なんで夢って覚えているものと忘れているものがあるの?

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  • author Daniel Kolitz - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岩田リョウコ
なんで夢って覚えているものと忘れているものがあるの?
Image: Elena Scotti/Gizmodo US, Photo: Shutterstock

長い人生で、確かに覚えている夢って両手で数えられるくらいだけ…。

汗だくで鼓動が早いままバッと目を覚まして「よかった、だった」と、内容をしっかり覚えている時もあれば、夢を見たような気はするけど全然はっきり覚えてないものまで、夢にも色々ありますよね。なかには1日を終えてもまだ覚えているものや、何ヶ月経っても忘れられないものまで。

こうして、覚えてる夢もあれば、忘れている夢もあるのはなぜなんでしょうか今回もその筋のスペシャリストたちに聞いてきました。

Big Katja Valli

トゥルク大学博士研究員、シェーブデ大学認知神経科学講師(意識状態と夢・睡眠のリサーチが専門)

一般的に目覚める直前に見ていた夢だけなら覚えているものです。というのも、私たちの脳は寝ている間は短期記憶を長期記憶に変換することができないようで、その夜の最初の方に見た夢は跡形もなく忘れてしまうのです。

研究結果によると、私たち人間は、寝ている間はいかなるステージであっても夢を見ることができるとわかっています。なので、起きた時に夢を覚られるようにできたらいいだけなんです。

記憶できるかどうかは夢の内容にも左右されます。感情的で特にネガティブな夢の方が平凡な夢より記憶に残りますね。もちろんこれは夢に限ったことではなく、起きている間もそういった経験の方が記憶に残りやすいのです。なかでも悪夢はよく覚えている傾向にあり、怖さで起こされるくらい感情的にネガティブなものは特にそうです。

夢をよく覚えているタイプの人たちもいて、そのタイプの人たちは毎朝夢を覚えていたりしますが、一方で少しも覚えていないタイプの人たちもいます。注意を払うことで夢を覚えるトレーニングをすることができますたとえば、夢日記をつけるとか。何週間か続けると、どれだけ夢を見ているか、そしてどれだけ詳細に覚えているかということに驚くと思いますよ。

Shelby Harris

アルベルト・アインシュタイン医学校臨床助教、睡眠行動医学臨床心理士

夢はその日一日に起こったことを処理する方法だと、私は考えています。脳が毎晩、特にレム睡眠中にファイルの棚を整頓しているような感じですね。たとえば記憶を創造ためのファイルを作ったり、新しいスキルを学んだり、そしてどんなものをシュレッダーにかけるか決めているイメージ。

夢とは私たちの日常生活がごちゃまぜになったバージョンで、脳が情報を暗号化してファイル棚に入れようとした結果なのです。

夢を覚えていないという人が多いと思いますが、起きて5分間の間に50%の人は夢を忘れてしまい、残りの50%の人も何時間か後にはだんだん忘れてしまっているのです。なので夢の途中で起きてしまって、その夢の内容が特に悲惨だったり、嫌なものだったりすると覚えていることが多いですね。

Deirdre Barrett

ハーバード医学部助教授、『The Committee of Sleep and The New Science of Dreaming』著者

夢からすぐに覚めないと、私たちの脳は短期記憶から長期記憶へと変換することができません。この変換に一番重要なのが長期記憶を形成する神経伝達物質ノルエピネフリンです。もし夢を見ている途中に目が覚めたら、その夢を覚えている可能性は高まりますが、夢というのは起きている時の経験のように思い出すことは難しいのです。

その理由は、夢は非論理的で途切れ途切れ、そしてぼんやりしたものだからです。もうひとつは、脳は目覚めると長期記憶に必要な部分を動かし始めるからです。夢を覚えているかは個人差があって、睡眠を十分に取っているかも影響しますし、夢自体に興味を持っている人はより夢を覚えている傾向にあります。身体の違いも影響します。2014年の調査によると内側前頭前皮質への血流が高い人は夢をより覚えている傾向にあるとわかっているのです。

実は、夢を覚えるためのテクニックもあります。まず十分な睡眠時間を確保することが一番重要です。そして眠りに落ちる時、自分にこれから見る夢を覚えていたいと言い聞かせるのも有効的です。それが眠りに落ちる最後の思考であるようにしてください。

ベッドの横にノートとペン、あるいはスマホでメモができるアプリなどを用意しておくといいでしょう。目覚めたらすぐ、起き上がったり他のことに注意を向けないようにして、1分ほど、起きた時に持っていた自分の感情やイメージにたとえ夢を覚えていなくてもフォーカスしてください。すると夢全体が洪水のように戻ってくることもあります。このコラムを読んでいるだけで、今夜見る夢を翌日覚えている可能性だってありますよ。

Susana Martinez-Conde

ニューヨーク州立大学眼科学・神経学・生理学・薬理学教授

夢を覚えておくために大事なことのひとつは、夢を見ている途中に目を覚ますということです。誰もが毎晩夢を見ます。しかし起きた時に夢をより覚えている人はレム睡眠中に見ているのです。もし夜中に夢を見ていて、目覚めることなく次の眠りの段階へ行くと、その夢へのアクセスが途切れてしまいます。

もうひとつはその夢に対する感情です。起きた瞬間に見ていた夢を覚えていることはよくあることですが、すぐに忘れていってしまうものです。細かいことやいい場面などをとどめておくことができず、これまでの人生で見てきた夢を思い出そうとしても、言いあらわせる夢はとても少ないのです。もちろんすごく嬉しかったり怖かったりという感情的にインパクトのあった鮮明な夢は覚えている場合が多いですが、これは私たちの記憶の問題で、10年前に食べたある日の朝ごはんを覚えていないけれど、車に轢かれた時のことは覚えているのと同じなのです。

Stanley Krippner

セイブルック大学人間臨床心理学教授

ほとんどの夢は朝起きた時には思い出せるものです。これにはふたつの理由があります。ひとつは夢の新しさ、そしてもうひとつは一晩のうち最後の方で見る夢はドラマティックで感情的なものが多く、覚えていやすいということ。

もちろん夢はいつだって思い出せるものです。ほとんどの夢はレム睡眠中に見るもの。しかし精神活動というのは一晩中起こっています。これが特にドラマティックで感情的な場合でさらには悪夢であった場合、その人は突然目覚めてその夢を覚えているでしょう。

別のケースとして、子供が夜中に突然泣いたり叫んだりすることがあります。それは夜驚症です。これはレム睡眠中に起こるのではなく、夢を見てそうなっているわけではありません。そして親は、悪夢と夜驚症の区別がつかないのです。

夢を覚えていたいのであれば、夢ノートをつけたりすることで、より覚えておくことができるでしょう。

覚えているからといって話すべきかというと、それはまた別のお話。

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