なぜか普及しない。2018年の「家庭用ロボット」を振り返る

  • 13,557

  • author Victoria Song - Gizmodo US
  • [原文]
  • Rina Fukazu
なぜか普及しない。2018年の「家庭用ロボット」を振り返る
Image: Alex Cranz/Gizmodo US

唯一の勝者は、あの家電。

子どもの頃、大人になったらロボットに囲まれた生活ができるものだと思いませんでしたか? スターウォーズに出てくるR2-D2やC-3POのように、ちょっとボケたら「ビービー」ってツッコミいれてくれるような気さくなロボットの友だち、ほしいですよね。去年の今ごろは、もうちょっと家庭用ロボットへの希望が見えたと思ったのですが、今年はなんだか思っていた以上に不振だった気がします。

愛らしくフレンドリーにつくられている家庭用ロボットは、Boston Dynamicのこわーいロボットとはもちろん明らかにちがう路線へ向かっています。でも、なぜか普及しない...いったい何故なのでしょうか。

もはや手に入らない「Kuri」

181210Kuri
Image: Mayfield Robotics

Mayfield Roboticsが開発した、「Kuri」というロボットはご存知ですか?

くねくね、ゆらゆらと部屋中を動き回る様子は愛らしく、ほかのロボットとちがって複数の機能を兼ね揃えている実用的な面もあります。動画撮影、セキュリティカメラ、音楽再生、オーディオブックのほか、Alexaのような基本機能もあるのです。

CEOのMike Beebe氏とCES2018で直接話した際には、Kuriは問題なく出荷準備中だと言っていたのですが、その後は結局、製造中止になってしまいましたね。親会社のBoschが今後の開発で頼れる投資家を見つけられなかったことが理由だといわれています。

トラブルだらけの「Jibo」は...

181210Jibo
Image: Time

当初の発表から大幅に遅れつつも、Indiegogoからローンチされました。Alexaのように質問をすれば答えてくれるほか、最大15人まで覚えて名前で挨拶してくれるという画期的な機能つき。

ただ、7月には従業員らを解雇して、11月下旬には知的資産を売り払って別の投資会社がオーナーになっていました。

新型「Aibo」は、もはやリアル犬のお値段

家庭用ロボットといえば、2017年に復活したソニーのAiboもあります。新型Aiboはより犬らしい見た目になっただけでなく、なんと人の顔を認識して記憶までできる機能つきです。初代Aiboにいたっては日本のファンから愛されまくった結果、2014年にソニーが治療(修理)サポートを終了してからはお葬式まで行なわれたという話もあります。

新型Aiboは2,900ドルという高級路線ですが、月額1万1,000円からの分割プランも用意されています。 Kuri(700ドル)やJibo(900ドル) はおおよそ10万円以下ですが、いずれにしても値段だけ見るとほかの家電機器や本物のペットを飼うのと同じくらいの価格になっています。

インダストリアル系ロボットも続々と...

ちなみに、今年不振だったのは家庭用ロボットだけではありません。

ドローンのスタートアップ企業Airwareも118百万ドルの資金が底をついてすべての計画が中止になっていました。Alphabetもまた日本のロボットSchaft チームを解体し、2012年に話題となったRethink Roboticsも今年10月に閉業となっていました。

ただただ愛らしい家庭用ロボットに限らず、コンセプチュアルで産業向きなロボットであっても苦境を迎えていたのです。

家庭用ロボットが抱える諸問題

家庭用ロボットがなかなか普及しないのは、技術面での問題なのでしょうか? それとも価格? あるいは興味を持ってくれる人の数でしょうか? ...おそらくどれも要因につながっています。

家庭用ロボットは、たしかに簡単なビジネスではありません。膨大な開発コストがかかるのはもちろん、Boston DynamicsのSpotMiniのように身の危険を感じそうなロボット犬を欲しがる人はいないでしょうし...。

とはいってもAiboのような一見かわいいロボット犬は、ごく普通の家庭にとってお財布に優しくないうえに、ロボットといえどそこまでいろいろなことができるわけでもありません。KuriやJibo は愛らしくAiboと比べると安い価格設定にはなっていますが、それでもAmazon Echo や Google Homeと比べるとできることは少なく感じられます。

そんななか今年後半にダークホース的存在感を示したのが、Anki の「Vector」です。手のひらサイズのウォーリーみたいにちいさくて愛嬌もあって、値段も250ドルと、ロボットにしては比較的手頃。

181210Vector
Image: Tom Caswell/Gizmodo US

でも、現時点ではゲームで遊ぶ以外にほぼできることがないのが難点。実際に買いたいと思わせてくれるモチベーションとしてはちょっと弱い気がします...。

ロボット掃除機ならどうか

そんななかロボット界で唯一、今年も変わらず注目を浴びていたのがロボット掃除機です。ルンバでおなじみのiRobotやそのライバル的存在のネイトロボティクスは、ハイエンドな製品ラインもリリースしました。

どちらも、掃除する場所を指定できるネイトのBotvac D7 Connected(800ドル)や、自分でゴミ捨てできるルンバ i7+(950ドル)のほか、300〜400ドルで同じようなことができる廉価版も出しています。そのほかにも、ロボット掃除機のなかには2万円以下で手に入るものもあり、掃除が苦手な人には便利でコスパが良いことは明らかです。

価格だけじゃありません。KuriやJibo、Aiboのようなかわいらしいロボットでさえ、そのDNAには不気味の谷的な気味悪さがちょっとだけ刻まれています。Jiboの挙動に慣れるのには少し時間がかかります。でもより重要なのは、人間にご奉仕するロボット以外のものには見えないロボット掃除機が成功したことです。もちろん、私は彼らに名前をつけて人間であるかのように扱います。しかし、ロボット掃除機には目がありません。しゃべったりユーモアセンスを披露しようとすることもありません。でも、ロボット掃除機は散らかった私たちの部屋を綺麗にしてくれます。そう、それなんです。私たちは彼らの友だちになってもいいのですが、彼らは私たちに友だちになることを求めません。仕事の手際も悪くありません。

たぶんそれがかわいくて親しみやすい家庭用ロボットたちがうまくいっていない本当の理由です。つまり、孤独はロボットたちが解決できない問題なのです。Tinderで出会った人や、Twitterで顔も知らないけど議論を交わした人、フェイスブックやインスタグラムで見つけた旧友とやりとりするほうが良い息抜きになります。Kuri、Jibo、新型Aiboだけでなく、音声アシスタントのAlexa、Siri、Google Assistantは現状、本当の会話ができません。イヤなことがあった日に、音声アシスタントから「それは大変でしたね」みたいなうわべだけの言葉をかけてもらっても慰めにはならなかったり、今年は良い年だったと振り返っても何か心から分かち合えたりするわけでもありません。

来年こそは、こうした課題をクリアしたイノベーティブな家庭用ロボットが誕生するのでしょうか...?


    あわせて読みたい

    powered by