あゝ、狂騒のコンテンツ時代よ。バーチャルYouTuberの勃興は2018年に何をもたらしたか

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  • author ヤマダユウス型
あゝ、狂騒のコンテンツ時代よ。バーチャルYouTuberの勃興は2018年に何をもたらしたか
Image: Kaguya Luna Official/YouTube, 伺か

あるいはバーチャル千夜一夜物語。人格の数だけ物語がある。

平成最後のクリスマスだったりコミケだったりで、何かと濃度高めだった2018年。そんな1年において、ネットで起きた出来事のなかでとくに興味深かったのがバーチャルYouTuber(VTuber)文化です。本当に、いろいろありました。

ギズモードでも数々のVTuberネタを紹介してきましたが、この1年の間でいったいどれくらい変化してきたんでしょう。ちょっとヤマダさんコラムでも書いてよと言われて安請け合いしたは良いものの、いざ書き出してみるとえらい文量になってしまいました。これ、編集でどれくらい削られるんでしょうね(ほぼ削っておりません。編集部より)。

今、2018年12月25日のロイヤルホストにてこの記事を書いています。あったか家族のにこやかな喧騒をバックに、ここ一年のVTuber近況を主観たっぷりに振り返りつつ、それらがもたらした影響を考えてみました。どうぞ、まったりとお読みいただければ。

VTuber四天王の確立

VTuber界の親分と言われている「キズナアイ」は、2016年12月に活動を開始しました。当時はバーチャルYouTuberという単語も珍しく、YouTuberや実況者がやってることを3DCGのキャラがやってるという認識だったと記憶しています。VTuber的な存在は以前からあったみたいですけどね。

Video: A.I.Channel/YouTube

2017年に入ると、世界初の男性VTuberを自称する「ばあちゃる」や、ゲームセンスとリアクションが持ち味の「電脳少女シロ」、アニメ娘エイレーンがかたちを変えた「ミライアカリ(Mirai Akari Project)」などが登場し始めます。だんだんと、VTuber=知る人ぞ知る面白いコンテンツという認識になってきました。

2017年11月には、バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん「ねこます」さんが誕生。パワーワードという言葉自体がトレンド気味だった当時、このワーディングはSNSを震撼させるのに充分でした。翌12月には首絞めハム太郎こと「輝夜月」が登場し、VTuberのなんじゃこりゃ感に拍車をかけます。

Video: バーチャル番組チャンネル

ここに、キズナアイ、シロ、ミライアカリ、ねこます、輝夜月という、5人のVTuber四天王が確立しました。5人なのに四天王という状況をネタにすることもあれば、親分は殿堂入りとする説もあるようです。これがだいたい2018年頭までの出来事。すべてはここから、始まった。

スタイルの分岐、盛り上がりの予兆

まだまだVTuber自体が珍しいものだったため、新たなVTuberのデビュー自体も、わりとカロリー高めに注目できました。生配信をメインに活動していた「ときのそら」や、日本文化を世界に発信するというコンセプトの「富士葵」、キャラデザとゲームプレイのギャップが激しい「猫宮ひなた」、何かと考察のスキを見せてきた「鳩羽つぐ」なども、この頃から名を上げ始めます。

Video: 鳩羽つぐ/YouTube

鳩羽つぐのネットミーム感は独特でしたね。VTuberはアニメやゲームだけでなく、ストリートやアートなんかの文脈と混じっても面白いんだという、その先駆けだったような気がします。

イノベーティブなニュースを届けてきたのは、バーチャルSHOWROOMer「東雲めぐ」です。大掛かりなモーションキャプチャーを必要とせず、Oculus Rift+Oculus Touchだけで3DCG配信が可能なシステム「AniCast」を発表し、「いつか個人レベルのモーションキャプチャー配信ができるかも!?」と感動したのを覚えています。だんだんとVTuberの形態にバリエーションを感じ始めてた頃です。

その読みは遠からず的中し、2018年2月にはiPhone Xの深度カメラを使ったVTuberアプリ「にじさんじ」が登場。厳密には3DCGではなくイラストを動かすLive 2Dなんですが、iPhone Xだけで配信できるお手軽さはセンセーショナルでした。配布アプリではありませんでしたが、技術的に可能であることを証明しましたね。同じ名前のVTuberグループ「にじさんじ」に所属する「月ノ美兎」「静凛」「樋口楓」などがこの時期に登場。

Video: 月ノ美兎/YouTube

ちなみにこのにじさんじ勢は、3〜5分の完成された動画投稿よりも、生配信をメインに活動していました。ニコ生実況のようなユーザーとのコミュニケーションが持ち味で、中の人のパーソナルな面白さをコンテンツとして楽しむスタイルです。ゲーム実況だったり雑談だったり、今まで興味のなかったジャンルであっても、VTuberがやってるからということで見ていた人もいるのでは?

多様化待ったなし

2018年の春頃、ネットではVR SNSの「VRChat」が話題でした。ねこますさんや「のらきゃっと」などが推していたというのもあるんですが、SNSでVRChat体験談みたいなのがユートピア的に語られ始め、「それじゃ俺もやってみっか」と飛び込み始めた人も増えてきたように思います。ここで増えてきたのが、素人による3DCG(3Dモデル)制作です。

この風潮はやがて3DCG制作のコモディティの火付けになってくるのですが、この頃にCGを作り始めた人にとって「VRoid Studio」の登場はどう映ったんでしょうね。それはさておき、VTuber界隈は、2018年半ばに入って多様性を加速させます。

にじさんじに続いて、VTuberグループ「アマリリス組」が登場。こちらもLive 2Dによるイラストアニメーションで、生配信と実況をメインにしていました。にじさんじよりもアクが強く、個性的なキャラクターを多く抱えていたのが特徴です。サブカルで絵描きで黒ギャルの「皇牙サキ」が初回放送で語った「薩摩義士伝」がトレンド入りしたのも、きっかけの一つでしょう。……多分。

Video: とりま、サキんち寄ってく?/YouTube

が、このアマリリス組はスタートから数カ月のうちに活動を終了。所属メンバーは個人で活動を続けますが、企業発のVTuberがクビになるという事態は衝撃的でした。一連の顛末はアマリリス組騒動として各所でまとめられていますが、キャラデザを変える際に中の人も変えることを転生と呼んだり、中の人のことを魂と呼んだりする風潮は、いかにもディストピア。

一方で、企業に依らないインディーズなVTuberも増えてきました。「薬袋カルテ」「名取さな」「幽Tuber霊殿カスカ」「バーチャルその日暮らしお姉さん」「ふぇありす」「カフェ野ゾンビ子」など。個人勢と企業勢なんて呼ばれ方もされ始めて、一応の区分けの一つとなっていったのがわかります。本当に個人かどうかはわかりませんけど。

2018年5月末には、VTuber専用のウォッチャーアプリ「FEVR」が登場し、いよいよ観測に特化したアプリも出たかぁとしみじみしたものです。ゴールドラッシュの時代は、金を掘る者よりツルハシを売る者のがうんたら。

閑話休題:バ美肉

いわく、「バーチャル美少女受肉」あるいは「バーチャル美少女セルフ受肉」。お好みのアバターをまとってVRChatやバーチャル配信などで美少女ムーブをキメることを指しますが、この単語のパンチさは、心までそうなろうとしている姿勢がガッツリ出ているところにあると思うのです。これぞバーチャルだからこそ叶えられる、リビドーの具現と己が理想との合一。

Video: まぐろなちゃんねる/YouTube

おじさんの、おじさんによる、おじさんのためのガチ恋。真なる平和が仮想世界と性癖の中にあるとするなら、人類の行き着く先がここであることに何の疑いがあろうか。いや、ない(反語)。

アバターをまとうだけなら着ぐるみやモーションキャプチャーと同じ。しかし、自らの肉体を己の理想とする少女として生まれ変わらせる、受肉させる。その下心をさらけ出すだけで、こんなにも背徳と甘美が増す。そしてバーチャル空間なら、それが叶い、許される。受肉という言葉は一般的ではないかもですが、触れているジャンル次第では頻出語だったりするので(Fate関連とか)、その認識ギャップが切れ味になってるように思います。

パワーワードに乗っかりつつも、一聴するだけでその畏れ多さがわかる言葉、バ美肉。これの体現でもある「魔王マグロナ」ちゃんの登場は、多くのおじさんの生き方に光を与えたことでしょう。偶然にも、2018年は初の男性プリキュアが登場した年。ジェンダーの壁は、ついに次元をも超えたのです。これにはグレッグ・イーガンもニッコリ。

3DCGは僕らの手の中

夏頃になってくると、VTuberはいよいよ大手企業にも投入され始めます。中京テレビ、サントリー、GREE、ロート製薬、DMM、スクエニなどなど。SNSに企業アカウントがあるように、VTuberでもそうした企業マスコット感を出していこうという風潮なのでしょうか。

そして7月には、Pixiv(ピクシブ)から無料3Dモデリングツール「VRoid Studio」が登場。自分で3DCGが作れればな〜という人たちの肩をそっと押す、ドンピシャリな一手をPixivが打ってきました。年末のアップデートも好評でしたし、やはりゴールドラッシュにおいては以下略。

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同時期、ニコニコ動画が「バーチャルキャスト」を発表。あちらが道具ならこっちは土地だといわんばかりに、VRのプラットフォームを作ろうじゃんという動きが加速します。VTuberとリアルタイムに交流できるプラットフォームは「cluster」が有名ですが、そこのバリエーションも今後増えてくるかも?

3Dアバターやモデルを販売するVRコミケこと「バーチャルマーケット」もこの頃に開催され、3DCGがどんどん身近になってきました。一方で、iPhone XのカメラでVTuber配信ができるドワンゴの「カスタムキャスト」が9月にリリース。性癖の暴露合戦がTLでスパイクしたのも久しい話です。

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Image: ニコニコ生放送
カスタムキャスト

この数カ月で、3DCG界隈は大きく変化しました。ほぼフルスクラッチ可能なCG制作ソフトカスタマイズによる簡単さを優先したアプリ配信と収益が一本化したシステム。これら多様なツールがいつの間にか揃ってしまったんです。ドの付く素人でも、アプリを活用すれば昼にキャラを作って夕方には配信もできちゃうという。ひぇ〜。

VR興行の可能性

ネットとリアルの片隅で起きた小さな革命。初めてだらけのVRライブ「輝夜 月@Zepp VR」を見終えて

放心と興奮、それから未来への期待。夏の終わりを告げる2018年8月31日(金)、バーチャルYouTuber輝夜 月(かぐや るな)による世界初のV...

https://www.gizmodo.jp/2018/09/kaguya-luna-vr-live.html

9月には、輝夜月によるバーチャル空間でのライブイベントが開催されました。これまでにもVRライブの配信をしているところはありましたが、チケットを販売したり、ステージ演出をウリにしたりと、現実のライブ的な取り組み方をしたものはこれが初めてなんじゃないでしょうか。VRアイドル「えのぐ」も、生配信でのライブに精力的ですね。

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Image: (c)Kaguya Luna/SACRA MUSIC 2018
2018年8月31日に行なわれた輝夜月のVRライブ

この試みの面白いところは、VTuberを興行にできる可能性があるところです。ネットサーフィンのお供としてだけでなく、そのキャラクターのために時間とお金を割く。0円で視聴できる彼ら/彼女らですから、時間とお金を割くに値するかどうかは、ひとえに魅力やコンテンツパワー次第でしょう。そして、それが実現できればこれはもう興行、グレイテスト・ショーです。

もう1つ、この試みで僕がグっときたのは、アーカイブしないという点。長時間生配信やライブ系のVRイベントはアーカイブされているものも多く、それは参加できなかった人にも後で見てもらって興味を持ってもらう誘導になります。それをせず、1回こっきりのライブのユニークさを保持することを優先しました。

現実のライブ映像ですら最近は配信やアーカイブが多いのに、バーチャルライブでそれをしないというのは、体験した人の1回こっきりさを大事にしたがゆえだと思うのです。もちろん、マネー的な戦略だったり、あとで配信の予定があったり、あるいは技術的に難しいとか色々あるかもですけど、NT(ナラティブ)な体験ありきのライブの本質にかなり近いと思うんですよね。バーチャルなのに。

この記事を書いてる数日後の大晦日には、VR歌合戦「Cout0」なる一大イベントも控えています。果たして年の瀬をVRで迎える人はどれだけいるんでしょうか。インドアのためのCOUNTDOWN JAPANみたくなったら、それはとってもクールジャパンだなぁって。

Video: VR SPARC/YouTube

後述する音楽×VTuberのいったんのゴールは、このVR興行とみて良い気がします。現実のような物理的制限の無いVRライブですから、上手く持ち味を活かして欲しいですね。体験の場も増えて欲しい。

正直、もうVTuber大杉

11月になると、「バーチャル蠱毒(こどく)」なんていうディスみたっぷりのワードが出てきました。これはSHOWROOMが主催した「最強バーチャルタレントオーディション~極~」という、VTuberの中の人を決めるオーディションで生まれた言葉。いわゆる“VTuber”は主催側が用意し、そこにエントリーした中の人がネットに放たれ、勝ち残った者を正式な中の人とする方法が取られました。

中国の呪術「蠱毒」が語源だそうですが、界隈の無情さやら企業の企業っぷりさを端的に顕したすごいネーミングですよねぇ。

だってそうでしょ? そもそも中の人のパーソナルありきで始まった(であろう)VTuberが、いつの間にか3Dモデルありきでもっとも相応しい魂を選定するなんて、逆説もいいところです。でもこれ、たとえばあるコンセプトのアイドルグループがあったとして、それに相応しいメンバーを選ぶのとなんら変わりないんですよね、アプローチとしては。

そして僕もこの頃には、もう新しいVTuberを把握するのが難しくなってきたというか、だんだんと新鮮味を感じなくなってきました。この現象を「VTuberのソシャゲキャラ化」と呼んで色んな人に説いてるのですが、つまりはVTuberの属性化です。

キャラデザの話だと、髪色が白だったり黒だったり、そもそもデザイナーが著名だったりなんだったり。コンセプトの話だと音楽に特化したり、実況に特化したり。そんな感じで、なんだかテーマがわかりやすくなっちゃったなぁと思うんですよ。キャラとともに味わえるコンテンツが見たいのであって、一方的にコンテンツを提示されたいわけではないのです。

ソシャゲのキャラも、風属性だったり火属性だったりがわかりやすいデザインになってるじゃないですか。あれと似た感じで、完成されすぎちゃってるというか、スキがないというか。コンセプティブなのがいけないってワケじゃないんですけど、インディー感のあるVTuberのほうが好まれる世界もあります。ほら、バンドでもそーいうのあるじゃないですか、ほら。

Video: 日雇礼子のドヤ街暮らしチャンネル/YouTube
インディーズVTuber代表、バーチャルその日暮らしお姉さん日雇礼子。こういうので良いんだよ、こういうので

キャラクターやコンテンツそのものはクオリティが高いのですが、「それってVTuberでなくてもよくね?」と思ってしまうんです。コンテンツが先行して、VTuberの持ち味であるパーソナルが薄まってる。とはいえ、今感じているこの肌感も、数カ月したらいつの間にか消え去ってるかもしれませんし、コンテンツがパーソナルを引き出していく可能性だってあります。このパーソナル先行の規範は、旧来的な実況者のイメージに引っ張られているんでしょう。

まぁ、それはさておき、VTuberが増え続けているのは事実。いくつかは生き残り、いくつかは消滅し、いくつかは転生し。我々視聴者の追いかけ方も、わずか一年足らずで随分と変わった気がします。

閑話休題:バーチャルネットアイドルと「伺(うかが)か」

VTuberの話をすると、15年以上も前にインターネットで流行した「バーチャルネットアイドル(VNI)」のことを思わずにいられません。まさかちゆ12歳がVTuberになるだなんて、一体誰が予見しただろうか。

Video: バーチャルネットアイドルちゆ12歳/YouTube

VNIは、あるキャラクターイラストが自我をもってネット上で活動しているという、いわゆる体裁の話。なのですが、「キャラクターになりきって中の人の話をする」スタイルは、ネット上で活動するフォーマットの一つなのです。ネカマしかり、Vipperしかり。

じゃあVTuberはVNIのアニメーション版になるのかといわれたら、さすがにテキストサイト時代と比べるにはあまりにもかけ離れすぎてて。動画はテキスト以上に中の人の成分が出ますし、いわゆる「キャラを作る」ことがライブ的すぎて、もはやパフォーマンスの粋です。文章と動画ですもの、そりゃ違いますね。

もう1つ、キャラデザの話。2002年ごろ、「何か(伺か)」というデスクトップマスコットアプリが存在しました(今もあるよ)。伺かはキャラクターデザインとなる「シェル」と、ソフトウェア部分の「ゴースト」から成ります。数多くのシェルやゴーストが制作されました。

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Image: 伺か
Mac上でエミュレート起動させた「伺か」。雑談やニュースの読み上げ、ゴミ箱を空にしてくれたりした。インターネット老人会案件

では、シェルが同じでゴーストが違えば、それは同じキャラクターといえるのか。あるいはゴーストの改変はキャラクターを壊すことになるのか。こうした『攻殻機動隊』的な議論があったりなかったりしたのですが、VTuberの中の人がどうのという話(「正直、もうVTube大杉」の項を参照)を聞いたとき、これに似てるなーと思ったのです。つまりキャラデザがシェルで、中の人がゴースト。バーチャル蠱毒は、最優のゴーストを決めるための正解探しに似てる。

そんな感じで、時代は変わってもネットユーザーとしての僕らが娯楽としているものの構図ってあんまり変わってないのかもなぁと思った次第です。そういえば、初音ミクは「バーチャルアイドル」だそうですね。初音ミクの衰退しなさは、ゴースト=自我がないから?

コラボや歌ものが増えたのは……

VTuberはコラボモノも多いです。コラボというのは、たとえば猫宮ひなたとミライアカリが同じ動画に出演して一緒にゲームをするーとか、そうやつです。これが2018年後半になるにつれガッツリ増えてきました。事務所の所属化によってやりやすくなったーとか、戦略的にやってみよーとか、色んな思惑があると思うんですけども。

Video: ひなたチャンネル (Hinata Channel)/YouTube

だけども、やはりコラボの安売りはブランドの陳腐化を匂わせるというか、出し惜しみしてナンボだと思うのですよ。コラボならば盛り上がって然りみたいな空気は、そもそも盛り上がるのは視聴者側であって仕掛ける側が盛り上がりに気合い入れ過ぎるとスカシ感が滲みかねないといいますか。逆説的に、コラボしまくってるとだんだんと温度が下がっていくマジック。あ、提供動画は別です。広告is大事。

そもそもVTuberって盛り上げが必要な文化なんでしょうかね。いや、もうここまで大きくなって地上波にも顔を出し始めたら、消失だけは避けるように動くのが企業や事務所の使命か。よし、この話はやめよう。はい、やめやめ

2018年の末頃には、キズナアイが著名コンポーザーを起用した9集連続楽曲リリースを仕掛けました。VTuberの中には、シンガーソングライターだったり歌ってみただったりDTMだったりをメインに活動するものもあります。四天王のシロも「電脳世界のアイドルを目指す」というコンセプトでしたし、歌もの動画もたまにアップされています。

「それは歌ってみた動画に映像を付けただけでは?」。なるほど、でもキャラクターに対する僕らの思い入れが違うから多分きっと別物だー!

Video: Siro Channel/YouTube

まぁ、このVTuber×音楽っていうジャンル、僕はどうにも乗り気じゃないです。もともとそっち方面で活動していたVTuberは良いと思うんですけど、音楽に偏ってくるとどうもアーティストなムーブや売り込みが必要になってきて、それはもうバーチャルでもYoutuberでもなくて良いのではと、思っちゃう。

初音ミクは歌声がバーチャルですから、これは別物です。でもVTuberの場合、歌ってるのは中の人ですから、それって歌手的なハナシになってくるのでは? スナック愛の動画が好きな人は、キズナアイのトークや動画が好きなのであって、キズナアイの歌が聞きたいわけではないのでは!? 聞きたい人もいるでしょうけれどッ!

Video: A.I.Channel/YouTube

しかしこれも考えてみると、中の人=人間が音楽活動をするのと、なにかしらのキャラクターをシェルとしてまとって活動するのとで手応えが違うとしたらば、僕たちは何を見て何を聞いているのかという話になってきます。キャラソンは中の人を出せばいいってものでもないでしょう。でも『ヒプノシスマイク』なんかは中の人を上手くプッシュしてて、あーいうのもありなんだなーと。キャラを通して音楽を感じたり、逆に音楽がキャラを透過させてしまったり

とか言いつつ、曲が良ければそれはもうVTuberかどうかすら関係なかったりするんですけどね。さっきはVR興行の可能性なんて大層に語っておいてこの心持ちですから、もうわかんねぇなこれ。

「バーチャル」の意味をちょっぴり変えたVTuber

パっと振り返っただけでも、たった1年の間に地方集落が花の都大東京に変貌したかのような躍進が見られるVTuber界隈。ここで触れた出来事はほんの一部でしかないのですが、いやはやすごいです。企業側のフットワークもすごいですよね。

じゃあこれらの出来事が与えた影響はどんなものがあるか。ひとつはバーチャルYouTuberという言葉の浸透と、それに伴う「バーチャル」という単語の捉え方の変化だと思います。捉え方については個人裁量でしょうけど、少なくともずいぶんと身近になり、自分の身の回りにバーチャルはあるんだと思えるようになったのではないでしょうか。これだけ毎日どこかでバーチャル言ってればね。

もうひとつはテクノロジーの牽引です。VTuberの勃興がなければ登場しなかったであろうツール、いっぱいあると思います。あるいは、既にある3DCGソフトをVTuberに繋げるように改良したところも多いでしょう。VR系メディアも忙しかったんじゃないでしょうか。

Video: 天神 子兎音 Tenjin Kotone/YouTube

なので、今後はハードとの連携にシフトするところもあるのでは、と。ツールとポータルが充実してきても、VR映像を視聴する物理的環境はまだ充分ではありません。2018年は「Oculus Go」に「Lenovo Mirage Solo」に「VIVE Focus」など、スタンドアロンなVRヘッドセットが豊作な年でした。しかし、これらではVRライブは試聴できないのです。なぜならスタンドアロンだから……!(今のところは)

ワイヤレスでVRライブ映像をストリーミングできるようになる仕組みとかができれば、多くのVTuberユーザーが一気にVR HMDのターゲット層になるはず。VRコンテンツとしてのVTuberという切り口は、まだまだ掘りようがありそうですね。

バーチャル黄金時代よ、どこへ征く

VTuberがここまで盛り上がった要因の一つは、その意外さだと感じています。やはり昨今はSNS時代。誰かが注目したものに皆一気に集まり、拡散されていきます。VTuberだって、こじんまりしたネットカルチャーに収束する可能性もあったけれど(まだあると思うけど)、ここまで認知されるに至ったのは拡散のたまものでしょう。これは狙ってできるものではないですし、タイミングとか流行とか、要因も様々。ましてやトレンドの転換が早い昨今ですから、ヒットの仕組みとか解析しよーがないです。

四天王に数えられるねこますさんは、2018年7月末にVTuber活動を引退(縮小)すると発表しました。詳細はご本人のブロマガにあるのですが、「予想外に動画コンテンツとして求められてしまった」という言葉が印象的だったのを覚えています。そう、VTuberって予想外な存在だったんですよ。それが今やもうフォーマットされてきている。

Video: バーチャル番組チャンネル/YouTube

こうした、発見→浸透→飽和みたいな変遷は、何かが流行っていく際の自然的な流れです。目標があるのか、趣味レベルなのか、企業ノリを出したいのか、収益を挙げたいのか。同じVTuber活動でもスタイルは千差万別で、その幅の広さが視聴層の広がりに繋がり、多くの人がVTuber知ることに繋がったと思います。自分に見合った門扉で、お好みのVTuberと出逢えば良いのです。

果たして今は祭りのピークなのか、あるいはまだ序の口なのか、それすらもわかりません。ですが、新しい技術やトレンドがVTuber界隈から発信されていて、まだ伸びしろを感じるのは事実。視聴者が飽きるのが先か、意外性の弾丸のほうが多多く飛び交うか? そんな飽きない(商い)レースを夢想したくないのですが、毎日のように面白い何かが生まれるインターネットですから。一寸先は404。

SNSアカウントのように、誰もがバーチャルアバターを当たり前に持つ時代になったら面白いなーと、僕はひそかに思ってます。VTuberのおかげでバーチャル○○の敷居は下がったでしょうし、『サマーウォーズ』な社会も、あながち妄想じゃなくなってきたのでは?

Source: YouTube(1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13), Twitter, ブロマガ

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