MITがディープ・ラーニングと3D印刷で名画の完全再現を目指す

  • author 岡本玄介
MITがディープ・ラーニングと3D印刷で名画の完全再現を目指す
Image: MIT News

ディープ・ラーニングで、10色インクをどのように混ぜるかを見極めます。

芸術作品をリプロダクション(複製)するのには、普通の印刷ならCMYKの4色を使います。ですがこれでは色味に深さが足りませんし、なんだかフラットな感じが否めないんですよね。

絵画をコピーするAI

そこでMITのコンピューター・サイエンスと、人工知能研究所(CSAIL)のチームが、10色インク3D印刷で行なうリプロダクション方式「RePaint(リペイント)」を開発しました。しかもそれに使われるのは、ディープ・ラーニング。これにより、絵画の中で何色もの絵の具がどのように混合されているのかを見極め、既存の方法より4倍以上の正確さでコピーを生み出すのです。

Video: MITCSAIL/YouTube

スキャンしたデータがあれば、貸出中や修復中、それに保護目的で掛けられない作品の代替になりますし、万が一災害で消失や盗難で紛失した際に(苦肉の策ですが)再現できるのは素晴らしいメリットです。

芸術家と技術開発

MIT Newsいわく、「RePaint」は開発テストで芸術家たちと共同作業をし、彼らが塗った絵画を再現する実験を行なったそうです。そこで従来の最先端技術よりも、4倍以上の正確さで描画されることがわかったとのこと。

印刷は、「カラー・コントーニング」と呼ばれる特殊な方法を用い、10種類の透明インクを極薄のレイヤーで塗り重ねていきます。加えて、古くから新聞や雑誌の印刷に用いるハーフトーンという、微細なドットで色を重ねる技術を組み合わせることで、微妙なニュアンスを出すことに成功したのです。

再現する絵が混ざり合い、極彩色になればなるほど、色の解析は労力を要することになります。ディープ・ラーニングは、絵画のスタイルや、色が塗られたエリア毎にどう配色していくのかを学習しました。

「RePaint」の需要

機械工学技師のマイク・フォシェイ氏は、最近のアートの傾向を鑑みて、ますますこの技術の需要が高まりそうだと見ています。

近年、美術の価値が急速に高まっているため、一般の目から離れた倉庫に閉じ込められる傾向が強まっています。私たちはこの傾向を逆転させ、安価で正確な複製物を作成し、すべての人が楽しめる技術を構築しています

今後の展望→大きく、多様に

現在はリプロダクションの工程に時間がかかるため、名刺サイズしかできないとのこと。研究チームは、今後プリンターの性能が上がることと、さらにはもっと幅広く、ツヤツヤのテキスチャーから光を反射しにくいマットな表面加工も再現したいとのことでした。

それに現在の10色インクでは再現できない色も数多くあるので、たとえばコバルト・ブルーのような特殊な色は、別途カラー・ライブラリーを拡張する必要もありますし、インクを選択するため絵画特有のアルゴリズムを作成する必要もあると考えています。

というわけで、プリンターの技術がまだ追いついていないものの、「RePaint」なら絵葉書サイズも巨大な壁画もリアルに再現できそうですね。もしこの技術が確立されれば、美術館や展覧会場のお土産コーナーが格段にレベルアップしそうです。アート好きには楽しみで仕方がありません。

Source: YouTube via MIT Newss

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