Pixel 3を見ればわかる事実「Googleはハードウェアを軽視しすぎ」

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  • author Sam Rutherford : Gizmodo US
  • [原文]
  • Kaori Myatt
Pixel 3を見ればわかる事実「Googleはハードウェアを軽視しすぎ」
Image: Sam Rutherford (Gizmodo US)

辛辣。

米GizmodoのSam Rutherfordが2018年の振り返りの一環として「Pixel 3/Pixel 3 XL」を取り上げていました。ギズモード・ジャパン内での評価は悪くないのですが、Samはその作り込みの甘さを指摘。iPhoneやGalaxyに比ぶプロダクトに成長してほしいという観点から、メーカーの姿勢を辛口に批判しています。翻訳して紹介します。


マシにはなってきたGoogleのスマートフォン

日本では9月に発売されたGoogle(グーグル)のPixel 3ですが、過去のモデルであるPixel 1は米Gizmodoだけでなく、アメリカのガジェットファンらに「スマホ市場に残る最悪デザイン」とか「カッコ悪いスマホ上位ナンバーワン」とか、とにかくこれまでこき下ろされてきました。

でも地道な努力により少しづつPixel 2Pixel 3で改善を続けています。それでも「ようやく見れるようになってきた」と酷評されていますが。Samsung(サムスン)やHuawei(ファーウェイ)と違い、Pixel 3はカメラの台数ではりあったり最先端ハードウェアを満載させたりせずに、最新のソフトウェアと直感的でシンプルなデザインを主眼に置いています。AIを駆使した、まさに「スマート」をちりばめたGoogleらしい方法で機能向上しているといえます。

Pixel 3を見ているとじれったくなります。だって細かいアップグレードや追加機能を見る限りでは、もっと作りこんでくれてもよかったんじゃないかなと思えるんですもん。Pixel 3をじっくりと眺めてみると、Googleが世界トップクラスのスマホメーカーと名乗ることができるようになるまでには、まだまだ時間がかかりそうだな、と改めて思います。

スペックの割に高い

Pixel 3の仕様を見ると、そもそも価格のつけ方が間違っているんじゃないかとも思えます。プロセッサにはSnapdragon 845が使われていますよね。でもこれは最近のいろんなメーカのフラグシップスマホにばんばん使われているありきたりなチップです。Pixelは700ドル(約78000円)、Pixel 3 XLは750ドル(約84000円)、発売後3カ月で100ドル(約11200円)から250ドル(約28000円)も値引きされています。メモリはわずか4GB。どうですか。買いたくなりますか。

Samsungと比較すると、Galaxy S9が同じ4GBのメモリを載せていますよね。S9+ は6GB。OnePlus(ワンプラス)に至ってはOnePlus 6Tに8GBのメモリと128GBのストレージを載せているんで、これは実質Pixel 3の倍。でお値段は580ドル(約64000円)ですよ。画像、アプリ、動画などを保存するストレージに64GB。メモリが多ければ一度にバックグラウンドで走らせておけるアプリの数も増えます(特にゲームするときは便利)。

そういえば、なつかしのNexusなんていう機種もありましたよね。 OSにストックAndroidを載せただけの単純な機種だったけど、うまく作りこまれていてお財布にやさしい値段でしたよ。フラッグシップ機は年々価格が上昇傾向にあるなか、使える500ドル台の機種は米市場では貴重な存在となってきました。みんな今やこぞってOnePlusや中国系のスマホにシフトしていますし...。

Pixel 3の画面は5.5インチの2160 x 1080有機ELです。Galaxy S9の画面は5.8インチで解像度は2960 x 1440。 Samsungの画面のピクセルの画素密度(ppi)はPixel 3よりもずっと高く、画像は鮮やかで生き生きして見えます。それに加え、 iPhoneと同様、Pixel 3のストレージは増やせません。ヘッドホンジャックもありません。じゃ、この値段には何が含まれているの?ってことになりますよね。USB-Cポートの内側のブラック塗料とか、ワイヤレス充電とか(これはPixel 2に搭載されていてもおかしくない機能なのに)、おしゃれなソフトタッチの筐体とか、そういうものに投資しろといいたいんだったら、それはちょっと的外れとしか言いようがありません。

シングルカメラへの謎のこだわり

Googleはコンピュテーショナルフォトグラフィーの草分けともいえますが、この技術とHDR+モードをプラスしといて、 どうしてPixel 3は最近の潮流であるデュアルカメラの流れに乗らなかったのかなと疑問で仕方ありません。GoogleのPixel 3にはフロントカメラが2台搭載されています。これはワイドアングルセルフィーの撮影用で、二つのカメラを搭載することにより付加価値が高まる可能性をGoogleはどうも認識しているようなんですが、Pixel 3のリアカメラはひとつだけなんですね。

おっきなほうのPixel 3 XLでさえリアカメラはシングルです。この手のサイズのフラッグシップスマホには軒並みリアカメラが2台搭載されているのに、ですよ(Mate 20 ProLG V40といった機種にはそれ以上搭載されていますし)。Pixel 3で風景なんかを撮ったらきっとよい写真が撮れると思うんですけどね。光学の2XレンズつきのカメラにSuper Res Zoomを搭載したら、遠くからのショットもかなりよくなると思います。または2つめの画像センサにPixel 3がすでに採用している深度推定をつけたらよいんではないかと思いますが。

あと、いただけないのはPixel 3 XLのばかでかいノッチ。僕はふだんそれほどノッチにはこだわらない人間なんです。いってみればノッチはベゼルレス画面が登場するまで、がまんしなくちゃいけない画面のいらないスペースみたいなもんですから。がまんしてりゃいいんです。ですが、Pixel 3 XLのノッチはいただけません。でかすぎです。 通知ウィンドウの2倍くらいありますからね。でかい出っ歯みたいのが突出しているのがなんともいえず醜いPixel 3 XLには、下にもこれまたでっかいアゴがついてます。ノッチかアゴか、どっちかにしてよ。2つともでかでかと画面にはみ出してるなんて、これはさすがに画面に寛大な僕でも許せません。

Googleはハードウェアを軽視しすぎ

ここまでいろんな部分をみせつけられると、ひとつ仮説を立てたくなってしまいます。「Googleはハードウェアのことをまったく考慮してないんじゃないか」という仮説です。少なくとも他のスマホメーカーが思いをめぐらせている部分にはGoogleはまったく考えをめぐらせてませんね。フラッグシップスマホといいつつも、どうもGoogleは手を抜きに抜いてPixel 3を開発したとしか思えません。足りないハードをソフトでカバーしようとソフトに頼りすぎてる感があります。これは何もPixel 3に限ったことでなく、Google製品全体に言えることだと思うんですよね。それはGoogleが仕様やコンポーネントについて宣伝したがらないそのマーケティングの姿勢にもしっかりと表れていますよ。

そのかわり、Googleはモダンなリビングルームを効果的に彩るよう鮮やかでかわいい色使いやファブリックの肌触りなんかには力を入れています。Googleは製品のイメージをどうやら無害であたりさわりない感じに仕立てたいようです。電気のスイッチみたいにパチっとつけるだけで使えるような、シンプルさを大切にしていますね。それは例えばHome Miniなんかには重要で効果的でしょう。でもGoogleが本気でAppleやSamsungと張り合いたいと思っているなら、やはりもっとハードウェアに力をいれなきゃ、と言ってあげたくなっちゃうわけなんです。

ソフトウェアは優秀だけど、バグが…

ですが、ことPixel 3のソフトに関しては、いい仕事しているな、とは思います。たとえばビルトインされているコールスクリーニング(かかってきた知らない番号にボットが返信する機能)。これは今や自動化しているAIの営業電話なんかの撃退にはぴったりです。またGoogle Assistantが病院やお店の予約なんかを手伝ってくれるのは便利です。でも同時にGoogleがスマホ開発においてソフトウェア重視のアプローチをこれからも続けるなら、バグの退治にももっと力を入れるべきとも思いますね。Pixel 3はアプリが突然落ちてしまう現象に悩まされました。これはメモリ管理ソフトにおける問題が原因でした。また、カメラのバグにより、画像が正常に保存されない現象も確認されています。またテキストが消えてしまう怪奇現象や充電の不具合と問題が山のように発生しています。

メッセージが送信できないとか、カメラが動かないとか、こんなのスマホの機能的欠陥としては致命的。僕はよくレビューしますが、テスト中には発生しなかった事象が巷で発生するのを見るのはちょっとがっかりですね。そんなことがあるとGoogleはもうすぐパッチをリリースするだろうから待つしかない、としか言いようがないですし。

似たような不具合にNight Sight機能や Google Duplexといったものもありました。 そんな機能は魅力ですが、発表なんかで大々的に宣伝するんなら、発売時にはちゃんと使えるようにしておいてほしいってもんです。

品質管理が適当

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同じモデルでも画面の色温度が微妙に違うが、ここまで違うのは許せない。さらに設定でも調節できないのは痛い。Image : Sam Rutherford (Gizmodo US)

まったくGoogleの品質管理はどうなってるんだと言いたいですね。Googleは2年連続して米Gizmodoにレビュー用の端末を提供してくれたのですが、画面の色温度に機種でかなりの差がありました。Googleの回答は、「製造時に少し端末に違いが出ることがある」というものでした。iPhoneやGalaxyには、こういった端末の差はありません。 そもそもPixelだってそれくらいの品質の一貫性くらいは保つべきでしょう。

Google情報の専門サイト9to5Googleのベン・ショーンは、発表直後に手に入れたPixelに発生したバグをまとめていましたね。その直後値下げがありました。ここから学べる教訓は「Pixelは発表時に買うな」ということになります。まあ、それは言い過ぎとしても、Googleは三度目の間違いを犯すべきでないのは言うまでもありませんが、Pixelをいち早く手に入れる人たちはベータ版のテストをしているようなものじゃないかと思うんですね。あ、これも言い過ぎか。

こき下ろしてなおオススメできるスマホではある

またGoogleがスマホから情報をどのようにして集めるかも不安材料でもあります。ですが一方で通勤路の道路状況のアラートやレストランのオススメ、飛行機の遅れの予測などはGoogleが集めた情報のたまものでもあります。その中でプライバシーやデータのセキュリティに対する意識はますます高まってもいます。機能をオフにしても行われるAndroidのトラッキングなどはますます人々を不安に陥れます。

最後にひとつ。Pixelの「専属」小売店として謳われているGoogleとVerizonのパートナーシップは形だけにすぎません。実質的にはSIMロックされていないPixel 3はGoogleからの直販で買えますし、どこのキャリアでも取り扱いできます。GoogleがそれでもAppleやSamsungと張り合いたいなら、Pixelはどんなショップでも取り扱いできるようにしないとならないでしょう。

ここまでこき下ろしても、それでも僕はPixel 3はほとんどの人にオススメできるスマホであるとは思っています。Pixel 3と他のスマホとの隔たりはこれまでよりも縮まってきたとは思いますし。 3年という時を経て、ようやくGoogleはスマホをPixel 3として形にすることができたな、としみじみします。これでGoogleが製品の品質管理をしっかりとしなければ、またiPhoneやGalaxyで得られるような安定感や価値を提供できるようにならなければ、Pixelはそれらより低評価なスマホとして、日陰者として生きていかねばならないでしょう。これからが勝負です。

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