騒音をブロックできて、なおかつ高音質のヘッドホンを求めて。
飛行機の長旅の中、ノイズキャンセリング(以降NC)のついたヘッドホンは本当にありがたいですよね。音楽を聴かなくても、ちょっとした静寂が欲しい時には最適です。最近は特にNC付きのヘッドホンも種類が豊富になってきたので、米Gizmodoではデザイン、音質、キャンセリング能力の3つのカテゴリでベストのヘッドホンを決定してみました。
飛行機に乗る人や、オープンコンセプトのオフィスで働く人、あるいは世界がとにかくうるさいと思う人にとって、ノイズキャンセリングヘッドホンは必須アイテムでしょう。特に最近のものは優秀ですからね!
ノイズキャンセリングヘッドホンのコンセプト自体は目新しくありません。ヘッドホンの外側につけられたマイクがうるさいノイズをひろい、それと逆の波形の音をヘッドホンの中に流すことで雑音が打ち消されるわけです。もちろん、ヘッドホンである以上、静かにしてくれるだけでは物足りないという人が殆どでしょう。しかし、ノイズをキャンセルしつつ高音質のヘッドホンを作るというのは、長年オーディオ業界の課題でした。
どのメーカーもこの問題の解決に取り組んでいるようで、いくつかはかなり近づいています。Bose(ボーズ)は、最新のQuietComfort 25 II(3万9960円)も含めて、ノイズキャンセリングヘッドホンの王者です。しかしSony(ソニー)も近年、WH-1000XM3(3万9980円)でグイグイとトップに迫っています。一方、その他の競合社も優秀なモデルを発売しており、Beats Studio 3 Wireless(3万4800円)、Bang & Olufsen Beoplay H9i(5万5463円)、Bowers & Wilkins PX(400ドル、約4万4千円)、そしてMicrosoft Surface Headphones(350ドル、約3万9千円)などがあります。そこで米Gizmodoが、これら6つのヘッドホンの、デザイン、音質、ノイズキャンセリングの3つのテストを行なった結果、圧倒的な勝者が浮かんできました。
デザイン
最近のノイズキャンセリングヘッドホンは、完全ワイヤレスイヤホンを含めると、様々な形をしています。今回テストした6つはどれもヘッドバンド型のイヤーカップ式ヘッドホンです。ほら、イヤーマフみたいな形したあれです。そして、最近のスタンダードに従い、6つ全てワイヤレスです。その方が動きが自由になりますしね。ノイズキャンセリングが必要になる環境では、頭の動きが自由なのも重要になります。同時に、イヤーカップ式は耳を覆って多くの雑音を防ぐことで、ノイズキャンセリングもより有効です。しかし、このデザインはヘッドホンが異様に大きくなったり、つけ心地が悪くなる可能性もあります。

そこでまずガッカリするのがMicrosoft Surface Headphonesです。イヤーカップのクッションがふっくらしすぎて、耳の為の隙間があまりありません。Beats Studio3 Wirelessも同様に分厚く、Bowers & Wilkins PXの妙に硬いクッションはクッションとしての役目をはたしていません。しかもBowers & Wilkinsは折りたためないので、持ち運びに不便です。見た目は良いんですけどね。
最高のヘッドホンは、軽くてタイトなフィットのデザインであるべきです。Beoplay H9iは比較的に軽いものの、つけ心地がゆるくて軽く頭を振っただけで落ちてしまいます。

残ったのはBose QuietComfort 35 IIとSony WH-1000XM3です。1メートルも離れると、この二つはあまり見分けがつきません。どちらもヘッドバンドにパッドがついており、イヤーカップの中には耳の入るスペースが十分あります。しかし近づくと、Sonyの方が若干しっかり作られているように見えます。比べるとBoseはややもろそうです。つけてみると、Sonyの方が少しだけ、頭をより抱え込んでくれます。私個人の意見としては、Sonyの方がやや見た目も良いと思います。
勝者:Sony WH-1000XM3!
音質
オーディオマニアの多くは、ノイズキャンセリングが音質に影響を与えると言うでしょう。一般的な見解としては、ノイズキャンセリングを行なうことでわずかなホワイトノイズが発生するのと、音楽自体の特定の音域にも影響を与えてしまうことで、音質が劣化すると考えられています。しかし、技術の進化とともにその考え方はもう古いとする人もいます。それに、ノイズキャンセリングが必要な環境では、邪魔な音を消せる能力の利点が、音質の多少の劣化という欠点に勝るのではないでしょうか。ノイズキャンセリングの利点に興味がある人でなければ、そもそもここまで読まないと思いますしね。

今回テストした全てのヘッドホンは、良い音を出します。だからこそ、このテストに選ばれたわけですからね。しかし、どれもが全く同じ音を出すわけではありません。Microsoft Surface HeadphonesとBeats Studios3 Wirelessは、音質はそこまで特別ではありません。Surface Headphonesはちょっとくぐもっていますし、Beatsは中音域が弱い気がします。一方、QuietComfort 35 IIはBoseのヘッドホンらしく明るい音が出ます。ということは、あまり低音域は強くありません。Bowers & Wilkins PXとBeoplay H9iも同じ高音域が強めという弱点が出ています。
とはいえ、先ほども書いたように、どれも悪い音ではないんです。ただ、Sony WH-1000XM3が他より音が良いだけなんです。マライア・キャリーの「Caution」を聴けば、ベースの音に椅子から飛び上がるようだし、ギターの音が目立つOttmar Liebertの「Barcelona Nights」の高音域は明るくて迫力があり、Radioheadの「15 Step」の複雑な音のレイヤーはまるで三次元のように聴こえます。Sonyのヘッドホンがベストだった、というだけのことです。
勝者:Sony WH-1000XM3!
ノイズキャンセリング
これぞノイズキャンセリングヘッドホンの真髄です。どんな家電量販店でも見た目が良くて、そこそこ音の良いワイヤレスヘッドホンは買えますが、ベストなノイズキャンセリングを備えたものとなると難しくなります。この場合求めるべきはアクティブノイズキャンセリング(ANC)を行なうヘッドホンですが、ヘッドホン毎に使われている技術は異なります。今回テストしたヘッドホンは全てANCを使用しており、その効き具合もヘッドホンによって様々です。

ノイズキャンセリングの効果を測る科学的な方法は存在しますが、スペクトラムアナライザやダミーヘッドなどの特殊なオーディオ機器を必要とするので、現実世界に基づいたテストを行ないました。私を囲むようにスピーカーを複数設置し、飛行機内のノイズを再生して、ノイズがヘッドホン越しに聞こえるようになるまでボリュームを上げていきます。いくつかはかなりの低ボリュームでも降参してしまいましたが、その他はかなりの騒音でもしっかりブロックしてくれました。
テストの結果、最終的に残ったのはSonyとBoseでした。また、この二つは気圧センサーがあるため、実際に飛行機に乗った時もキャンセリングを最適化してくれることを留意しておくべきでしょう。激しい争いでしたが、最後はSonyの方がほんの少しだけBoseよりも静かさを保つことができました。
勝者:Sony WH-1000XM3!
勝ち残ったのは…
ガジェットバトルで、一つの機種が全てのラウンドで全勝してしまうのは珍しくありませんが、今回の場合争いはかなりのデッドヒートでした。デザイン、音質、キャンセリング能力、全てにおいてSonyがBoseを僅かに上回ったのです。確かにSonyの方がしっかりフィットし、より大きな音もキャンセルできますが、Boseも決して侮れません。

Sonyが上回った部分は音質でした。私だけでなく、複数人で目隠しテストも行ないましたが、全員がBoseや他の製品ではなく、Sonyを選んだのです。結果、Sonyのノイズキャンセリングヘッドホンがベスト、という結論に至りました。