2018年は接客業の自動化元年でしたね

2018年は接客業の自動化元年でしたね

自動化の波は、ついにここまで。

経済の三大業種、農業製造業サービス業のうち、2つはすでに多くが自動化されています。農業はかつての米国において国民のほぼ半分が就いていた職業ですが、現在ではすべての職業の2パーセントほどですし、外部委託と機械化によって、車などの製造業が廃れてしまったこともご存知の通り。その結果、現在は米国における職業の約80パーセントがサービス業となっています。

そして今年、静かに、でも明らかに、ロボットとそれらに投資している者たちが、最後の砦をおびやかし始めました。2018年は、自動化がサービス業に対して大きく手を伸ばし始めた年と言うことができると思います。

レジや注文取りはもうロボットの仕事

Amazon(アマゾン)はレジを自動化した店舗を5つ(シアトルに3つ、シカゴとサンフランシスコに1つずつ)オープンし、セルフオーダーのキオスクがファストフード店やフランチャイズのレストランに大きく浸透し始めました。また、ハンバーガーが全自動で作られるCreatorを始め、小さいながらロボットによって全自動で行われるレストランが複数オープンしました。

サービス業のメッカとも言えるラスベガスでは、ホテルとカジノによる、バーテンダーやウェイター、ホテルスタッフなどの接客業を自動化する大規模計画に対し、市で最も力をもつ接客業の労働組合複数が5万人によるストライキを計画しました。しかし今年の夏、その寸前で交渉が成立しました。

「テーブルにタブレットが設置されていて、クレジットカードでその場で支払えるシステムはすでにどこでもあります」と語るのは、ホテルのアテンダントを長年つとめ、今はラスベガスのレストラン業の労働組合で幹事、会計を務めるGeoconda Arguello Kline氏。「サラダマシン、アイスクリームマシン、オーダーをルームに運ぶデリバリーマシン、バーテンダーマシンだってあります。」

レストラン業界は自動化に前向き

とはいえ、今年起こったことをすべて考慮しても、全国的な雇用には殆ど影響はありません。むしろ、統計で言えば就職口は増加しました。しかし、今年の出来事と統計を合わせると、もはや無視できないトレンドの方向が見えてくるのです。

これから先、私たちの大多数が頼っている唯一の業種が、大きい変化に見舞われるでしょう。証拠を見たければ、レストラン業界のトップたちが毎年ラスベガスに集まって行う会合、Restaurant Finance and Development Conferenceの発言録を読めばいいのです。

接客系の企業にコンサルティングを行う、Results Thru StrategyのCEOであるFred LeFranc氏はこう発言します:「私たちは、殆どの反復作業がロボットで行える時代に来ています。ロボットは病気にならないし口答えもしません。」

今年は全国で最低時給15ドルを求める動きが活発化したことで、業界のトップやアナリストたちの間に共通の話題が生まれました。すなわち、人々に生活賃金を払うくらいなら、サラダのドレッシングをかけることから皿洗いまで、全てを自動化させた方が良いのではないか、という議論です。

「長年、私たちは自動の皿洗い機を使っていませんでした。時給7ドルならそれでも良いかもしれませんが、15ドルとなると話は別です」とはWendy's(ウェンディース)のCFO(最高財務責任者)のGunther Plosch氏。

サービス業の多くは自動化されやすい傾向にあります。しかし、大半の仕事が反復作業であるファストフードは他よりもさらにその危険性が高まります。「ファストフードは特に自動化されるでしょう」と米Gizmodoのインタビューに答えるのは、Rise of the Robots and Architects of Intelligenceの執筆者であるMartin Ford氏。「競争心理が働くので、一社が行えば、一斉に他もみんな行うでしょう。5年以内にかなり劇的な変化が訪れると思います。」

セルフオーダーのキオスクはヨーロッパやアジアではすでに多く見られますが、米国で大きく広まり始めたのは今年からです。夏以降、マクドナルドは四半期毎に千台のセルフオーダーキオスクを設置しており2020年までそれを続ける予定です。ファストフード業界は現在370万人を雇用しており、その89パーセントはレジやコックなどの「最前線」従業員ですが、それらは徐々に取って代わられ始めています。

「この業界では、従業員は1日うまくいかなかっただけでも辞めてしまいます」と、95店舗をもつSaladworksのCEO、Patrick Sugrue氏がWall Street Journalに答えました。「代わりにこういった技術があれば、運営がもっと楽になるんです。」

調理もロボットが代行しつつある

レジと言えば、Amazonは今後もレジが自動のストアを3千店舗オープンする予定です。なので、こういった職業が消える可能性があるのはファストフードだけではありません。

レジ打ちが自動化されるのであれば、コックも同様です。例えば、Franchise Timesによると、チキンサンドで有名なChick-fil-AのCFOであるBrent Ragsdale氏は、「当社のセミオートのグリルだけでなく、他にも自動化できる部分を検討しています」とRFDCで発言しています。

「裏方にロボットを導入し、不要と思われる作業の省略を計画しています。レモンはいつも裏で手絞りしていましたが、あまり評価されていないので、搾汁施設に委託することを検討しています。それによって、裏方での労働時間が百万時間は短縮されます。」と同氏。

カリフォルニアスタイルのバーガーチェーンであるCaliburgerは、ハンバーガー調理ロボットの「Flippy」を公開し、ドジャー・スタジアムにも導入する予定です。余談ですが、Caliburgerではアカウントを作った客の顔をスキャンし、顔認証で支払えるシステムも導入しています。「この先6ヶ月で、人々にショックを与えるような形でロボットを導入していくつもりです」とはCaliburgerを所有しているCali GroupのCEOであるJohn Miller氏。春にはボストンにて、キッチンとオーダーシステムが無人のレストラン、「Spyce」がオープンし、ピザを作れるロボット「Pazzi」も数百万ドルの出資を受けました。他にも小さい改良をキッチンに加えることで、必要になる人手は大幅に減少するでしょう。

サービス労働者との摩擦

ファストフードチェーン、Carl's Jrの元CEOであり、ドナルド・トランプ大統領の労働省長官第一候補(家庭内暴力疑惑で辞退しましたが)でもあったAndy Puzder氏がWall Street Journalに語ったところによると、「自己洗浄機能のついたオーブン一つでは人の代わりになりませんが、そういった作業をアシストするツールが複数あれば、いずれそれらを担当する従業員は必要なくなります」だそうです。また彼も、最低賃金の値上がりによって、業界の自動化が進むだろうと付け加えました。

ロサンゼルスのシェラトンホテルで荷物運びの作業をロボットが取って代わり、プラハのレストランではワインを提供するロボットバーテンダーが登場するなど、最近の例をあげればキリがありません。これから来る波の最初の影響を感じたのがラスベガスなのは偶然ではありません。ベガスこそ、接客業界のトップが集い、それら全ての職業の自動化を推し進めようとし、労働者たちからの反発にあって自動化からのある程度の保護を確約せざるを得なかった場所なのですから。

労組はとりあえず勝利を納めました。レストラン業労働組合は、自動化の影響から労働者を守る確約を得たのです。

「各国でどのようなテクノロジーが登場しているかを調査していました」とKline氏。「900ドル程度のロボットが食べ物をテーブルに運んでくれる日本など、技術がより発達している国を見て、技術がどのように導入されているかを調べたのです。それによって、例えばバーテンダーマシンが導入された場合、労働者がどう影響を受けるのかがわかるでしょう?それはここでもいずれ起こります。我々が思っているよりも早くかもしれない。今はちょっとずつですが…我々は仕事を守りたいんです。」

自動化からは逃げられない

つい先月、労組は2万5千人の労働者の為の5年契約を締結しました。契約の内容の一部としては、新しい技術が導入される場合、それを労組に180日前に告知しなければならず(『それと、どの職種が影響を受けるのかも』とKline氏)、企業は解雇される可能性のある従業員に、他の職種のトレーニングをする機会を提供し、退職する場合は6ヶ月分の給料を退職金として支払わなければならないとしています。

大局的に見て、これは自動化による問題に取り組む為の賢明な一歩だと思います。この契約により、影響の大きさを調査し、従業員を再教育、または影響を和らげる時間を稼げるからです。自動化を研究している、カーネギー・メロン大学、コンピュータ科学部門教授のTom Mitchell氏に米Gizmodoがインタビューしたところ、彼によれば自動化は人間の職業を完全に一掃するのではなく、職種に求められる作業の内容を再構築するというのが最新の研究結果だそうです。そのためには、180日、つまり6ヶ月あれば、雇用主と従業員が協力し、新たな作業内容に適応できるかもしれないとしています。

「自動化を止められないのはみんな知っています」とKline氏。「それなら、組員が人生の選択をするチャンスに変えることはできないでしょうか。引退してもいい年だから、退職金と健康保険をもらって辞めようという人もいるかもしれません。それと、再教育は特に重要です。サラダロボットがあるなら、誰かがサラダを準備して、マシンの面倒を見ないといけません」と彼は言います。それもまた仕事、あるいは新しい仕事の一部となるでしょう。

この新しい契約は賢明だし、悪くない保護制度です。そして、今後絶対に必要になります。これからも企業は、「厳しい労働市場」を言い訳に、あらゆることを自動化しようとします。ロボットは反抗しないし、その後人間が雇用しやすくなってもそのまま働き続けるでしょう。歴史を辿ってみれば、企業は自動化を使って労働者を脅し、給料を低く、不安定なまま保とうしてきました。しかし、一度自動キオスクや顔認証、ロボットバーテンダーやウェイターが世界レベルで導入可能になれば、人間にとってかわることはほぼ間違い無いでしょう。

我々はテクノロジーに反対な訳ではありません。組員は自動化は確実に起こると覚悟しており、我々が職業を守ろうと動かない限り、全てとって替わられると考えているのです」とKline氏は語りました。

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