Blackmagicの15万円シネマカメラでグレーディング初挑戦、映像がきれいすぎて自分でも感動

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Blackmagicの15万円シネマカメラでグレーディング初挑戦、映像がきれいすぎて自分でも感動
ビフォーと同じ風景とは思えないほどの圧倒的カラー Image: Gizmodo US

重くてデカくて電池もカードも消耗激しくて映像しか撮れないカメラ。そんなの買う人いるのかなと思って、撮った映像を見たら…

びっくり。

15万円でシネマグレード

Blackmagicはキヤノン、ソニーほど有名じゃないけど、映像の世界ではちょっと知られた存在です。ハリウッドの本格映像を安く楽しめる技術の開発を手がけており、この新製品「Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K(BMPCC4K) 」もそのラインに連なるもの。ターゲットはずばり、低予算映画のクリエイターです。後処理の技術は要るけど、この自由度の高さは魅力かも。

ポケットカメラと呼ぶには巨大すぎるボディ

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Sony α7R IIIと並べっこ。BlackmagicのPocket Cinema Camera 4Kのほうがはるかにデカい
Image: Gizmodo US

まず目に入るのが、ど~んと巨大な78 x 96 x 85.5mmのボディ。これが入るポケットってどういうポケットだよって、さっそく言われてます。重量は680gなので、見た目ほど重くはないです。映像用なのに(静止画も撮ろうと思えば撮れる)、スティルカメラっぽいボディというのが面白いですね。

メニューは最高。日向ではほぼ見えない

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Image: Gizmodo US

ファインダーがないのを挽回するかのように、画面は5インチもあります。明るいです。ま、直射日光が当たるとほぼ見えなくて苦労しますが。いつも使ってるSony α7R IIIならビューファインダーでのぞけばOKだけど、それがないのは痛い。別売のオプションもあるけど、それを買うと高くなって意味ないし。

でもこのカメラはとにかく使いやすくて、メニューが本当にシンプルです。カメラのメニューって、ほめた試しがないのだけど、これはレイアウトも直感的だし、選択肢が多すぎて目が回ることもありません。物理的なボタンもあって、ホワイトバランス補正、シャッタースピード、自動露出補正、オートフォーカスなんかの設定はそこでできます。一番よく使う機能を割り付けられるカスタムボタンも3個。

LUTをあててシネマ風に

さっそく3個のうち1個に「 LUT (Look Up Table、ラット)」を割り付けてみました。Logというシネマ撮影モードで撮ると灰色がかって眠い絵になるのだけど、後処理でカラーグレーディングをして色をつけてやると化けるんですね。これが本当に楽しくて楽しくて。「グレーディング?なにそれ?」というときは、こちらの動画をどぞ~。

Video: video channel/YouTube

Pocket Cinema Camera 4K 」はカメラにいながらにして、元映像ノータッチでどんどんプレビューできるので、やめられません。

豊富なポート

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ふたはフガフガしているが
Image: Gizmodo US

頑丈に見えるけど、ポートのカバーなんかの細かいところにはそんなに力、要れてません。カバーはアレですが、ポートはこの上なく便利で、フルサイズのHDMI出力端子で4Kモニターにつなげるし、3.5mmのマイク&ヘッドフォン端子、ファンタム電源出力OKのちっちゃなXLR端子まであるので、ここからマイクに電源とって、カメラに直接上質な音も拾えます。

バッテリーは死ぬほど食う

DCポートで充電しながら撮影もできます(外すのはたいへん)。バッテリーはキヤノン一眼レフと同じLP-E6 なので、もうね、あっという間です。特に高画質、高フレームレートで撮ってたら、す~ぐです。こちらのレビュワーのScott Balkumさんは「キヤノンのカメラが1.5~2時間もつところ、Blackmagicは公称1時間、実際は30分か40分だ」(6:37~)と言ってました。USB-Cポートで充電できるのが不幸中の幸いですが。ちなみにロック電源ケーブルは別売です。

容量サイズは気が遠くなるほど大きい

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SSDつないでるとこ
Image: Gizmodo US

保存はSSDです。それもものすごく速いのじゃないとだめ。SD/UHS-IIでもCFast 2.0でも保存できるけど、そんなんで間に合う容量じゃないんです、このカメラ! 圧縮ゼロのDNG形式のRAWデータで撮ったら4秒ともたずに1GB飛びました。そう、4秒。タイポじゃないですよ。64GBのカード買っても4分撮って終わりです。

RAW 3:1にすれば255MB/secから122MB/secに圧縮されます。高級なモニターに映さないと、肉眼で見ても違いはほとんどわかりません。Apple(アップル)のProResコーデックでも撮れます。それだとProRes 422で74MB/sec、 ProRes 422 LTで51MB/sec。これも違いはわかりません。実はハイエンドカメラ「URSA Mini」に内蔵の自社製コーデック、Blackmagic RAWも搭載予定。こっちはすごくて、画質はRAW 3:1 なのに、ファイルサイズはProRes 422 LT並みという黒魔術。だれでも手軽にシネマ映像楽しめるようになるゲーム・チェンジャーです。まだ未搭載ですが。

そんなにデータため込んで、メリットあるの?

あるんです、色ですよ、色。ニュアンスといい深みといい、とても15万円のカメラとは思えないレベルです。最初は灰でもかぶったみたいな色で出力されるのですが、その見た目に騙されちゃいけない! 情報はものすごくたくさん詰まっているので、自由自在に編集できます。色付けのグレーディングさえやり方を覚えれば、映像の腕は次のレベルに突き抜けますよ。

後編集が欠かせないので、カメラにはBlackmagicの自社製編集ソフト「Davinci Resolve 15」が無料で入ってます。これは市販のカラーグレーディングでは右に並ぶものがないかも(本カメラのRAW DNG形式の映像はこれでしか後処理できない)。 読み込み可能な形式(ProResなど)の映像であれば、Adobe PremiereやApple Final Cutでも同じことはできますけどね。

文字よりトップの映像、まだ見てない人は見てみてくださいね! ほんと百変化です。 古い映画みたいにもできるし、HDRっぽくもできて、ウェス・アンダーソンみたいにもできる。いかようにもなるのでセンスが問われますよね。カメラから出力しただけでは使い物にならないので。自分はグレーディングなんて全然ダメだけど、YouTubeで使い方の動画を見て、無料のLUT(ラット)なるものをダウンロードしてやってみたら、なんかそれらしいシネマ映像が2時間で撮れちゃいました、どうしましょ。

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Image: Gizmodo US

色が深い

SONYは8-bit動画のみですが、Blackmagicは10-bit、12-bitでも撮れます。ビット=色の深み、と言い換えてもよくて、表示できる色は8-bitが約1670万色であるのに対し、10-bitは10億色超え、12-bitは680億色超えです。

色が多ければ多いほど有利な気がしますけど、人間が目で見分けられる色は1000万色までが限界みたい。8-bitはその能力のはるか上なので、もうこれで十分なんですね。ただ、高いビット数で撮った映像のほうが編集のバリエーションが広くなる、というのはあります。ハイライトもシャドーも伸び代が大きいというか。色のグラデ―ションも自然。まーしかし、処理コストも馬鹿にならないので8-bitで十分で、10-bitと12-bitは合成とか特殊効果を多用するとき用かな。

なんせセンサーがちっこいので、光は必要です。レンズはいいの入れないとダメ。それでコストはかかります。フルフレームよりフォーサーズのほうがレンズは安いけど。MFTマウントシステムを使っているので、Sigma、Panasonic、Olympus、Tamronのレンズを嵌めても、ちゃんとオートフォーカスで撮れます。Canon、Nikon、Sonyのレンズもアダプターをつければ嵌められるけど、オートフォーカスは連動しません。ここではSigma 30mm f/1.4で全部撮りました。なかなかシャープで、ボケみもちょうどいいですよね。

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Image: Gizmodo US
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Image: Gizmodo US

誰が買うの?

気になるお値段1,300ドル(日本は15万円台)。 うん十万の映像が降臨、というところですけど、普通の人が買っても容易には使いこなせません。

・グレーディングができないといけない

・撮影技術も必要(内蔵スタビライザーがいまいちなので、手もちで撮ってもだめ)

・連続オートフォーカスモードがないので忙しい。タップで再フォーカスできるのは4回に3回ぐらい

・遅い(三脚かジンバルが要る)

とにかくフォーカスをマニュアルで追うのは、それ、撮影の人の一生の仕事なので、簡単ではないです。そうやって考えてくると、トラベルブロガーにもユーチューバーにも気やすくすすめられないんですよね。日中の結婚式フォトグラファーは結構ドラマティックに撮れそうですけど、披露宴が夜になると、暗いところはISO 6400レベルになるとノイズが入って、SONY α7R III(そんなに暗所でベストというわけではない)との差は歴然だし。

やっぱりインディーの映画監督というところに落ち着いちゃいますね。フィルムスクール卒業したばかりで夢はあるけどお金がない。なんせ光がいい日は本当に値段10倍のカメラ並みのいい絵が撮れるので、それが一番のセールスポイントかと。BlackmagicのRAWコーデックが出たときが本番ですね。持ち心地はともかく、絵は好きなカメラ。

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