ありがとう、ケプラー。その軌跡を振り返る

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ありがとう、ケプラー。その軌跡を振り返る
Image: NASA/Ames/Dan Rutter

一筋縄ではいかなかった9年間。

先月、はるか彼方の惑星系でおよそ2700個もの太陽系外惑星を発見したケプラー宇宙望遠鏡が、燃料切れにより引退したとNASAから発表されました。2009年の打ち上げ時には、「太陽系外の観測用に準備されたものとしては、その当時で最大級のデジタルカメラ」が搭載されていたとNASAは綴っています。当時はまだ、地上の科学者らは太陽系外の惑星についてごくわずかな知識しかありませんでした。

何度故障しても、観測を続けたケプラー

操縦システムの故障と減ってゆくヒドラジン燃料をよそに、600億円の探査機は元々の4年というミッション期間よりもはるかに長い、9年と19回に及ぶ観測ミッションの間、活動を続けました。Vergeによればケプラーは現在、今後1週間のうちに来るトランスミッターや他の機器の動作を停止させる命令を待っている状態なんだそう。その後は、地球を追尾する安全な軌道を静かに漂うとのこと(2018年3月時点で9400万マイルも離れており、時が経つとともに遠ざかり続けるようです)。

NASAの科学者らは、2012年に発生した姿勢制御系ホイールの故障後は修復不能かと心配していましたが、2013年になると故障したリアクションホイールを補正し、観測ターゲットにケプラーを向けるために太陽光圧を利用するという工夫に富んだ解決策を考え付きました。この解決策で全機能を復活させることはできなかった(それ以降は一度に83日間の観測しか行なえなかった)ものの、オペレーションの次のフェーズを始められたのです。

2018年8月末に19回目の観測ミッションを始める頃には、スラスターの1つがトラブルを起こし休止モードに入りましたが、9月には復旧できていました。

NASAのエイムズ研究センターの広報を務めるAlison Hawkes氏は9月にSpaceNewsに対し、「8つあるスラスターのうち1つが不安定な挙動を見せましたが、チームは精密な照準をつける間、そのスラスターを外すだけで許容できるシステムパフォーマンスになると判断しました」と語っていました。「その結果として変更が生じて、19回目の観測ミッションがその経過に加わったのです」とのこと。

ケプラーは宇宙探査への門戸を開いた

ケプラーはこの数カ月、ほぼガス欠状態でした。Space.comによれば、2週間前の時点で燃料はなくなっていたとNASAの職員が語っていたとか。

ワシントンにあるNASA科学ミッション部門のThomas Zurbuchen副長官は、「NASA初の惑星探査ミッションとしてケプラーは我々の期待をはるかに上回り、太陽系と系外惑星の調査と生命探査への道のりを築きました」とプレスリリースの中で述べています。「ケプラーは太陽系外に惑星がどれだけ存在し得るかを示しただけでなく、科学コミュニティーを魅了する、全く新しく活発な研究分野の火付け役となりました。ケプラーの発見は宇宙の中での我々の居場所に新たな光を投じ、そして恒星への好奇心を刺激する謎と可能性を照らしたのです」とその功績をたたえています。

NASAの天体物部門のPaul Hertz部長はVergeに対し、「ケプラーのおかげで、宇宙の捉え方が変わりました」と語っています。「ケプラーは宇宙探査への門戸を開いたのです」とも。

ケプラーの後継者でさらにパワフルなトランジット系外惑星探索衛星(TESS)は、2018年4月にSpaceXのファルコン9ロケットに搭載されて打ち上げられました。今後は2万個以上の新たな系外惑星を発見すると計画されています。探索にはそのうち、2021年に打ち上げ予定にもかかわらずゴタゴタしてるジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が加わる予定です。

さよなら、ケプラー。故郷の星から何千万マイルも離れた暗闇の中を漂っているかもしれませんが、宇宙はそれほど寂しくないと示してくれたこと、そして貢献したことは記憶に刻まれるはず。もしかしたら、いつの日か誰かに発見されるなんてことになるかもしれませんね。

Source: NASA(1, 2), Verge, SpaceNews, Space.com, Astrobio