適材適所ということですかね。
軽いタスクを中心とするなら安くて十分に速いChrome OSのChromebookでいいよね!っと各メーカーがプロダクトを出してきているわけですが、Acerによる最新の「Chromebook Spin 13」はちょっと異色です。というのも、価格帯が700ドル〜1000ドルとちょっと高価に。もちろん、高くなっている分だけ性能やデザインも進化してはいるのですが、米GizmodoのAlex Cranz記者は「高級Chromebookって誰がいるのさ」とバッサリです。以下、Alex Cranz記者どうぞ。
Acer Chromebook Spin 13

これは何?:高級版Chromebook
価格:700ドル(約8万円)のモデルからスタート。今回レビューしてるのは900ドル(10万2000円)のモデル
好きなところ:ディスプレイは本当にいい
好きじゃないところ:Chromebookなのに900ドルもする
Chrome OSを搭載したラップトップ「Chromebook」は1,000ドルを越えてはいけないプロダクトです。ChromebookもGoogleのPixelbookは私も非常に素晴らしいプロダクトだと思っていますが、1000ドルも払えとはなかなか私も言えないわけです。
そう考えると、Pixelbookを多くの点で模倣している今回のChromebook Spin 13の値段も正当化するのは難しいと言わざるをえません。Pixelbookよりもパワーが強化されており、いくつかの改善点も見られ、さらに値段も100ドルほどカットされているとはいえ、それでも、高級版だからとChromebookに900ドル払う消費者を見つけるのは難しいわけです。
性能のアップは値段なり

高級版であることに間違いはありません。作りはこれまで見たChromebookの中でも最も良い物の一つと言えるでしょう。閉めてしまえばWindows機と間違えてしまいます。メタルで触り心地も冷ややかです。ヒンジ部は輝かしいクローム製となっており、13.5インチのディスプレイは幅広な3:2(2256 x 1504)がパッと目を引きます。明るさも良く、米Gizmodoでのテストでは372nitsの数字を叩き出しました。
バッテリー寿命もかなり良いです。輝度を200nitsに設定した後、YouTubeビデオをストリーミングし続けたところ、Spin13は10時間と2分、持続しました。Pixelbookの場合は8時間53分、値段がさらに下がるSamsung Chromebook Plus v2の場合は7時間42分でした。

もちろん、Samsungのchromebookは値段が500ドル程度、そして今回のAcerによるChromebookは900ドルです。プロセッサがよくなり、ディスプレイもよくなる、さらにバッテリー寿命が数時間伸びても不思議ではない値段の差です。
スペックの組み合わせによってはSpin 13の値段を下げることもできます。我々がレビューした機体はストレージが64GBのSSD、RAMは8GB、そしてインテルによる第8世代i5-8250U CPUを搭載しています(しかしNetflixを数時間以上見ると確実に冷却用ファンが作動しました)。しかし800ドルでは、i3-8130Uが、700ドルでは同じくi3-8130UにRAMが4GBという組み合わせになります。この場合は冷却用ファンはそれほど作動しないかもしれません。
Chrome OS機を使うメリットは作業効率が良い点にあります。大きなストレージ・ドライブは必要なく、たくさんのRAMも必要としない、そのためi5-8250UのようなCPUも必要無いはずです。このCPUはWindows 10やMacOSになら歓迎されるでしょうが、Chrome OSはそれほどCPUパワーを必要としない点が売りであり、今回のi5-8250Uは過剰とも言えるはずです。


速くはなったけど、実感できるかというと…?

Spin13を一週間使って確信したことがあります。Pixelbookは第7世代インテルプロセッサを搭載しているわけですから、それよりも速いのはたしかでしょう。しかしSpin 13ではその速さも実感できるレベルでは無いのです。
ブラウザを使ってインターネットを見るのも、それほど速くなったとは感じられませんでした。画像リサイズやスプレッドシートの操作といったウェブベースのタスク処理の性能を数値化したWebXPRT 2015では、Spin 13のスコアは540、一方のPixelbookは453という結果になりました。
現実に即してこのスコアを説明すると、私はスコアが300を切るような状況でないと遅さを感じません。たとえば500ドルのSamsung Chromebook Plus v2のスコアは260で遅さを感じます。しかしそれでも、酷いというほどパフォーマンスが遅いとは感じないわけです。であれば、なぜさらに400ドルを払ってコンマ数秒速くChromeのタブを開きたいと思うのでしょうか?私は思いません!
スタイラスは結構使える

もちろん、ただブロガーのためにAcerは今回のChromebookを作ったわけではありません。Spin 13は360度ヒンジを搭載したラップトップで、Wacomの技術によるなかなか良いスタイラスも付いてきます。ノートを取るためのラップトップであると同時にアーティストやデザイナーのためのラップトップでもあるのです。またAndroidアプリのChrome OSサポートのおかげで、こういったアーティスト向けのアプリのオプションもここ2年ほどで改善されました。またGoogleがスタイラス向けの認識技術を積極的に開発してきた成果も現れています。Samsung Chromebook Proでスタイラスを使った時と比べると、Spin 13では格段に使いやすくなっています。


遅れは無くなり、スタイラスは先月ローンチしたPixel Slateでの使い心地よりも遥かに良いです。難点はスタイラス自体が小さいこと。ソファーに座って何時間もデッサンをする、なんてことには向いていません。Chromebookは日々の仕事で使うにはまだまだ十分とは言えないです。
Pixel SlateはiPadの安価な代替プロダクトとしてGoogleによって売り出されてきており、実際になかなかの性能を見せてくれます。しかしSpin 13はiPadの代替プロダクトにしては重すぎるわけです。なんたって1.5kgもありますから。さらに厚さは1.8cmほどの厚さです。iPadじゃなくてこっちにしよう、とはいきません。そして大きくてパワフルで高級、というスタイルはChrome OS自体との相性が良くないのです。

Chrome OSのデバイスが欲しいのであれば500ドル以上を費やすのは控えたほうが良いでしょう。Spin 13やPixelbookのようなラップトップで良いCPUや良いバッテリー寿命は手に入るかもしれませんが、その長所を感じられるような状況はそれほど多くないのです。少なくとも現時点では。高級なChromebookは存在しても、それを購入すべき消費者はいません。同じ値段で良いWindowsラップトップが買えるわけですから。
まとめ
・最も高速なChromebookのうちの一つかもしれません。
・しかしスピード計測のマニアじゃない限りはそれには気づかないでしょう。
・スタイラスの収納は素晴らしい。
・巨大な13.5インチのディスプレイも素晴らしいですが、値段を正当化するほどではありません。
・1.5kgは本当に重い。
・大きくてパワフル、かつ13.5インチの3:2ディスプレイが付いたChromebookが欲しいのであれば、i3プロセッサで4GBのRAMを搭載した700ドルバージョンを購入してお金を節約しましょう。それで十分です。