衛星が超小型化できるほど技術が進んだ証でもあるかと。
今年7月に、人工流れ星を自在に降らせる「願い事唱え放題!」なプロジェクトを紹介しました。これは「ALE-1」と呼ばれる人工衛星から特殊な素材の粒を放出し、大気圏で燃焼させることで流れ星のように見せるというものでした。
“人工衛星の相乗り”でテスト打ち上げ
このプロジェクト、いよいよ1月にその初回チャレンジが行なわれます。そしてこの、人工流れ星の粒が詰まった人工衛星を打ち上げるのが……日本が誇るJAXAの「革新的衛星技術実証1号機/イプシロンロケット4号機」。
しかし、今回打ち上げられるロケットは、ALE-1を打ち上げるためだけではなく、たくさんの小型人工衛星が搭載されています。この相乗り方式は、最近のロケット打ち上げのトレンドになってきています。
イプシロンロケット4号機の先端には、計7機の人工衛星を搭載します。内訳は、小型実証衛星1号機(通称、RAPIS-1)、超小型衛星3機、キューブサット(大学研究室などが製作する小型人工衛星)3機。このうちの1機が、人工流れ星を降らせるALE-1です(7機すべての詳細)。
イプシロンロケット4号機は2019年1月17日9時50分より、鹿児島県にある内之浦宇宙空間観測所より打ち上げが予定されています。数々の実証成功に期待したいですね。
インドでは世界記録を達成している
インド宇宙研究機関(ISRO)もまた2月、一気に104機の小型衛星同時打ち上げを行ない、世界記録を作っています。
SPACE.comによると、104機のうち101機が小型ナノ衛星(ナノサット)で、そのうち88機が米国のものとのこと。それらは鳩という意味の「Doves」と呼ばれ、サイズは30×10×10cmという、確かに鳩くらいの大きさなのです。
もちろんSpaceXも
イーロン・マスクのSpaceXは、12月3日に64機の小型衛星の打ち上げに成功しています。これは新型ブースター「ブロック5」を用いた、ファルコン9ロケットにて打ち上げられ、米国最大のライドシェア・ミッションとなりました。
こちらも企業や大学などから集められた撮影衛星やデモ機だったりするのですが……その内ふたつは美術品で、ロサンゼルス郡立美術館による最初のアフリカ系アメリカ人の宇宙飛行士を模した胸像と、宇宙で開いて地上から鑑賞する目的の立体オブジェなんですって。
さらに驚きなのが、人間の遺骨が積まれた衛星もあるというのです、たまに“宇宙葬”なんて言葉を聞きますが、こんな形で打ち上げられているんですねぇ。いずれもロマンがありますが、くれぐれもスペース・デブリにはならないでいただきたいものです。
SpaceXは今後、田舎や僻地でインターネットを広げることを目的とした、「スターリンク・プログラム」の一環で合計1万2000機の衛星を打ち上げます。さすがに何度かに分けるでしょうけれども、これはこれで世界記録になるんじゃないでしょうか?
もちろん効率がいいから
今回は3つの例を挙げましたが、最近は一度の打ち上げで大量の小型衛星を打ち上げるビジネスが確立してきました。
どれもが人類の科学技術発展のためでもあり、一気に持っていった方が効率が良く、民間企業なら特に、打ち上げ資金回収にも一役買うワケです。ブースターを何度も再利用するなどの工夫で、昔よりロケットが安く飛ばせる時代になったのも理由のひとつとしてあるでしょうね。