもあるかもしれません。
また、『ルーク・ケイジ』の相棒の刑事ミスティ・ナイトと『アイアン・フィスト』の相棒の武術家コリーン・ウィングは、両方のシリーズを行き来しながらルークとダニー以上の名コンビっぷりを発揮しており、コリーンに至っては半ば主人公以上の活躍で、シリーズを引っ張る人気キャラクターとなっています。
そんなミスティ・ナイトとコリーン・ウィングはコミックでも仲良しで、ドーターズ・オブ・ドラゴンと呼ばれるコンビとして活動し、後のヒーローズ・フォー・ハイアーの中核メンバーにもなったりしていました。ドラマを最新シリーズまで追っている人からすると、ドーターズ・オブ・ドラゴンとしての活躍はかなり見たいはず……!
というわけで、こういったコミックの設定を活かした展開を見せてくるかもしれないわけですが、そんなにいいニュースが待っているならNetflixが「打ち切り」という形で声明を出さないと思うので、やるとしてもディズニーの配信サービスで始まるのではないでしょうか。
実際のところ、マーベルのドラマがディズニーの配信サービスで展開されたらNetflixからの乗り換えを検討する人も少なくないと思うので、新サービスの目玉コンテンツになるだけのパワーはあるはずです。
I am forever grateful to Marvel and Netflix for letting me portray such a prolific character, and I thank you amazing fans. As one door closes, another has opened, with the birth of my daughter this week. A lot of great memories. Time to make more. Always forward, forward always pic.twitter.com/Dvv4YOBeEE
— Mike Colter (@realmikecolter) 2018年10月22日
ちなみに、アイアン・フィスト役のフィン・ジョーンズはInstagram上でダニーとルークのコンビ技のシーンの画像をアップしており、やる気はありそうな感じ……と言いたいところですが、フィン・ジョーンズもルーク・ケイジ役のマイク・コルターはそれぞれ、SNS上でファンや関係者に感謝しつつ、先へ進んでいくという旨を語っており、いまのところ続編的な展開を匂わせてはいません。
とにかく、そんじょそこらのドラマと比べても高いクオリティだったシリーズが、突然打ち切られてしまうのは残念。ルーク・ケイジやアイアン・フィストはこれからもNetflixのシリーズに登場すると言われていますが、できればおまけとして登場するのではなく、未完に終わってしまった物語に決着をつけて欲しいところです。