Apple、動画サービス開始に向けて本気のPR。禁止のはずのプッシュ通知宣伝まで繰り出す

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Apple、動画サービス開始に向けて本気のPR。禁止のはずのプッシュ通知宣伝まで繰り出す
Image: Gettyimages

プッシュ通知は宣伝に使っちゃダメ!(オレ以外)

自分のサービスの宣伝になると、Appleは本気です。どれくらい本気か。自分で作ったルールを自分で破るくらいです。

Apple Musicの宣伝をプッシュ通知

9to5Macのレポートによると、Apple Musicに一度は加入したけれども止めたユーザーたちを対象に、プッシュ通知で三ヶ月無料トライアルの宣伝を送っているようです。ユーザーからすると通知はどんなものでも厄介だな、と感じるレベルになってきた昨今ですが、この手法はただ通知が増えた、というだけでなく自分たちが作ったルールをAppleが破っている形になっている、と9to5MacとVergeが指摘しています。

自分でダメって書いてる

App Storeのレビューガイドラインを読んでみると、そこには明確にプッシュ通知を「広告やプロモーション、DM目的で使ってはいけない」と書かれているんですね。しかしAppleは自社サービスに関してはプッシュ通知を広告に使っていると。米Gizmodoはこの件についてコメントを求めましたがまだ返答は来ていません。

なんでAppleは宣伝に必死なの?

この動きには実はさらに大きな文脈があります。というのも、Appleによる動画ストリーミングサービスが2019年3月に公式に発表されると予想されているのです。それに合わせて、なるべく多くのユーザーをApple Musicに入れておきたいという考えなのでしょう。もちろん、具体的なサブスクリプション形態がどのようなものになるかはまだ分かりませんが、このチャンスを活かして、怪しげな雲が立ち込めつつあるiPhoneの売上成績を補おうとする可能性は高いでしょう。しかしそれも簡単ではないでしょう。

動画サービスでiPhoneの売上成績を補えるの?

Jefferies GroupにおけるAppleアナリストであるTim O'SheaさんはBusiness Insiderの取材に対してまさにこのトピックについて語っています。Appleが仮に月額15ドルで新しいビデオ・ストリーミングサービスを開始したとします。この金額はNetflixによる4スクリーンでの視聴が可能なサブスクリプション契約とだいたい同じ価格帯になります。そしていくつかの報道で指摘されているように、ここからのAppleの取り分が30%になることを狙っているとしたら、O'Sheaさんはこの動画サービスからすぐに利益を出すのは難しいだろうと考えているようです。以下、Business Insiderからの引用です。

もしもこのサービスが大成功を収め、2億5000万人の加入者を集めたとしたら、Appleの収益は135億ドルです。これは馬鹿にできない額です。Netflixの昨年の全売上が158億ドルでした。


しかしAppleの文脈で見ると、この数字は雀の涙ほどの価値にしかなりません。2018年、Appleの収益は2650億ドルです。O'Sheaや他のアナリストたちはAppleの売上は今年大きく落ち込み、その後少しずつ回復するだろうと予測しているものの、135億ドルはそれでも社全体の収益からすると小さな金額に過ぎないでしょう。

Apple Music自体は成功を収めています。アメリカにおいては音楽ストリーミングサービスとしてはSpotifyを追い越している可能性もあります。しかしO'SheaはAppleが動画部門では苦戦すると予測しているようです。というのもNetflixがオリジナルコンテンツの制作に何十億ドルも注ぎ込んでいるのに対して、Appleは比較的小さい額しか投資していないからです。動画ビジネスにおいてこの違いは決定的です。

またAppleが要求している取り分割合の高さも、動画制作パートナーとの交渉の難航を生んでいるようです。CNBCは先週、HBOや他の会社との交渉がこれが原因で難航していると報じています。そして大きな結論としては、Appleのサービスが成功としたとしても、落ち込んでいるiPhoneの売上を補うような額にはならない、というのがO'Sheaさんの意見です。

さて3月にティム・クックがどんな発表を出してくるのか、待つしかないわけが...O'Sheaさんの読みが当たっていて、Appleによる動画配信サービスが苦戦となれば、プッシュ通知を使ったプロモーションは今後増えるかもしれませんね。

Source: 9to5Mac via The Verge

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