光り輝くほどに高性能です。同時に、強い影もあります。
各種SNSが動画に対応した現代って、動画撮影がポピュラーとなりましたよねホント。プロダクト側を見ると、スマートフォンでも4K撮影が可能ですし、DJI Osmo Pocketのような機械式ジンバルを搭載したハンディカムや、GoPro HERO 7のように極みの世界でも撮影が可能なプロダクトもあって、お手軽に豪華絢爛なコンテンツが作れます。
YouTuberのチャンネルを見ても、皆さま映像美の追求に余念がありません。
そのような時代に生まれたのが「Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K」。メーカーいわくポータブル、低価格、プロ仕様なシネカメラです。動画が撮れる一眼レフ、ミラーレスとは似て非なる存在です。
Blackmagic Pocket Cinema Camera 4Kとは?
これは何?:映画ライクな映像がとれるシネカメラ
価格: 14万7800円(税抜)
好きなところ:5インチタッチスクリーン、わかりやすいUI、高音質なマイク、価格が信じられないほどの高画質さなどなど
好きじゃないところ:バッテリィィィ! おまえぇぇぇ!
サイズは? デザインは?
テレビや映画の撮影などに使う従来のシネカメラは、横に長いでかいハコからレンズがニュッと伸びた、いわゆる肩乗せタイプのカメラです。「Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K」は、あの巨大なシステムを片手で持てるし、バックパックやメッセンジャーバッグに入れて持ち歩けるサイズにしたところがまずスゴイ。
一眼カメラと比較して大きいように感じますが、質量は722gでそれほどでもありません。ここにコンパクトなマイクロフォーサーズのレンズを組み合わせるのですから、トータルで見ても軽いシステムとなるんです。
バッテリーの続くかぎり、そしてストレージの空きがある限り、4K 60pで撮影をし続けられる「Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K」。このクオリティでの撮影はセンサーが熱を帯びやすく、なかなかにハードです。そういえば初期の4K撮影が可能なデジカメ、アクションカムって熱暴走することあったよなあ。
そこで「Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K」は、強制空冷ファンを内蔵しており、常にセンサーを冷やす設計になっています。電源を入れるとかすかにファンの音が聴こえてくるんですよね。
どうやら上面の2つのスリットから空気を吸い、下面のスリットから熱を帯びた空気を排気している様子。
ケースはいかにもなエンジニアリングプラスチックで高級感は皆無。でもそれがいい。質実剛健な素材を使っているところを含めて機能美です。
全能感すら覚える5インチタッチスクリーン
ホイールは1つ、あとは全部ボタン。しかもカスタマイズの幅は狭い。それでも使いやすいといえます。なぜならば、背面のタッチスクリーンがでかいから!
メニューも見やすく、タッチレスポンスも悪くない。ISOなどを変更する際は、各項目をタッチしてからバーをスライドするか、ホイールで設定が行なえます。
僕は、ほぼ写真専門でやってきたから、最初はシャッターアングルやアイリス(露出補正)の設定に戸惑いました。でも「Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K」は画面が大きく、どの項目を変更すると、映像にはどう影響があるのかもわかりやすい。さらには映像全体の景観を捉えやすく、一眼カメラで動画を撮ってたときにはピクリともしなかった全能感がムックリ。
あらためて思います。ユーザーインターフェース、大事だって。
イザとなったらISO25600もつかえる高感度性能
センサーそのものも「Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K」のいいところ。サイズはフォーサーズで、α7IIIやGH5SのようなデュアルゲインISOです。そのため高感度にしても想像よりはるかに、ノイズが少ない。
ISO6400以上は確かにノイジーです。でも使える。その気になれば、ISO12800やISO25600だって納得できるクオリティなんです。
また低照度時のダイナミックレンジの広さも圧巻。フルサイズ使ってんじゃないかって思いましたよ最初。
DaVinci Resolve 15のフル機能版もついてくる
「Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K」で撮った映像を編集するのに最適な動画編集ソフト、DaVinci Resolve 15(税抜3万3980円)がついてくるのもすっごい。コイツがあるとカラーグレーディング(カラーコレクション)、HDR動画編集、電子手ぶれ補正機能、ノイズリダクション機能などなど、ポスプロ作業で動画のクオリティをさらにアップさせることができるんです。
DaVinci Resolve 15は、ほかのカメラで動画を撮っている人にもおすすめできるほど使いやすいんですよね。これ。
唯一にして決定的な欠点はバッテリーの持続時間
唯一、というのはいいすぎかも? でも動画専用カメラと考えると「Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K」は性能もUIも高く満足できるものです。コストパフォーマンス高すぎです。
しかし、バッテリーだけはいけません。映像業界標準といえるキヤノンのLP-E6を使うのですが、明らかに容量が足りません。公称は1つのバッテリーで約60分持つことになっていますが、24fpsで撮ったケースのこと。それも、たぶん1080pじゃないでしょうか。
1コマずつ画像ファイルとして保存する4K 60pのRAWで撮ると10分ももちません。1080p 60fpsでも18分くらいが限界でした。ゆっくりと時間をかけて、多くの映像を撮っていきたいという願いを叶えるには、少なくとも4つ、できれば6つくらいのバッテリーが欲しくなります。
USB Type-Cで充電ができるとはいっても、厳しい。
あらためて。覚悟は、いいか
DaVinci Resolve 15の価格を考えると、「Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K」本体の価格は11万円ちょいといったところ。この価格のカメラにあるまじきポテンシャルとクオリティを持ったアイテムなのは確かです。
しかしAC電源がないフィールドで使うと、バッテリーの問題が常に付きまといます。その煩わしさを受け止められるか。ぶっちゃけると安くなってきたLUMIX DC-G9(G9 PRO)のほうがいいんじゃないか。GH系と違って写真向けといわれていますが、DC-G9の動画撮影力をナメちゃいけません。
でも、もしバッテリー問題を受け止める覚悟があるならば、「Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K」はあなたの動画作品作りに欠かせないパートナーとなります。高ビットレートのRAWで撮ってからの自由自在なカラグレは気持ちよすぎですから。
Source: Blackmagic