5Gスマホって買うべき? 先行する米国のユーザーいわく…

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  • author Sam Rutherford - Gizmodo US
  • [原文]
  • 福田ミホ
5Gスマホって買うべき? 先行する米国のユーザーいわく…
Photo: Sam Rutherford/Gizmodo US

よっぽどのことがない限り…。

Samsung(サムスン)がGalaxy S10 5Gを発表するなど、「5G」が徐々に「次世代」から「現世代」になりつつあるようです。でも米GizmodoのSam Rutherfordは、やっぱりまだまだ「次世代」じゃないかという考え。以下、冷静に現状を振り返ってみます。


MWCでは各社から力の入った、または斬新な、さまざまな端末が出てきましたが、大きな話題は端末だけじゃありません。もうひとつ注目の話題は、間違いなく5G通信です。

いま米国ではメジャーな携帯キャリアのほとんどが5Gを展開し始めていて、チップメーカーのQualcomm(クアルコム)からは5Gモデム発表Galaxy S10 5G以外にもいくつかのスマホが5G対応しつつあります。もはや5Gは次世代ではなく、もうその時代に突入しているようにさえ感じます。

「5G」とはモバイル通信第5世代ということで、テック企業たちはそれが実現するあれこれを喧伝してきました。1Gbpsを超える通信速度10ミリ秒以下のレイテンシ(反応時間)、爆発的に増殖するIoTデバイスの通信をも取り回せるキャパシティ…などなど。

でも「それじゃ5G! 買わなくちゃ!」となってしまう人が出る前に、気にしておくべきことをここで3つ、お伝えしたいです。

5Gはまだほとんど使えない

まず5Gネットワークが使える場所がごく限られていることは要注意です(訳注:日本ではまだ使えません)。5Gが使えるエリアを確認すると、米国では記事執筆時点でニューヨークとかロサンゼルス、ラスベガス、テキサス州の何カ所かという程度です。こちらの地図を見ていただくと、いかに少ないかがわかると思います。携帯キャリアも全社が開始しているわけではなく、Sprintはまだ始めてなく、今年5月に9つの都市でスタート予定、とかです。

キャリア別の事情を見てみると、まずAT&Tはすでに12都市で展開中ですが、これにも制約があります。よくよく読むと、AT&Tのいう「5G+」(真の5Gを彼らはこう呼んでいます)は12都市の中でも「限られた地域でのみ利用可能」となっています。言い換えると、12都市のどこかにいたとしても、必ず5Gが使えると思っちゃいけないということです。

Verizonは去年、家で使える5Gホットスポット的なものを発売しつつ、2019年発売の5G対応スマホに備えたインフラ構築も開始しました。Verizonの自宅5Gが使えるのは現在ロサンゼルスとサクラメント、ヒューストン、インディアナポリスの4都市だけです。

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2018年8月に発表された5GのMoto Modですが、発売時期はまだわからないままです。(Photo: Sam Rutherford - Gizmodo US)

T-Mobileは、AT&TとかVerizonへの反骨精神の表現なのか、他社とは違う600MHz帯を使って5Gの展開を始めました。AT&TやVerizonのようなミリ波帯を使った5Gに対し、600MHz帯のような低周波数帯は伝搬特性が高く、建物をよりよく透過するとされています。でもデメリットは、低周波数帯ではギガビット級の速度やレイテンシの短縮が期待できず、5Gにする意味が薄れてしまいます。さらにT-Mobileは2019年末までに30都市で5Gを展開すると言ってますが、全米展開は2020年にはできない認めてもいます

5G対応スマホは高い

ふたつめのハードルは、端末の価格です。去年の時点でMoto Z3を買って「あとは5Gアタッチメントを装着するだけ」みたいな人以外、ほとんどの人が新しいスマホを買わないと5Gを使えません。ちなみに、Moto Z3の価格は480ドル(約5万3000円)で、5Gを使うには未発売の「5G moto mod」アタッチメントをくっつける必要がありますが、その価格はまだわかっていません。

多くの人は5G機能を後付けするというより、普通に5G対応スマホがほしいんじゃないかと思います。じゃあ5G通信機能を載せるとどれくらいかかるかって話になりますが、OnePlusの創業者Carl Pei氏いわく、5Gスマホは4G LTEより200〜300ドル(約2万2000〜3万3000円)上乗せされるそうです。まだどれくらい使えるかわからない5Gに2、3万も使うのは、かなり冒険な感じがします。

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Photo: Sam Rutherford/Gizmodo US
「5G」アイコンのお値段、いくらなら許せるか。

Samsungの場合、Galaxy S10Eは750ドル(約8万3000円)、S10は900ドル(約10万円)、S10+は1000ドル(約11万円)、Foldは2000ドル(約22万円)でしたが、S10 5Gの価格は発表されていません。S10+の1000ドルを基準にして、S10 5Gの巨大な6.7インチスクリーンとふたつの深度カメラ、5Gモデムとアンテナを加味すると、多分1500ドル(約17万円)以上にはなると思われます。

LGのV50 5Gもだいたい同じような感じです。端末そのものは発表はされたんですが、LGも、V50 5Gが最初に使えるキャリアのSprintも、価格は発表していません。それにスマホメーカーは、5Gスマホは5Gだけでは売れないと思っている風で、LGもSamsungも深度カメラとかデュアルスクリーンみたいな機能をいろいろ載せています。

要するに2019年に5Gフォンを買う人は1000ドル(約11万円)は投入する必要があり、しかも通信料金も5Gのほうが高いかもしれません。携帯キャリア各社はまだ、5Gの料金設定がどうなるか明かしてないんです。

5Gを活かしたアプリがまだない

2019年の多くの人にとって、5Gの通信速度はわざわざ手に入れる価値がありません。なぜなら、5Gのメリットのひとつはドローンとか通信機能を持つ車、TVなどなどといったものがすべてつねにワイヤレスでつながりあうってことだからです。問題は、5G対応デバイスはまだまだ少なく、ましてそれらが常時接続することを活かした使い方なんて存在しないからです。

現時点で、5Gスマホを5Gネットワークに最大速度でつないでできることを考えると、多分映画とか音楽のダウンロードはすごく速くできます。でもストリーミングに関しては、4Kコンテンツがまだそんなにありません

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Photo: Sam Rutherford/Gizmodo US
サムスンのメジャーリーグアプリは良かったんですが、大規模に展開できるものじゃないです。

MWCのサムスンのブースでは、Galaxy S10 5Gがライブ5Gネットワークを模したものにつながっていて、そこでメジャーリーグのゲームをデモで見せてました。動画の映像をいくつものカメラからコントロールできるっていうデモです。ホームベース裏のカメラから1塁ベースのカメラへ、という風に自在に切り替えられて、まさに5Gの分厚い帯域を活かしてる感じがしました。でもこのアプリはデモ用に作られただけで、5Gスマホを買った野球ファンが今すぐ使えるわけじゃありません。

それから5Gでレイテンシが短縮されれば、PUBGとかスマブラとかApex Legendsみたいなマルチプレイヤーのゲームを、スマホでも家のWi-Fi並みにラグなしでプレイできるかもしれません。でも、今考えられるのはそれくらいです。いわゆる「5G革命」と言われるほどのインパクトは、全デバイスがその速度でつながれたときに起こるのであって、自分だけ5G対応スマホを持っていてもあまり意味がありません

2019年の段階でモバイル5Gを有効活用できるのは、巨大なファイルをオフィス以外の複数の場所間でセキュアにやりとりしたい企業くらいだと思われます。

まとめ:5Gはまだ未来の話

だからって5Gはダメだとか、使えないということじゃなく、ポテンシャルはもちろんあると思ってます。新しいテクノロジーを試すのは楽しいし、新しいものに早い段階で飛びついてみると、それが徐々に広がって成長していくのを自ら体験することができます。

でも今は、モバイル5Gがまだ壮大なベータテストだってことを理解しておくべきです。もし今の段階でお金を出して使おうとするなら、それはKickstarterでプレオーダーとか資金提供とかするのと同じようなことで、現実ではなく夢とか希望に動機づけられてるんだってことを意識しといたほうが賢明です。

なので、お金が余ってて5Gにすごく興味がある人とか、何でも最初に試してYouTubeにアップしたい人とかが5Gスマホを買うのは全然良いと思います。ただそうじゃない人は、その分のお金をとっておいたほうがいいです。5Gの普及率は2019年にはまだ0.4%と予測されているので、今飛びつかなくても、何かを逃すってことはほとんどありませんので。

Source: Qualcomm, Cellularmaps, Sprint, AT&T, Verizon, T-Mobile, The Verge, Trend Force

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