Tesla車を「居眠り自動運転」していた運転手が逮捕

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  • author 岡本玄介
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Tesla車を「居眠り自動運転」していた運転手が逮捕
Image: GETTY IMAGES

運転手も警察の停車のさせ方も、いろいろすごい事件です。

先週のこと、カリフォルニア高速警察(CHP)が午前3時30分頃に、パロ・アルトを抜ける101号線を、時速約113kmで走っているTeslaの「モデルS」を発見しました。しかもあろうことか、その運転手は居眠りをしていたというのです。

自動運転車とパトカーのカーチェイス

WIREDによると、CHPは後ろからサイレンと赤灯を回しましたが、運転手は反応ナシ。そこで警官ふたりは確信はないものの、「もしやTeslaは自動運転で走っているのでは?」と考え、警察マニュアルにはない機転を利かせることにしたのです。

まず彼らは支援部隊を呼んで後続車たちを減速させるよう頼み、大きく間を取らせました。そしてTeslaの前方に回り込み、パトカーを減速させていきました。

するとどうでしょう? Tesla車も減速していくではありませんか!?

Teslaの運転手は、ロス・アルトスに住む45歳のアレキサンダー・ジョセフ・サメクという男性。警官がドアをノックするまで彼は起きませんでしたが、お酒で泥酔していたことが判明したのでした。

オートパイロット機能が抱える問題

Teslaはオプションで5,000ドル(約56万円)を払うと、自動運転機能を付けてくれます。そしてメーカーとしては、自動運転でも常に周囲に注意を払いながら運転することを明示しています。今回は無事でしたが、飲酒運転が違法なことには変わりありません。

2016年は、Tesla車の自動運転で何件か死亡事故が起こっています。以来Tesla社は、警告音を鳴らす前に運転手の両手が本当にハンドルに置かれているかシステム側で頻繁に確認し、ハンズオン状態が検出されないと視覚と音声でアラートを出し、それが検出されるまで徐々に減速、最終的には車がハザードを出して停車するよう改善策を講じました。

これについてイーロン・マスクCEOは、フォロワーからこのような助言を受けました。

自動運転について一案なんだけど、運転手が意識を失っている状態を検知したら端に停車させるようにして、ハザードを出して警察や救急救命士などに信号を送るようにしたらどうかしら? それにパトカーが停車させているかどうかを検出ような機能もね

応答のつぶやきで、イーロン兄貴はこう返しています。

その通りだ。もし運転手の応答がなければ、減速と停車でハザードを出すよう自動運転の既定行動にしよう。そしてTeslaのサービス・センターからオーナーに連絡させるんだ。今回の出来事を注視しているよ

とはいえ現在、人間の手じゃなくても、ハンドルを握っていると誤認識させるインチキ・ハックがアレコレ試され、それが通用してしまう状態にあります。それだけでなく、サードパーティー製で手がハンドルを握っていると機械に勘違いさせる商品まで作られている始末(一部の州では違法で、販売停止命令もでている)。


何か不具合や事故が起これば我が身に不幸が降りかかり、メーカー側だって訴えられるかもしれないってのに、どうして人は抜け道を探そうとするんでしょう? 今後もTeslaはシステムをより良く更新していくものの、ドライバーが良心と常識で運転するというのは大前提です。ユーザー側もメーカーからの信頼を裏切らないよう、安全運転に努めていただきたいものですね。

Source: Twitter, WIRED

2018年12月7日:脱字を修正いたしました。