臨場感ブルブルです。
ゲームのコントローラーがバイブレーション機能を導入してからずいぶんと時が経ちました。今では映画館でも席が動くものがありますよね。じゃあヘッドフォンが震えてもいいじゃないか!と思っていたゲーマーの方々はいらっしゃったのではないでしょうか。
Razer(レイザー)から新発売される「Nari Ultimateヘッドセット(以下、Nari)」は、ただちょっとベース音が響く、なんて程度のものじゃありません。頭をしっかり震わせてくれて、ゲームや映画にさらなる臨場感を追加することを狙っているんです。馬鹿馬鹿しい、と思う人もいるかもしれませんが、これが実はかなり楽しいんですよ。時にちょっと恐ろしいくらい。
音を感じるのは聴覚だけじゃない時代へ
Razerがハイパーセンス技術と呼ぶこのテクノロジー、「音楽を体感できる」ドイツ製のウェアラブル技術Lofeltを利用しています。これにより、頭の両側にステレオで振動が届きます。たいてい二種類の振動レベルしか提供しないゲームのコントローラーとは違って、Nariのハプティクス技術は20hzから200hzまでの振動が可能で、その間の微妙なレベルもすべて生み出せるんだそうです。

さらに素晴らしいのはNariのハプティクスは特別なソフトウェアやプログラムを必要としない点。プラグインすると、すぐに音楽、映画、ゲームどんな物でも使えます。
たとえばニンテンドースイッチの「HD Rumble」は、ディベロッパーに特別にこの機能のためのプログラムを入れることを必要としています。PS4やXbox Oneのコントローラーよりもゲーム内容や音に忠実な反応を見せてくれるHD Rumbleですが、専用のプログラムが必要となってしまうんです。それが、Nariの場合は必要ありません。くわえて3.5mmケーブルを使った有線オーディオにも、USB-Aドングルを使った完全ワイヤレスのオーディオにも対応しています。つまり、どんなデバイスでも使うことができると。うーん、素晴らしい。
エンタメ向きだけどちょっと生々しい一面も
では、実際に使い心地はどうか。気になりますよね。まずは有線モードで『Carpenter Brut’s Turbo Killer』を聴いてみました。すると一瞬で、これがまったく新しい振動ヘッドフォンだとわかったんです。
冒頭に聞こえるレコードの再生音のようなクシャクシャっとした音で、すでにヘッドフォンが小さく震えました。それからビートがかかり、ヘッドフォンも短く重い振動から長くうねるようなバイブレーションへと切り替わります。最終的にはびっくりするくらいの振動祭に突入。ただ、重いベース音だけなのではありません。まるで全身をコンサート音が突き抜けていくような感覚です。もちろん、振動するのは頭だけですが。

次に、ワイヤレスでゲームを試してみました。ゲーム内の爆発や低音のインパクトを、ヘッドフォンのハプティクスがちゃんと増やしてくれます。少し残念だったのは、レーザー光線やガラスが割れる音に対しての振動が、そこまで効果的とは言えない点。これについては、Razerの発表によるとハイパーセンス技術をゲームそのものに組み込んで連携させることで、より細かい体験を実現するためゲームディベロッパーたちとコラボレーションをしている最中とのこと。なので将来的には改善される可能性があります。
あまりふさわしくない状況もあります。ゲームや音楽を聴くには楽しかったですが、Oculus Connect 5ライブストリームをでマーク・ザッカーバーグの声を聞いた時には、彼の声と同時にヘッドフォンが震えるのはなんとも悪寒がする体験でした。

ひんやりした装着感
他の部分にも注目してみると、自動で耳にフィットしてくれるパッド付きヘッドバンドは快適ですし、つけ心地の良いイヤーカップ部分にはなんとクール用のジェルが埋め込まれていてポイント高いです。もちろん、後ろ部分がクローズド・デザインになっているので、暑い日に外で長時間着用すれば汗をかいてしまうことは避けられませんが。
ヘッドフォンの底には操作しやすいダイヤル状のボリュームのコントロールが付いています。またボイスチャット/ゲームオーディオのバランス調整、そしてミュートボタン、電源ボタン、3.5mmジャック、充電用micro USB差込口があります。またワイヤレス用のドングルを収納するスペースもあります。
残念なことに、私はローンチ前のプリプロダクション・ユニットを使わせてもらったために、RazerのSynapseソフトウェアとうまく組み合わされて実現されるその他の高度な機能はテストできませんでした。これらの機能には、振動をどれくらい使うかカスタマイズする機能、THX空間オーディオ機能、またRGB Chromaライト機能などが含まれます。

200ドル(約2万2800円)という値段は決して安くはありません。とはいえ、値段が高すぎるとも私は思いません。ユニークなハプティクス機能、ワイヤレスオーディオ、RGBライト、そして市場に出ているなかでも最も快適なレベルといえるイヤーカップ部がひとつのヘッドフォンになったというのはかなりお得なパッケージだからです。もちろん、誰もが必要とするデバイスではありません。
ユーザーのニーズに合わせた3つのバージョンが売られるのも有り難いです。すべてが組み込まれたアルティメット・バージョンが200ドル(約2万2800円)。スタンダード版は150ドル(約1万7000円)ですが、これにはハイパーセンス技術が含まれていません。そしてエッセンシャル版の100ドル(約1万1400円)ではTHX空間オーディオとワイヤレスは機能として含まれているものの、ハイパーセンス、RGBライト、ゲーム・チャットバランスのダイヤルは含まれていません。スタンダード版はすでに発売開始されており、ほかのふたつは年末までに発売開始とのこと。
ゲーミング企業たちは、思いつくあらゆるデバイスにRGBライトを組み込んでいます。じゃあ次のテクノロジーは何かと考えた時に、バイブレーションは良いアイデアだと思います。これを筆頭にしてマウス、キーボードとどんどんと振動するようになったら、それはそれで馬鹿げているものの楽しめるかもな、と妄想しちゃいました。
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