Facebook、広告対象者カテゴリに驚愕の不適切キーワード「白人大虐殺陰謀説」を掲載

Facebook、広告対象者カテゴリに驚愕の不適切キーワード「白人大虐殺陰謀説」を掲載
Image: PixieMe / Shutterstock.com

恐ろしや。

この間、お仕事でアパレル関係のウェブサイトの翻訳に携わったのですが、その会社のウェブサイトを少し見ていただけで、みるみる私のFacebook(フェイスブック)はそこの広告でいっぱいに...。コンピュータからサイトにアクセスしただけでスマホにも表示されるとは。

自分の興味をプロフィールに書き込むことにより、興味の対象を自動的に判断して表示される形の広告。広告を出すほうもキーワードを選択するだけで、見せたい人だけに表示するターゲティングできる便利さもある一方、これでいいのかという問題が山積みでもあります。

さて、米国のネットメディア『The Intercept』(ザ・インターセプト)が見つけた驚愕の不適切広告キーワードを米GizmodoのRhett Jones記者がリポートしてくれました。


広告理念に反するカテゴリー

不適切で謝罪してはいますが...。なんとかならないんでしょうかね。こういうの。

巨額な資金を持ち、社員数も星の数ほど。地球上でもっともすぐれたエンジニアの寄せ集めのはずであるFacebookですが、どうやら広告で金を稼ぎ出すためなら、広告理念に反するカテゴリーすら許容してしまう衝撃の事実が明るみにでました。『The Intercept』がするどく指摘しています。

今週、『The Intercept』がFacebook上で2つの記事の広告を出そうとしたところ、どうやら詳細なターゲッティング」のカテゴリーに不適切なものがはいっていたことが明るみにでました。そのカテゴリーとは...なんと「白人大虐殺陰謀説」。これはFacebookのエンジニアリングを駆使したAIが作り出したカテゴリーらしいのです。このカテゴリーに興味を持つFacebookユーザーは実に16万8000人とされていたとのこと。まあたしかに白人にとっては一大事な陰謀説ではありますが。

これにより、Facebookは人種差別関連の都市伝説の積極的な流布に一役買っていることになりますよね。それもさることながらThe InterceptはFacebookでこのような広告が出回ることがどんなに簡単かつ危険かを指摘、このような形でソーシャルメディアを使うべきでないと警鐘を鳴らしています。

Facebookでの広告は承認を受ける必要があり、The Interceptは試しに「White Supremacy-Test(白人至上主義テスト)」という名前の広告をだしてみたとのこと。すると人的ミスである可能性もありますが、これが承認プロセスを通ったというのだから驚きです。

米Gizmodoの取材に対し、Facebookは「このオプションはすでに削除されています。また関連する広告も削除されています。Facebookの広告理念に反するため、このような広告があったこと自体問題です」と回答しています。

Facebookによれば、この広告の承認は8月に行なわれたようであり、この承認は人為的ミスであったとしています。FacebookがThe Interceptに語ったところによれば、理論上ではこの広告自体は広告ポリシーに反するものではないとのこと。なんでも「Facebookが作成したカテゴリーによるものであるから」というのがその理由のようです。また、Facebookは広告の承認についてはアルゴリズムによる広告承認レビューと人間によるレビューの両方を使用していることを認めていますが、新たに登録される広告を載せるか載せないかの判断は人間が下しているのだとか。

で、「白人大虐殺陰謀説」とは?

「白人大虐殺陰謀説」とは、白人至上主義者たちや、一般的な人種差別者たちが唱えている「都市伝説」です。米国において人種差別的な人たちの間では、近い将来、マイノリティ(少数民族)が白人の人口をしのぐのではないか、それにより「白人の大虐殺」が実現されるのだという「思想」がまことしとやかに伝えられているのです。このような思想は、米上院議員スティーブ・キングをはじめとする白人至上主義者によって語られています。スティーブ・キングは以前「文化と人口は運命によって定められている。他人の赤子が他の文化を復元させることはできない」とツイートし、自らの主張を明らかにしています。


文化と人口は運命によって定められている。他人の赤子が他の文化を復元させることはできない

スティーブ・キング氏は説明においてこれは人種のことを指したのではないとしてはいるものの、彼の擁護者にはあのKKK団(クー・クラックス・クラン)の最高幹部ザ・グランド・ウィザードであるデビッド・デュークが背後についているのですから説得力ないですよね。

南アフリカで(土地収用問題に絡み)白人の農場経経営者たちが殺されて土地が奪われている事件が頻発している件を「白人大虐殺」とした話はFOXニュースのタッカー・カールソンの定番ストーリーとなっているのは記憶に新しいこと。なんとタッカー・カールソンが創設したメディアポータル「The Daily Caller」(ザ・デイリー・コーラー)は、Facebookの「白人至上主義」カテゴリーの中で「南アフリカ」というキーワードでおすすめとして表示されていました。

不適切キーワードの蔓延

ここで問題なのは、Facebookが人種差別を助長しているというだけでなく、Facebookのポリシー設定やAIと人間が行なう広告選別が不適切であるという点です。ProPublica(公益を目的とした調査報道で有名なアメリカ合衆国の非営利・独立系の報道機関)はFacebookが“Jew Haters(ユダヤ人嫌悪)” という指向性を持つ人たちを対象にした広告を許容していた点を指摘しています。また住宅の広告についても特定の人種や家族構成の人に表示されないようにされていた件も問題となっていましたね。これらはいずれも少なくとも米国では違法行為です。

Facebookのスポークスパーソンが米Gizmodoに語ったところによれば、「白人大虐殺陰謀説」カテゴリーは常識的に使用されていたとのこと。アメリカの陰謀説文化についての大学の講義などを例にあげていますが、Facebookはこの8月、問題ありとされるターゲッティングオプションを約5,000件も削除しています。ですが、まず5,000件の不適切オプションが実際にFacebookの広告に入り込んでいたというのがそもそも問題なのではないかと思いますが...。

ミャンマー、スリランカ、インドなどでの集団暴行や民族浄化の助長にもFacebookは直接関与しています。それと比べたら「大虐殺」なんて注目を惹くための言葉としてはそれほどインパクトがないのかもしれませんが、私にはそんな判断力はありません。

蛇足ですが、先ごろ「Kill all Jews(ユダヤ人皆殺し)」 がTwitterで注目のキーワードとなってTwitterが謝罪する騒ぎとなっていましたね。あーあ。なんて嘆かわしい世の中なんでしょうか。