MicrosoftがWindowsの次に作るもの

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  • author 山本勇磨
MicrosoftがWindowsの次に作るもの
Photo: 山本勇磨

今のMicrosoft、見てて楽しい。

2018年11月5日から7日まで、ザ・プリンス パークタワー東京にてMicrosoft Tech Summit 2018が開催中です。

Microsoft(マイクロソフト)といえば、Microsoft BuildMicrosoft Ignite、de:codeなど沢山カンファンレンスがあることでお馴染み。今回は、9月にアメリカで行なわれたMicrosoft Ignite 2018をギュッ!と凝縮したカンファンレンスとなっております。

はい、行って参りました

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Photo: 山本勇磨

なんと今年は米MicrosoftのCEO、サティア・ナデラ氏が来日。Mr.Surfaceことパノス・パネイ氏や、Windowsを統括するジョー・ベルフィオール氏など、Microsoftにはキーノートの語りがうまい人が多いんですよね。これは“キーノート厨”であるギズモードとしても行っておきたい。

そんな下心もありつつ参加した、Microsoft Tech Summit 2018初日。ナデラ氏は、全2時間半に渡るキーノートのうち、前半の30分ほど登壇されました。いやはや、上手かった。こう、グッと気持ちがこもった抑揚。アガります。

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Photo: 山本勇磨

あと、生声で聞くと、意外と声が高いんですね。またTwitterでは、「生サティア」「生ナデラ」という単語がツイートされる愛されっぷり。

MicrosoftはもうWindowsの会社じゃない

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Photo: 山本勇磨

ナデラ氏、実は2016年にも来日したことがあります。でも、その頃と今ではMicrosoftの体制はめちゃくちゃ大きく変わってます。Microsoftは今年3月に大幅な改編を発表。

すっかり話はWindows統括のテリー・マイヤーソン退社のニュースで持ちきりでしたけどね。でも、Microsoftが前々から語っていたビジョンの「インテリジェント・クラウド」と「インテリジェント・エッジ」に沿って、パッキリ組織が二分割。「Cloud + AI Platform(クラウド部門)」と「Experiences & Devices(エッジ部門)」のグループが誕生しました。ちなみにここで言うエッジ(端)とは、「末」や、その近辺のサービスのこと。

Surfaceを中心とする端末やサービスや、誕生10年を迎えたAzure(クラウドプラットフォーム)が主役となり、ついにWindowsという部門はなくなったのです。正しくは、エッジ部門に属する1グループになったのですが。

テック社会の踏み絵「Tech intensity」

とにかくMicrosoftは、ここ数年でもっとto Bのビジネスになってきています。

今は業種や場所を問わずすべてがテクノロジーの恩恵を受けているわけですが、そんなキーワードとして、ナデラ氏はテクノロジーの強み(Tech intensity)というキーワードを多く口にしていました。スライドに書いてあったのは、この言葉。

Tech intensity = (Tech adoption) ^ Tech capability

その企業におけるテクノロジーの強み(Tech intensity)は、その企業がどれほどテクノロジーを導入(adoption)しているか。そのテクノロジーは、どれほど他企業と差別化できているか(capability)のべき乗である。という意味。

言わば、どんな業種にもテクノロジーが存在する今においては、adoptionかcapability、どっちかが欠けているとTech intensityは低いという、踏み絵のような問いかけとなっているわけです。

もうMSはここまで来ちゃったんだよね

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Photo: 山本勇磨

すべての企業が(必然的に)テクノロジー化せざるを得ない“Tech intensity重視”の状況こそ、企業のデジタルトランスフォーメーションが注目される理由。「はい、そこはMicrosoftの出番ですよー」とナデラ氏が繋げます。

Microsoftのビジネスツールといえば、クラウドプラットフォームの「Microsoft Azure」があります。これはMicrosoftが世界に構えるクラウドサーバーエッジ(端末)からアクセスし、機械学習やサーバー、IoTのプラットフォーム構築の基盤として、それぞれの企業で機能します。積み木の1つをAzureから借りて、その企業が必要とするサービスを実現するもの、といったところ。

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Photo: 山本勇磨

ナデラ氏はこう語りました。

最も重要なのは、テクノロジーのためのテクノロジーではなく、 パートナーや顧客が我々のテクノロジーによって何を達成したのか?

顧客の成功こそがMicrosoftの成功と…。もうそのレベルまでビジネスが進んでいるのです。

Azureを含めた、Microsoftがビジネスの中心として掲げている「インテリジェントクラウド」と「インテリジェントエッジ」。これが、今後の企業のあり方を支配する認識の枠組み(パラダイム)になるともナデラ氏は語ります。

時代の移り変わりを感じる

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Photo: 山本勇磨

悪い意味じゃないです。でも、おそらくMicrosoftは僕たちから遠いところに行ってしまってるんだと思います。今回はビジネス向けのサミットなのもありますが。

コマツや、JTB、トヨタ、ニトリなど「インテリジェントクラウド」と「インテリジェントエッジ」の基盤でビジネスを促進する事例を見ると、Officeの稼働率が高い日本らしさを感じますね。そういう点では、パーソナルなコンピュータの普及とともにビジネスツールにも力を入れ、一億総デジタルワーク時代を実現したMicrosoftの功績はデカイなと。

他の人がテクノロジーを作るためのテクノロジーを作るのがMicrosoft。

まさにそうだと思う。でもね、それはMSはコンピューティングの普及という任務を終え、今度は環境づくりの番ってこと。いわば「私は好きにした、君らも好きにしろ」ってことですよ。

決算を見るかぎり依然としてPC関連の売り上げは大きいので、WindowsもSurfaceもこれからも続くでしょう。でも僕らが熱狂できるのはMicrosoftが組み上げてきた、OSやインターネットの根源的な楽しさではなく、これからはサードパーティが作ったアプリだったり体験だったりするわけで。嗚呼、PCとは。嗚呼、OSとは…。このシフトには素直に「一時代の終わりだなぁ」と感じさせられるのです。

2018年11月6日 19:50訂正:一部、表現の誤りを修正いたしました。

Source: Microsoft, アメリカ部

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