ヴェノムはなぜ生まれたのか? 『スポーン』と『ヴェノム』を生み出した伝説のクリエイターにインタビュー!

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  • author 傭兵ペンギン
ヴェノムはなぜ生まれたのか? 『スポーン』と『ヴェノム』を生み出した伝説のクリエイターにインタビュー!
Image: (C) 2018 Columbia Pictures Industries, Inc. and Tencent Pictures (USA) LLC. All Rights Reserved. | MARVEL and all related character names: c & TM 2019 MARVEL.

すべてはカッコよさのため。

スパイダーマンの宿敵として誕生したマーベルの大人気のヴィランを主人公とし昨年大ヒットを果たした映画『ヴェノム』。今回はそのキャラクターの生みの親でもあり、ダークヒーロー『スポーン』の生みの親でもある伝説のクリエイター、トッド・マクファーレンにインタビュー!

トッド・マクファーレン略歴

トッド・マクファーレンは、1984年にペンシラー(線画担当)としてデビューを果たしマーベルとDCコミックスの両方で働いていました。その後、『The Amazing Spider-Man』誌を担当しヴェノムなどを生み出して一躍人気アーティストになり、独立。ジム・リーなどの他のクリエイターたちと共に新出版社イメージ・コミックスを立ち上げスポーンを生み出し、そのアクション・フィギュアを販売するマクファーレン・トイズも立ち上げ、クリエイターと実業家の両方で成功を収めている人物。

特に日本ではマクファーレン・トイズのスポーンを筆頭にアメコミ系のアクション・フィギュアが90年代に一大ブームを巻き起こしていたので、フィギュアを集めまくってたという人もきっと少なくないはず!


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──ヴェノムはどのような経緯で誕生したキャラクターなのでしょうか?

トッド・マクファーレン(以下、マクファーレン):私がスパイダーマンの担当になる時、ピーター・パーカーは黒いコスチュームを着ていたのですが、私は黒いスパイダーマンなんて描きたくありませんでした。私にとってのスパイダーマンは赤と青のコスチュームですからね。

だから私はマーベルに「黒のコスチュームをやめてよければ、スパイダーマンを担当してもいい」と言ったのですが、マーベルは黒のコスチュームを気に入っていて、捨てたがりませんでした。なので「じゃあ、黒のコスチュームを着た新しいキャラクターを作ろう」と提案したのです。そうすれば、マーベルは黒のコスチュームを捨てなくてすむし、私は赤と青のスパイダーマンが描けますからね。

マーベルがその条件を飲んでくれたので、私は新キャラクターを巨大なモンスターとしてスケッチしました。さらに大きな目と口と、後のデザインほど大きくはない舌も描き加えました。そしてそれを見たライター(ストーリー担当)のデイヴィッド・ミケライニーが「ヴェノム」と名付けたのです。

しかし後になって、ヴェノムの中にはエディ・ブロックという人物が入っていると言ってきました。私としてはモンスターとして描いていたし、形や大きさは変えたくなかったので、コスチュームがエディを飲み込むと、ブルース・バナーがハルクに変身するのと同じように大きくなるということになりました。

こうしてヴェノムはスパイダーマンが殴り合いで勝てる相手ではなく、頭を使って戦わなきゃいけない強敵となったわけです。もしトッド・マクファーレンという若いアーティストが、黒いコスチュームを黙って描いていたら、ヴェノムというカッコいいキャラクターは生まれなかったかもしれませんね。大人になりきってないアーティストでよかったですよ。

──そんな形でヴェノムやスポーンを生み出し、コミック・アーティストとして成功していた中、どうしておもちゃ会社を立ち上げ、アクションフィギュアを売る事業を始めたのですか?

マクファーレン:黒いスパイダーマンを描きたがらなかったのと同じですね(笑)。当時の私は頑固で、大人になりきれていなかったから、人に言われた通りのことをするのが嫌でした。

そして私はオタクで、それは今でもそうですが……映画やスーパーヒーローのファンとして、フィギュアってもっと見た目をよくできるんじゃないかと思っていたんです。

だから大きなおもちゃ会社に話を振ってみたのですが、私のやりたいことをやらせてくれる会社はいませんでした。なので、自分でやりたいことができる会社を始めたんです。もうすでに同じ様な形でイメージ・コミックスを立ち上げていたので、大したことではありませんでした。世間に気に入ってもらえたらそのまま進めばいいし、気に入られなかったら変えてみればいいんですよ。

とにかく私はカッコよくしたかっただけなんです。スパイダーマンをカッコよくしたかったのと同じようにね。

──映画『ヴェノム』を見てどう思いましたか?

マクファーレン:あの巨大なキャラクターをデザインした者として、映画でそびえ立つようにデカいヴェノムが見たいと思っていました。多分、一緒にヴェノムを生み出したデイヴィッド・ミケライニーはストーリーの部分を見たいと思っていたでしょう。もちろん私もそうですが、やっぱり何よりデカいキャラクターが見たいと思っていたんです。

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Image: (C) 2018 Columbia Pictures Industries, Inc. and Tencent Pictures (USA) LLC. All Rights Reserved. | MARVEL and all related character names: c & TM 2019 MARVEL.

かつての映画『スパイダーマン™️3』のヴェノムはデカさが足りなくてがっかりしましたが、今回のトム・ハーディのヴェノムは「これがヴェノムだぜ!」って感じでしたね。世界のみんながどう思ったかは代弁できませんが、私はとにかく満足しました。

──今新しい『スポーン』の映画を製作中のことでしたが、振り返ってみて1997年の映画『スポーン』はどうだったと思いますか?

マクファーレン:まずまずだったと思いますね。1997年と今ではチケットの値段が倍以上にに違うので、もし劇場に同じ数の人が観に来てくれてチケットが今の値段と同じだったら、初週末だけで予算の半分を回収できたと思います。

当時はスーパーヒーロー映画に大金をかけようなんて会社はあまり多くなかったですが、今は違います。スーパーヒーロー映画は世界中で大ヒットし、あえてその定番から外れようという作品もでてきました。

たとえばコメディテイストのスーパーヒーロー映画にはハリウッドの会社の多くが乗り気ではありませんでしたが、やってみようという会社が出てきて誕生したのが映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』で、大ヒットしました。

Video: SonyPicturesJapan/YouTube

それからコメディが受けるならR指定にしてみようと『デッドプール』が作られ、R指定でもっとシリアスにしようとなって『 LOGAN/ローガン 』が生まれました。そして主人公をヴィランでアンチヒーローにしてみようと『ヴェノム』も作られたわけです。どれも成功して、凄いお金を生み出しました。

スーパーヒーロー映画というフォーマットは成功するんです。だからこそ、みんな同じようにする必要なんてないんです。新しい『スポーン』もまた、ダークなドラマ映画として別の所を攻めることになると思います。

とにかく、たまに理解していない人がいますが、世界はもうオタクだらけなんですよ。本当に素晴らしいと思います。

──マーベルで働き始めた頃と比べて、今のコミック業界はどう変わったと思いますか?

マクファーレン:クリエイターとしての目線で言えば、僕が入った頃のマーベルはまだスタン・リーマーベル・メソッドでやっていたので、ライターが大まかなストーリーのアイデアを出し、アーティストがそれに沿って絵を描いて、それからライターが吹き出しを埋めていくというのが普通でした。

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しかし、今はほとんどのそのやり方はしていません。ライターたちは映画で使われるものに近い脚本をしっかり作っています。そしてアーティストはそれに合わせて絵を描いています。そんな変化がありました。

とはいえ最大の変化はやはり、世間のオタクへの扱いでしょう。私が働き始めた頃はコミックは、子どもっぽいと見下されました。でも今は、コンベンションとかも本当に大きなイベントになり、オタクでいてもいいという時代になりましたね。

聖書には「柔和な者(meek)は幸いです。その人たちは地を受け継ぐから」という言葉がありますが、それは間違いで、本当はオタク(geek)のことなんじゃないかと思っていますよ(笑)。



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他のインタビュワーの質問にも「カッコよくする」という表現を連発していたのが印象的でした。こういう方だからこそ、スポーンやヴェノムのようなカッコよさのキャラクターが生み出せたのでしょうね。ちなみに映画『スポーン』は現在資金集めの最中なのだとか。本当に公開が楽しみ……!

映画『ヴェノム』は2月6日(水)より順次デジタル先行配信。そして3月6日(水) からブルーレイ&DVD発売。特典としてトッド・マクファーレンがヴェノムの歴史を紹介する映像も入っているとのことなので、マクファーレン・ファンはこちらも要注目!

■ブルーレイ&DVDセット 4,743円+税

■4K ULTRA HD & ブルーレイセット【初回生産限定】 6,800円+税

■日本限定プレミアム・スチールブック・エディション【完全数量限定】 9,200円+税

発売元・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

公式ホームページ:http://www.venom-movie.jp/

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Source: 映画『ヴェノム』 | オフィシャルサイト, Instagram(1, 2), YouTube