Googleには「Google Tシャツを契約社員にあげてはならない」という謎な社規がある

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Googleには「Google Tシャツを契約社員にあげてはならない」という謎な社規がある
Image: Redbubble
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シャツぐらい配ってあげなよ…。

世界17万人のGoogle(グーグル)社員の半分近くはテンプ(派遣)、ベンダー、コントラクター(契約社員)、3つ合わせて「TVC」。同じ職場なのに正社員とはえらく待遇が違う話は有名ですが、The Guardianが入手した社員研修資料「TVC対処のABC」(命名主はAlphabetの人か?)でこんな妙な社規があることがわかりました。

「TVC対処のABC」

社内カースト実践マニュアルともいうべきこの社内研修資料「TVC対処のABC」(何度書いても恥ずかしいわ)には、こんな心得が記されています。

TVCと働くことと、グーグラー(正社員)と働くことを、同じに考えてはならない。このような社規を設けているのもTVCが、雇用契約の性質上、大きなリスク要因になりうるからである。

そして、Google全社員に次のルールを守るよう指導しています。

・「戦略や独自技術の情報」を話し合うチームミーティングのときは、TVCに席を外してもらうこと。

・TVCにはTシャツなどのGoogleストアのグッズを褒美にあげてはならない。

・全社ミーティング、チームのオフサイト合宿にTVCを呼んではならない。

・経営陣への質問を全社員が投稿・投票する週1回定例TGIFミーティングにTVCを招待してはならない。

社員2人(TVC)が同紙に語ったところによると、週1回の全社ミーティングなんかのイベントでは、実際に警備が駆り出されて入口で検問までするんだそうですよ? 白の社員証のFTE(正社員)はインで、赤の社員証のTVCはアウト。ちなみに門番している警備の人は孫請けなので、赤です。

なぜGoogleシャツがダメなの?

さて、気になるのはなぜグーグルシャツを褒美にあげてはならないのか、という核心部分ですが、このカースト実践マニュアルで挙げているのは以下3つの理由です。

・ボーナス、ギフト、ご褒美は課税所得とみなされる。Alphabetは雇用主ではないので申告できない。

・倫理・コンプライアンス上の懸念。

・地域の法規制を守る必要がある。派遣会社がギフトの受け取りを禁じている場合もある。

また、こんな記述も。

人材派遣会社との共同雇用となると、社員に対する権利と義務を当社も負うことになり、Alphabetに雇用者としての法的責任が発生するほか、作為・不作為が労働関係の訴訟に発展してしまうからだ。

…。GoogleソフトウェアエンジニアがThe Guardianにこう人間語に訳してくれてます。

会社にいっぱいいるけど、あの人たち社員じゃないですからと、そう言いたいんですよ。そうすれば訴えられても「おいおい、君ね、正社員気取りは困るよ、こんなに違うんだから、いいね?」と、ウンコみたいな屁理屈こねて逃げられる。人をゴミ扱いしても会社は法的にはなんの責任もないってこと。

Googleシャツがだめなら、じゃあ、どうすればいいんだ?って思っちゃいますけど、この研修資料では、契約社員をほめたいときには…

Google+でほめましょう。

と、指導していますよ。4月にサービス終了のGoogle+で。士気あがりすぎて涙出ますよ。

契約社員はセクハラ通報もできない

Googleといえばセクハラ退社したAndroidの父アンディ・ルービンの高額な退職金に抗議する社員のウォークアウトが全世界で沸き起こって、社内セクハラ通報システムが改善されたばかりですけど、米Gizmodoが契約社員に聞いた話では、契約の人たちは全然改善されていなくて、今も通報できないんだそうですよ? ウォークでは契約社員2万人も参加していたのに、非存在扱い。こうした待遇についてGoogle広報はThe Guardianに「TVCは重要な労働力ですが、雇用主は他社であって、Googleではありません」と言うにとどまってます。

契約社員はYouTube銃撃のとき連絡もこなかった

今月はサンダー・ピチャイCEO宛てに契約の人たちが公開質問状で待遇改善(昇給、医療保険、有給、産休・育休、賞与など)を求めています。その中で、

今年4月のYouTube銃撃の最中も、避難警告が流れたのは正社員だけで、契約社員は弾が飛び交う現場で途方に暮れた。翌日の全社集会にも契約社員は入れてもらえなかった。

…という話があって、思わず二度見してしまいました。机の下とかドアの影に隠れてるときに、隣の正社員に会社から避難情報が流れて、自分の携帯にだけ流れないとか、ちょっと想像するだけで悲しすぎる…。なんでそんな心無いことできるんだ…。「派遣会社が雇用主」って、派遣会社がGoogleの避難経路知るわけないじゃないですかね。

Microsoftが9700万ドル払った待遇差別の比ではない規模

契約社員や臨時社員が増えているのは株主圧力らしく、今はシリコンバレーはどの企業も(Facebook、Appleも)同じ傾向だとBloombergが書いてます。社内待遇差別といえばMicrosoftもそのむかし集団訴訟されて、8年争った末、2000年に合計9700万ドルの損害賠償を支払うことで和解してますけど、あのときお金を受け取った契約社員は推定8,000~1万2000人。今のGoogleは17万人の半分近く…桁が1個違います。同じような待遇差別をしているのだから、普通に支払ったら途方もない金額になるはず。でもお咎めなしでいられるのは、「社員じゃないですから」と言い続けて、社内でも「Googleシャツあげたりすると(課税所得・倫理・雇用主・コンプライアンス・派遣会社の規約うんたらかんたらで)正社員と勘違いされるのであげないように」と、指導を徹底しているからです。

そんなわけで契約社員にGoogleシャツをあげられない日は当分続きそうです。

Source: The Guardian

,Bloomberg

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