火星探査一筋!
着陸の成功率は40%といわれるも、無事に火星へ成功した探査機「InSight(インサイト)」。さっそく火星の地平線を写した初画像も届けてくれました。
んんっ? よくわからない…のもそのはず。これはレンズカバーが被っている状態の写真だそうで。
There’s a quiet beauty here. Looking forward to exploring my new home. #MarsLandingpic.twitter.com/mfClzsfJJr
— NASAInSight (@NASAInSight) 2018年11月27日
こちらはレンズカバーを外した状態の写真です。これが火星か…。
InSightの目的とは?
火星に着陸した後は何をするのでしょうか? 人類が送り出した最新の探査機は、ただ岩石や分子に興味があるわけではありません。地表よりずっと深い場所で何が起こっているのか?を調べるのが目的なのです。
火星は地球と同じ岩石の惑星で、大昔には水があったとみられています。NASAはInSightを使い、岩石の惑星がどのように形成され、進化したのかを調査したいと考えています。また、火星では地殻活動がどれくらい活発に活動しているのかを解明するつもりです。
装備と役割り
カリフォルニアでの打ち上げから6カ月の旅を経たInSightは、火星の表面に3つの新しい計測器を運んできました。1つ目は惑星から熱がどのように流出するかを測定する熱伝導プローブ「HP3(Heat Flow and Physical Properties Probe)」、2つ目は、惑星の極を使って核を調査する「RISE(Rotation and Interior Structure Experiment)」、3つ目は地震を計測する内部地震計「SEIS(Seismic Experiment for Interior Structure)」です。火星専門の科学者たちは、これらの計測器を使い、いままで不明だったデータを調べることになります。
アリゾナ州立大学ニュースペース・イニシアティヴの研究責任者であるタニヤ・ハリソン女史は、米Gizmodoに対して以下のように語ってくれました。
InSightは火星の内部を見るための初のミッションのために送られました。以前は火星の内部についてよく見ることができなかったので、答えられない疑問がたくさんあるのです。
InSightの活動内容
InSightが到着すると、科学者たちは2~3カ月を費やして着地エリア近隣を分析し、3つの計器のうち、SEISとHP3の2つをどこに置くかを検討します。RISEは、着陸機に居座り、火星の北極の位置を監視して、惑星がどのくらい揺れているのかを調べます。
これらの計測によって、火星の核が液体であるか、または鉄以外の元素が含まれているかどうかなどの情報を提供することができます。

一方地球でもInSightの活動と同時に演習を行ないます。
NASAのJPL(ジェット推進研究所)の科学者たちは、実験室に砂利を敷き詰めたテストベッドを持っています。そこに岩石と、火星にいるInSightと同じモデルの探査機を置き、着陸地点周辺を再現し、SEISとHP3を配置する演習を行なうのです。
SEISは地表にて、耐風・耐熱シールドの下に置かれ、外部の影響を受けないよう震源の測定を行なう必要があります。HP3は火星の地殻の放熱を調べるため、端末を約5m地下に埋め込みます。その際、ロボット・アームが両方の展開を手助けします。
火星地震「マーズクェイク」が惑星の組成を紐解く鍵
ライス大学にある環境・惑星科学科の、カースティン・シーバック助教授は、米Gizmodoに「(火星での)地震活動(マーズクェイク)はさまざまな原因で起こりうる可能性がある」と教えてくれました。
その発生源には、流星衝突の衝撃、地滑り、または地下での動きが含まれます。そのときの音波の速度を観察することで、惑星内部の組成を決定するのに役立ちます。一方で、内部からの熱流動もまた、科学者に組成を知らせるのに役立つ可能性があるとも。
そしてハリソン氏によると、地下の液体凍結や融解があるかどうかも、判断できる可能性があるということです。
地球と宇宙全体の惑星を知るヒントに
もちろん、InSightは火星の一箇所に座っているだけなので、採取できるデータの量は限られており、ミッションが興味深い情報を明らかにするまでには時間がかかります。研究者は、たとえば、惑星を内部を駆け巡る音波を発生させる、何かしらの衝撃をじーっと待つ必要もあるでしょう。
結局のところ、これらの測定値は火星に限った情報だけでなく、一般的な岩石の惑星についての情報ということでもあります。
それはなぜなのでしょうか? たとえば、地球の構造は活動的ですが、火星はそうではないのだろうか?惑星の構造が生命を繁栄させ、水を存在させたものの……一方から水が消えたのはどうしてなんだろう? そういう比較から、宇宙を解明していこうというわけです。
シーバック助教授はこう話します。
これは、別の惑星で起こっていることを地球上のものと比較するまったく新しい方法なのです。さらにはこの研究が、惑星全体の形成と進化を理解するのに役立つことでしょう
地震やほかのデータが採取できるまで、とりあえずはもっと写真でも送って欲しいですね。
Source: YouTube, NASA MARS InSight Mission