一度外装を取り外すという大作業でした。
ロシアの宇宙飛行士たちが、国際宇宙ステーション(ISS)に合体しているソユーズ・カプセルの、外から開いた謎の穴を調査しました。この作業は宇宙遊泳をしながらという相当厳しいもので、なんと7時間45分もかかったとのことです。
そして彼らは、この様子を宇宙から生放送しました。その一部がこちら。
宇宙遊泳をしたのは、ロシアのオレグ・コノネンコ宇宙飛行士とセルゲイ・プロコピエフ宇宙飛行士。彼らはISSにドッキングされているロシア製のソユーズMS-09の、穴の外側をナイフやハサミなども駆使しながら検査するというハードなタスクを無事に完了しました。お疲れ様でした!
かつてダクトテープでふさいだアレ
この「穴」というのは、は8月29日にISSの内部でわずかな空気圧漏れが検出された2mmの穴で、発見したアレクサンダー・ゲルスト宇宙飛行士が親指でグっと押さえてふさぎ、ダクトテープとエポキシパテで応急処置をしたとお伝えしたアレです。
発見した当初は極小隕石やスペース・デブリに起因すると考えられていましたが、より詳細な検査の結果、この穴は人的ミスだったことが判明しました。
ISS leak update: the patch is reported to be holding but further work will be done. The best guess seems to be that the hole is NOT a debris strike but a drill hole created during manufacture and whatever was plugging it for the past 2 months popped out a couple days ago.
— Jonathan McDowell (@planet4589) 2018年9月1日
なんと、2カ月のあいだ壁に刺さっていた何かが、作業の弾みでスポンと抜けた跡だったというのです。
発見から数日後、ロスコスモスのデミトリ・ロゴジンCEOが「ドリルの跡がある」と発表。ロスコスモスの責任者は、「この欠陥は製造プロセス中に地球上で発生した可能性がある」と述べましたが、意図的な破壊工作についても可能性を否定していません。これにより、ロシアのメディアは、「NASAが故意にやったんじゃないか?」など陰謀論をとなえ出した、とArs Technicaが報じることとなりました。

史上初のミッション
ミッション開始前ロゴジンCEOは「その複雑さにより、前例のないものになるだろう」とツイートで述べていました。穴の周辺を点検するためには、宇宙飛行士らは断熱材とカプセルを保護する隕石シールドを一時的に取り外す必要があり、TASSいわく宇宙空間でこの作業をするのは史上初なのだそうです。
ナイフでザクザクと切り開く様子を、宇宙飛行士の視点でどうぞ。
Cosmonaut Oleg Kononenko has begun cutting through insulation on Soyuz MS-09 spacecraft, trying to inspect a repaired drill hole responsible for an air leak on the International Space Station earlier this year. Watch live video from low Earth orbit: https://t.co/LVvNC1ziU7pic.twitter.com/z7CiHVHft5
— Spaceflight Now (@SpaceflightNow) 2018年12月11日
取り外しのあとは宇宙飛行士が目視で確認したのちに撮影、穴の周りからいくつかの表面サンプルを収集し、解析のためにISSに持ち帰ります。そして、ソユーズ・カプセルは12月20日に一旦地球に戻る予定となっています。
さてさて、コノネンコ宇宙飛行士とプロコピエフ宇宙飛行士は無事に作業を終わらせてくれましたが、NASAとロスコスモスの陰謀論は終わるのでしょうか? 続報を待ちましょう!
Source: Gizmodo US, YouTube via The New York Times, TASS,Twitter (1, 2), Ars Technica