脳インプラントでタブレット端末を操作する未来

  • author 岡本玄介
脳インプラントでタブレット端末を操作する未来
Image: IEEE SPECTRUM via BrainGate Collaboration

思考だけでデバイスが操作できる未来は、すぐそこまで?

神経科学者やコンピューター科学者といった専門家が集い、新たなニューロテクノロジー用技術を開発しているBRAINGATE社。彼らはこのたび、麻痺患者3人の脳にインプラントを装着し、脳コンピューター・インターフェイスを介してタブレット端末を自ら操作させることに成功しました。

その内ふたりはオンラインで互いにチャットを行ない、アプリで音楽演奏やAmazon(アマゾン)で買物もやってのけたのです。

IEEE SPECTRUMによりますと、ふたりが出来たことはそれだけはないとのこと。ひとりはピアノ・アプリでベートーヴェンを奏で、Amazonで食料品を購入。もうひとりはテキスト送信後、天気予報をチェック。また3人目の被験者は、音楽ストリーミング・サービスPandoraで、スティーヴィー・ニックスなど何本かのMVを視聴することにも成功しました。

3人の被験者らは、ALS(筋萎縮性側索硬化症)や脊髄損傷のために、腕の動きの衰弱または喪失に苦しんでいる人たちでした。端末の操作は指によるタイピングでも、音声コマンドでもなく、脳に埋め込まれた錠剤型チップ電極ロッドを経由し、脳の運動皮質領域から操作したのです。

Nexus 9を操作する実験

BRAINGATE社が開発したのは、「ブレイン・コンピューター・インターフェイス(BCI)」という技術で、昨年はこれで麻痺患者が毎分8語までタイピングすることを可能にし、業界に革命を起こしたものです。

「BCI」はインプラントから解析された神経信号が、一般的なヒューマン・インタフェース・デバイスのプロトコルを介してルーティングされ、仮想マウスを動かすことになります。そしてそのマウスは、Bluetooth経由でGoogle Nexus 9タブレットとペアリングされました。

実験で被験者たちは、電子メール、チャット、ウェブ・ブラウザー、ビデオ共有、音楽ストリーミング、天気予報、ニュースRSSリーダーなど、7つの一般的なアプリをタブレットで試してみるように求められました。

また彼らに追加のアプリが必要か尋ねると、ピアノ・アプリと通販用にAmazon、それと電卓のリクエストがあったので追加されたのでした。

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Image: IEEE SPECTRUM via BrainGate Collaboration

ピアノ・アプリを所望した被験者はミュージシャンとのこと。なのでデジタル・ピアノを演奏し、短いながらもベートーヴェンの『歓喜の歌』を弾きました。

参加者は、1分間に最大22回のポイント&クリック選択を行ない、電子メールやテキスト入力では毎分30文字まで入力しました。

「BCI」翼を授ける

大事なのは、3人の参加者全員がタブレットを心底楽しんでいたということ。

ひとりの被験者は「タブレットが私の2番目の身体になりました。とても直感的で、マウスを使っていたときより自然に扱えると感じました」と語り、もうひとりは、「普段使いしているデバイスより、もっと操作できることに驚いた!」と驚嘆し、3人目はタブレット入力でテキストを送信できることを、「ものすごく気に入った」とコメントしています。

現在BrainGateは、13人の被験者で臨床試験を行っており、チームは神経解読ソフトの速度と信頼性を向上させ続けているとのこと。また彼らはペースメーカーのような、充電池式でワイヤレスの埋め込みデバイスの開発も行っているそうです。少しでも早い完成と普及に期待大ですね。


もしこの技術がもっと以前に完成していたら、小説/映画『潜水服は蝶の夢を見る』の中身はガラっと変わっていただろうな、なんて思いました。世界にいる麻痺患者に翼を授ける「BCI」、もし完成したら、誰もが思考だけでPCやスマホを操作することが可能になりますね。夢にまで見た未来が近づきつつあります。

Source: IEEE SPECTRUM via BRAINGATE, eLIFE

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