「Misfit Vapor 2」レビュー:1年早く発売してたらよかったんだけど…

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「Misfit Vapor 2」レビュー:1年早く発売してたらよかったんだけど…
Photo: Sam Rutherford(Gizmodo US)

遅過ぎたかな…。

スタイリッシュなフィットネストラッカーで有名なMisfitによるスマートウォッチの最新モデル「Misfit Vapor 2(ミスフィット・ヴェイパー2)」。日本でも発売されたばかりの同製品について米GizmodoのVictoria Song記者は、発売されるのが1年早かったら…と評しています。以下、レビューの中でその理由を説明しています。




Misfit Vapor 2

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Photo: Sam Rutherford(Gizmodo US)

これは何?:Misfitによる2作目のスマートウォッチ

価格:250ドル(日本価格税抜き2万9500円~)

好きなところ:洗練されたデザイン。急速充電機能。

好きじゃないところ:時代遅れなチップセット。つまらないフィットネス機能。イマイチなバッテリー寿命。

Misfit Vapor 2の問題点は1年前に発売すべきスマートウォッチだったということです。

MisfitはFitbitのような有名ブランドではありませんが、Phase(フェイズ)Ray(レイ)そしてShine(シャイン) 2といったミニマルかつおしゃれでありながら機能的なフィットネストラッカーで、ウェアラブル端末としての評価を得てきました。だからこそ同社初のタッチスクリーン・スマートウォッチ、初代Misfit Vapor(ヴェイパー)CES 2017で発表されたというニュースは、最初のうちは注目を集めたのです。

Vaporはすりガラスのタッチベゼル、Misfit独自のソフトウェア、NFC機能、さらに心拍計、睡眠トラッキングとGPS搭載を約束した、本当にカッコいいデザインのAndroidスマートウォッチでした。しかしその後、同製品は妥協と果たされない約束の産物となってしまったのです。数カ月が経つと、Wear OS(当時はAndroid Wear)を搭載するため、Misfit OSを見捨てることに。そして2017年夏の発売予定日が来るも、Vaporが売られる兆しがないまま過ぎました。ようやく2017年12月下旬に出荷された頃には、NFC決済と内蔵GPSは消えていたのです。

つまり、Vapor 2は約束されていた機能さえあればよかったのです。そしてそれは叶いました。ただ前モデルからさほど変わったわけではありません。2018年は、スタイリッシュで優れたスマートウォッチが出そろっており、残念なことにVapor 2はその製品群の中では目立たないのです。

初代Vaporの特徴は失われてしまったが、それでもファッショナブルなデザイン

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Photo: Sam Rutherford(Gizmodo US)
Vapor 2は光学式心拍モニターを搭載しており、フィットネスのお供に最適。

デザインの話をすると、Vapor 2は初代Vaporのすりガラスタッチベゼルを捨ててしまいました。そのちょっとした個性をなくしたことにはがっかりしました。それがなくともVapor 2は洒落てはいますが、親会社Fossil(フォッシル)のラインナップ、特にQ VENTURE HRにとても似ているようにも見えます。

Vapor 2は、Vaporと比べて流線形のラグによってより洗練されたインダストリアルなルックスとなっており、41mmと46mmの2つのサイズが用意されています。41mmモデルには1.2インチのAMOLEDディスプレイがつき、厚さはちょうど11mm。46mmモデルは1.4インチのディスプレイで厚みは11.2mmです。本体右側にある押しボタンでメニューへのアクセス、あるいは長押しでGoogle Assistantを呼び出せます。通知をスクロールしていくためのダイヤルとしても機能します。

Vapor 2はカラーバリエーションが豊富です。ウォッチ本体はローズゴールド、ステンレススティールまたはブラックケースから、ストラップはテクスチャード加工のスポーツシリコンまたはステンレススティールから選べます。私は41mmモデルのローズゴールドを試すことにしましたが、着け心地がとても良くてファッショナブルでした。テクスチャード加工のスポーツストラップは「レザーの見た目と質感を真似ている」というMisfitの主張には懐疑的だったものの、それが間違いであって私はうれしかったです。このストラップは、たとえばApple Watchのような標準的なシリコンストラップよりも触り心地も見た目も非常に良く、さらに運動中もしっかりとホールドしてくれます

フィットネス機能は信頼できるけどつまらない

運動といえば、Vapor 2はフィットネスのお供にピッタリです。加速度計、高度計、ジャイロスコープと光学式センサーが搭載されていて、さらに30mまでの「浅水での水泳」ができる防水仕様となっています。そのため、深海での潜水でなければ大丈夫なはず。音楽とアプリ用に4GBのストレージもついていますが、スマートウォッチとして標準的といえるでしょう。データはGoogle FitとGoogle Fit Workoutに記録されますが、これが少し期待外れでした。Misfitの専用アプリはかなり洗練されていて、それが初代Vaporセットアップでの手順を増やしていたものの、他のWear OSウォッチではなくVaporを選ぶ理由になっていたからです。

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Photo: Sam Rutherford(Gizmodo US)

精度に関して言えば、Vapor 2の心拍数モニタリング、GPSそして歩数計はおおむね正確です。私はFitbit VersaとApple Watch Series 4と共に身に着けました。丸一日かけて歩数計を試したところ、この3つのデバイスの誤差はそれぞれ200-300歩以内でした。かなり信頼できます。ブルックリンのプロスペクトパークでの2マイルのジョギング中は、GPSの接続には全く問題ありませんでした。何度か街中で半マイルのウオーキングをしたときには、ほんの数回だけ接続不良に見舞われましたが、高層ビルのある地区で起きることが多かった模様。

距離のトラッキングとなると、2マイルのジョギングはApple Watchが1.97マイルと記録した一方で、Vapor 2では1.92マイルと実際より少なく記録されました。全体的にみれば取るに足らない差異です(Fitbit Versaはコネクテッド型GPSなので、この比較では使いませんでした)。心拍数に関してVapor 2は、Polar H10チェストストラップと比べてから大体5-10拍/分以内の誤差といったところでした。これも信頼できる数値で、他の手首型トラッカーのほとんどと同等です。

それでもMisfitが生み出したスマートウォッチとしてVapor 2はフィットネス面とウェルネス面での機能が不足しています。Google Playストアからサードパーティー製アプリをダウンロードすることもできますが、追加の設定なしでペース、心拍数とGoogleの気まぐれな「通常の運動」と「ハートポイント」データ以上のものは得られません。それに昔からのMisfitアプリのユーザーの場合、同アプリはVapor 2に対応していないので、今までのデータは引き継げません

チップセットは時代遅れ

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Photo: Sam Rutherford(Gizmodo US)
少なくともVapor 2は、ほとんどベーパーウェアと言ってもよさそうな前モデルとは違います。

それもVapor 2でスマートウォッチの良さを体験できるなら良いのです。実際、とても優れていますからね。Vapor 2はGoogle Payに対応したNFC決済の機能(日本では未対応)がついた一方、時代遅れなSnapdragon Wear 2100プロセッサとイマイチなバッテリー寿命が足かせとなっています。最先端のWear 3100プロセッサ搭載のFossil Sportと異なり、メニュー間をスワイプしてる時にラグや誤作動がたまにありました。

たとえば、Wear OSのアップデートをダウンロードするのにVapor 2は15分もかかりました。その間に、バッテリーは100%から79%になったのです。さらにひどいことに、バッテリーがとても熱くなり、燃えている石炭が肌に乗っかっているかのように感じました。スタンドアロンのGPSを使った運動のあとも同じようにバッテリーが消耗します。 Vapor 2の急速充電する機能は、曲がりなりにもイマイチなバッテリー寿命の痛手を和らげるようです。ほとんどのトラッカーやスマートウォッチはフル充電に2時間ほどかかりますが、同デバイスはカバンの中に充電器をしまえば50分で確実に0%から80%へ充電できました

1年前に発売してたらよかったんだけど…

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Photo: Sam Rutherford(Gizmodo US)
Vapor 2は特徴的なタッチベゼルを捨ててしまいました。残念です。

250ドルという妥当な価格(どちらのサイズでも!)と洗練されたデザインは別にして、Misfit のVapor 2には特別な何かがあるわけではありません。スマートウォッチの役割を果たして、全く最低というわけでもない。手首につけるとカッコよく、400ドル(日本では4万5800円から)からのApple Watch Series 4や330ドル(約3万7000円)のSamsung Galaxy Watchと比べたら、断然安いです。しかし、Series 4は手首での心電図計機能(ECG)、Galaxy Watchはバッテリーが4~5日間持つといった高価格を正当化するだけの魅力的な特徴を備えています。

Misfit Vapor 2を購入する本当の理由は、大枚は叩きたくないけどAndroidフレンドリーなスマートウォッチが欲しいというものでしょう。しかしそれらのレベルの製品群だと、ほんの5ドル高いFossil Sportには最新のプロセッサ、そして基本的には同じ機能が搭載されています。つまるところ、Vapor 2が秀でているのは洗練されたデザインだけなんです。Misfitが同製品を1年前に発売してたら私たちの考えは違っていましたが、そうはなりませんでした。だから今、Vapor 2はチャンスを逃してしまった製品だといえます。

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Photo: Sam Rutherford(Gizmodo US)

まとめ

・まぎれもなくスタイリッシュなスマートウォッチですが、初代Vaporに搭載されていたタッチベゼルの廃止したことで、特徴的なスタイルを一切失ってしまいました。

・トラッキング精度は良いのですが、これがMisfitのスマートウォッチだと考えると全体的なフィットネス機能はとてもつまらない。

・時代遅れのSnapdragon Wear 2100とイマイチなバッテリー寿命にはがっかり。

・初代VaporにはなかったNFC決済とGPSが搭載されました。

Source: Misfit(1, 2, 3, 4), PCmag, Fossil, Heart.org,

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