人形でもキャラクターでも目が大事って言いますから。
ギズモード読者の中にもファンが多いであろう漫画『銃夢』が原作の映画『アリータ:バトル・エンジェル』。今回はメガホンを取ったロバート・ロドリゲスに監督にインタビューにしてきました。
実写化にあたり原作のどの部分にこだわったのか、アリータの大きな「目」について、そして木城ゆきと先生とのやりとりなどについて聞いてきましたよ!

──本作の原作である漫画『銃夢』の作者、木城ゆきと先生からは製作にあたって何かアドバイスをもらいましたか?
ロバート・ロドリゲス(以下ロドリゲス):私とプロデューサーのジョン・ランドーで日本にいる木城さんをお尋ねし、脚本を見せたりいろんなアプローチをとりました。その後、木城さんがアメリカのセットを訪問してくださったんですが、アリータやセットをみたときの顔は本当にびっくりして喜んでいました。

実は私が『シン・シティー』でフランク・ミラーとはじめて仕事をし、彼が初めてセットを見たときと同じ顔でした。自分の描いた漫画がこういうふうにセットになって、木城さんは「あぁ、アリータだ!」というふうにおっしゃっていました。元々私もコミックから始めており、映画でなるべく原作に忠実に仕上げたいと思っていたので、彼がとても喜んでいるのをみて嬉しかったです。
──アリータの目の描写は、昨年の夏に公開された予告編のときと本編で変わりましたよね。アリータの目を表現する上で、最も大切にしていたことはなんですか?
ロドリゲス:実はこの映画は2005年にジェームズ・キャメロンが監督しようと思っていたんですよね。その時にもう彼のアイデアとして写真のようなリアルさがありつつも、目だけ大きいという、木城さんの漫画をそのままリアルにしたような表現が考えられていました。
実はこの作品は去年の夏に公開されるはずだったので、それに合わせて予告編を作らなければいけませんでした。予告編を作った時はやっと顔の製作に取り掛かり始めた時だったんですが、予告編の目と本編の目は同じサイズなんです。違うところといえば、予告編のときは瞳がちょっと小さかったんです。
予告編が公開されると、みんなから「ちょっとプロポーションがおかしいんじゃない?」「目が大きすぎるんじゃないの?」と言われたのですが、キャメロンだけは「いや、違う。目は小さいぐらいだ。もっと大きくしてもいいぐらい。何が足りないかというと、瞳の大きさが足りない」と言ってたんです。そこがキャメロンの天才的なところで、実際に大きくしてみたらぴったりはまったんですよね。
──木城ゆきと先生がブログの中でくず鉄町の描写を「楽しいディストピア」だと絶賛していましたが、世界観の構築で最も気にかけたのはどのような部分ですか?
ロドリゲス:なるべく原作に忠実でいたいと心がけていました。と同時にキャメロンのスタイルは、SFやファンタジーであればあるほど、リアリティーを重要視しています。そうでなければ人々が信じないと考えているからです。なので、デザイン的にはすごく原作に忠実にしつつ、様式化されたような部分は取り除いてなるべくリアルにしました。
おそらく彼の頭の中では、地に足のついた、実際にありそうな世界を考えていらっしゃったと思うんですよね。今作のストーリーは非常に普遍的で、いろんな文化に通じるものがあると思っています。だからこそリアルさを持たせることで、人々がアリータの存在やストーリーを信じることができるのだと思います。
──今作の製作にあたって使った、最も新しい技術について教えてください。
ロドリゲス:人間のキャラクター(アリータ)を写真のようにリアルに見せるということですね。『アバター』でも『猿の惑星』でもやったことがありませんでした。
というのも、CGで作られた人間をリアルに見せるのは、肌や目の感じを再現するのがとても大変なんです。目も魂が見えるようなものでなければならず、アリータの目を一つ表現するのにザレム以上のテクノロジーがいるというくらい、大変なことでした(笑)。
それもあって一番最初の予告編の時のアリータは本編と違ったわけで、それくらい初めてのことだったんです。つまり本物の人間に感じさせるものを作るということが大変でした。

映画『アリータ:バトル・エンジェル』は2月22日全国ロードショー。
Source: 映画『アリータ:バトル・エンジェル』公式サイト,