これがホントのベゼルレス。
スマートフォンの新モデルが発表される度に話題になるのがノッチの有り無しです。Appleやサムスン、Google、そしてその他のメジャーメーカーのどこからも、ノッチやベゼルを完全に排除できたデザインは出てきていません。そんな中、オッと驚くデザインを提供しているのがOPPO(オッポ)の Find Xです。以下、米GizmodoのSam Rutherford記者によるOPPO Find Xレビューです。
Apple、サムスン、Googleの最新スマートフォンを見ると、2017年のモデルと比べてそれほど大きな違いを見つけることはできません。と同時に、この3つの大手メーカー以外のスマホも軒並みノッチ・スクリーンの流れに乗り、似通ったデザインを提供しています。2018年はスマートフォン・デザインという点で退屈になりそうだな、と思っていたところに登場したのがOPPOによるFind Xです。馬鹿げたノッチを回避する方法は存在するんだ、スマホのクリエイティビティはまだ死んでいなかった、と証明してくれています。
Oppo Find X

これは何?: ゴージャスなフルスクリーンスマホ
価格: 925ドル(日本価格は11万1880円)
好きなところ: 艶やかなデザイン、ノッチなし、飛び出すカメラ、驚くほどバッテリーが持つこと
好きじゃないところ: 写真は普通、不要なアプリが多い、防水もワイヤレス充電もない、耐久性に疑問、アメリカでは買えない

上から下まで、Find Xの見た目はシンプルかつエレガントです。ガラスがほっそりとスマホの前面を包む姿は美しくもあり、握った感覚も最高です。細い黒いアウトラインが、ノッチの存在しないスクリーンを絵画のように切り取っていてすごく新鮮なんです。洗練された外観は背面にも散りばめられています。スモーキーなガラスの下に少し抑えられた色彩が広がっており、エレガントとはこういうことを言うのだよなぁと感心してしまいます。上部の通常ならカメラがあるところに極細のプラスチックのレイヤーがあるのですが、それ以外は見事にフルディスプレイです。

とにかくディスプレイからユーザーの気が散る要素を排除する。それが実現されているのがFind Xのスクリーンです。AMOLEDパネルで6.42インチの大きさ(2340 x 1080)を持ち、動画視聴では他のスマートフォンよりも優れた没入感を生んでくれます。1つ非常に小さい不満があるとしたら、最大輝度が425ニトというのはサムスンGalaxyやiPhoneの画面の明るさから20%〜30%ほど少ないです。屋内や陰で見るぶんには何の問題もありませんが、屋外の明るい場所でスクリーンを見ることが多いユーザーには向いていません。
そしてフルスクリーンに比類するスペクタクルがもう一つあります。それがカメラです。デバイスをアンロックし、カメラアプリを開くとモーターによってカメラが上部からシャキーン!と飛び出してくるんです。まるでスパイ映画の隠し扉のように「えー!こんなところにカメラがあったの?」です。これによってフルスクリーンが実現されているんですね。この飛び出し部分のカメラは指紋センサーを持っていないFind Xの、顔認証のセンサーとしても働きます。

カメラが出るのに必要なコンマ何秒の長さにイラッとしてしまうユーザーもいるかもしれません。しかし私からするとカメラを押し出すかすかなモーター音は遠い昔、デスクトップ・パソコンにCDを入れるときのあのトレイが飛び出す音を思い出させる心地いい音です。デバイス自体が自分のコマンドで形を変える、これは言葉にできない快感。カメラを使うたびに少しニヤけてしまうんですよね。Find Xを使うと、デバイスへの愛着ってこういう小さいところで生まれるんだな、と気づかされます。

バッテリー寿命は12時間、Snapdragon 845、RAMは8GB、ストレージは128GB(次のモデルはなんと世界初の10GBメモリー!)のスペックと、ギークの胸を温めてくれるカメラギミックがあるものの、Find Xには欠点もたくさん存在しています。
OPPOが開発したColor OSはAndroid 8.1をベースにしているため、時代から少し送れている感じは否めません。そしてさらにフラストレーションとなるのは、あまり活用されないのにリソースを占有するアプリ群、いわゆるブロートウェアがたくさん存在していることです。またデフォルトでは通知は何も役に立つものを表示してくれません。なので自分で1つ1つのアプリを開いてカスタマイズする必要があります。また925ドル(日本価格: 11万1880円)という値段なのにワイヤレス充電も、micro SDカードのスロットもなく、耐水性能なども無いのは欠点としか言いようがありません。

またスクリーンが屋外で見づらいという点は前述しましたが、アウトドア派・アクティブ派のユーザーにとってはFind Xはさらに問題点を抱えているように思えます。Find Xは通常のデバイスよりも曲がりやすいという点は複数のユーザーたちが指摘しています。またポケットに入っている状態で誤ってアンロック操作をしてしまうと、ポケットの中でモーターカメラがグググと飛び出してきてしまうわけです。これはスマートでは無いですね。
カメラが開いた状態でデバイスを軽く振ると、中でポップアップ用のスライダーがカタカタっと揺れる音が聴こえます。またFind Xにもつけるケースも存在するものの、誤ってカメラ部分から落とした時にちゃんと保護してくれるケースがあるかどうかは疑わしいです。これらを考慮するとFind Xが長期に渡って耐久性を発揮してくれるようには思えません。これは今後のモデルで改善が期待されます。


カメラの画質もまぁこんなものかな、というレベルです。デバイスをロック解除するための顔認証は特に問題はありませんでしたが、2500万画素カメラを前面に、1600万画素、2000万画素カメラを背面につけている割には同じ価格帯のデバイスよりも画像のクオリティは劣っています。
Galaxy Note 9/S9+による写真と比べると、Find Xは常に見劣りします。Find Xの画質はがっかりするとまでは言えませんが、この価格帯の競合デバイスが見せてくれる画像のシャープさや色合いは持っていません。
しかし1つだけ明確にしておきたいのは、こういった短所はあれどもFind Xは実に魅力的なデバイスだということです。OPPOはリスクを取って冒険をせずに無難かつ実用的で値段がおさえられたものを作ることもできたわけですが、リスクを取ることを選びました。そしてノッチだベゼルだと他のメーカーたちがインターネットを騒がせている間に彼ら独自のデザインをマーケットに出すことに成功したのです。フルスクリーンという夢のデザインです。これは今後のOPPOが真にユニークかつイノベーティブな方向性に進めるかなり大きな基盤ではないでしょうか。もちろん、サムスンがここに来て折りたためるスクリーンを使ったスマートフォンを出すかも、という可能性はあれどもOPPO Find Xは今年もっとも重要なスマートフォンの1つであることに間違いありません。

まとめ
・なにか驚く発表が他社から出ない限りはFind Xは2018年もっとも美しいスマートフォンとして名を残すでしょう。
・モーター式のカメラが上からポコッと飛び出す様子はいつ見ても楽しいです。しかしこのデザインのせいで、フラグシップモデルが持つべき頑丈さは多少損なわれています。
・高価格だけど、ワイヤレス充電、耐水性、microSDカードスロット、ヘッドフォンジャックといった機能はついていません。
・OPPOのColor OSは使うのに多少慣れが必要で、不要なソフトウェアがたくさん入っています。また購入先によってはGoogle Play Store自体も自分でインストールする必要があるでしょう。
スペック
Color OS(Android8.1ベース)、Qualcomm Snapdragon 845、8GB RAM、128GBストレージ、6.42インチAMOLEDディスプレイ(2340 x 1080)、2500万画素前面ポップアップカメラ、1600万画素背面カメラ、2000万画素第二カメラ(2倍ズームつき)、 USB-C、802.11 a/b/g/n/ac Wi-Fi、Bluetooth 5.0、3,730 mAhバッテリー、6.17 x 2.92 x 037インチ、186グラム、GSMのみ対応