HoloLens 2のスペックまとめ:そろりそろりとMR(複合現実)へ

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  • author 西谷茂リチャード
HoloLens 2のスペックまとめ:そろりそろりとMR(複合現実)へ
Image: Microsoft

よいや。

MWC19を手前に、Microsoftが新型のMR(複合現実)ヘッドセット「HoloLens 2」を発表しました。見たところ、この子のスペックがかなりいい感じっぽいので、サクッとまとめてお伝えします。

Video: Microsoft HoloLens/YouTube

では参ろう!

しっかり進化なディスプレイ

初代HoloLens(以下HL1)で重要視されていた、視野角1度につき47ピクセルという解像度。そのピクセル密度はそのままに、HoloLens 2(以下HL2)では視野角が2倍になりました。こんな感じ:

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Video: Microsoft/YouTube

このビジュアルだとだいぶ広くなっている印象を受けますね。視野角が2倍ということは、見た目の面積はおよそ4倍。HL1がA4サイズの表示だとすれば、HL2はA2サイズといったイメージです。

実数的には、HL1の斜め視野角が大体35度だったので、HL2の斜め視野角70度くらいのはずでしょう。やはりVRヘッドセットやWindows MR(一旦視界を遮るMR方式)にはだいぶ劣ってしまいますね(大体100度はいける)。でもHoloLensシリーズの醍醐味は、現実世界がそのまま透けて見える半透明の視界ですから!

あと細かい点ですが、HL1のアスペクト比が16:9だったのに対して、HL2では3:2になっています。縦の視野角がかなり充実したみたいなので、Firefoxなども対応しているMRウェブブラウジングも捗りそう。

あと大きな変更点もあって、ディスプレイ方式が変更されていました。HL1はLCOS(シリコンの上に液晶を置いて、光を操る方式)だったの対して、HL2ではMEMS「シャッターやミラーを動かして、光を操る方式」が採用されています。なにがどう変わるかは語られませんでしたが、軽く調べた感じだとMEMSは液晶というフィルターを通さずに光を操れるため、最大輝度がより明るくなったり、同じ明るさをより省電力で実現できそうといった様相。

要は、HL2のディスプレイはHL1よりだいぶ良くなっているということです。よいや!

MRピアノ演奏を実現したパワフル・ハード

未来への布石。

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Video: Microsoft/YouTube

HL2のジェスチャー操作デモで、担当者が『メリーさんの羊』の「メリーさんの羊…」パートを見事に演奏していましたよね…。これはゴイスー過ぎました。

まずなにがスゴいって、指を迷いなく置きに行けるほどピアノの表示が安定していたところです。そのためには、まずHL2が周囲の環境を正確に認識し、環境内でHL2がどこにあるかも正確に認識し、それらの相互関係を踏まえた上で環境とHL2を三次元的にマッピングし、そのマッピングにピアノを重ね、ピアノを実際に描画してクリアかつ低遅延で表示する必要があります。

そして重ねてスゴいのが、演奏できちゃっていたところ。上の処理に加えて、さらに10本の指をひじょーーーに正確に認識し、それらもマッピングしてピアノ鍵盤と指の相互作用をシミュレートし、その結果を低遅延でクリアに正確に表示していなければならないのです。それも指あるところは鍵盤を表示しないという処理もこなしながら。あと音もSpacial Audioということで3次元的に再現されているはずなので、その処理も大変なはず…。

あぁぁぁスゴい…。惚れてしまいます…。

コホン。本題に移りますと、これらを可能にするハードは主に2種類と思われます。とても正確なセンサー類と、とてもパワフルなプロセッサ類

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Video: Microsoft/YouTube

まずセンサー類は主に4つ。加速度センサー、角速度センサー、磁気センサー、そしてAzure Kinectセンサー(あとマイクも5つ)ですね。これらのセンサーからの情報をすべて取り込む(フュージョンする)ことで、周囲の環境と自身の位置が把握できるわけです。でも、ここで疑問に上がるのが「そんな処理、ヘッドセット単体でできるものなの?」。

だってほら、HL2に搭載されているWindowsデバイス向けのARM系プロセッサSnapdragon 850には(失礼ながら)とてもじゃないけど処理できるシロモノではないじゃないですか。ないんですね。ないんですよ。

だから、はい、HPU(Holographic Processing Unit)。Microsoftは、HL1でもそうだったんですが、HPUというHoloLens専用のチップを開発しています。そしてHL2にはHPU 2.0が搭載されていて、要はコイツが鬼スゴい。

Video: Microsoft Research/YouTube

HPU 2.0は低遅延で省電力にセンサーからの情報をさばきまくって、すぐさま環境を把握。さらにさまざまな深層ニューラルネットワーク(AI処理)も実行可能という、HoloLens・MR・空間コンピューティングのために生まれたカスタム・シリコン・チップなんです。お金の使い所がしっかりしてますよね、Microsoft。

次なるコンピューティングのフロンティアにも、そろりと存在感を表しそうです。

ナイスっぽいよ使用感

HL2、まだ個人利用できそうな気がしてこないので、ここらへんから少し雑な文章になりそうな予感がします。ごめんなさい。

どんなヘッドセットでも大事な装着感。それを大きく左右する重量の面で大幅な改善があったみたいです。はい、カーボンファイバー。これでだいぶ軽いはず(詳細は重さは見当たらず)。

そしてフィットも改善するために、Microsoftは世界中からあらゆる民族の、あらゆる年齢の、両方の性別の人間を集めて頭部を3Dスキャンしています。すべての人間が心地よく使える形状がゴール。装着するときは上から帽子のようにスポッと被って、後ろのダイヤルを締めればOK。まぁヘッドバンドみたいなものですよね。シンプル・イズ・ベストのいい例な気がします。

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Video: Microsoft/YouTube

ほいで装着し終わると、すぐさまログイン! なんと、虹彩スキャンのWindows Helloが搭載されているのだそう。目のスキャンはログイン時のみならず、操作方法としても活用されています。たとえばウェブブラウザを使っていて視線が下に行けば、自動でスクロールするといった感じ。ただし、視線をトラッキングできるからといってFoveated Rendering(視線の中心以外をテキトーに表示)するモードがあるかは不明。あったら「省電力モード」とかで使えそうなんだけどね。

そしてコントローラーもあらず、もっぱら素手のジェスチャー操作。結構裸に近いMR操作感なんだろうなぁー、という気がしています。あー、なんか裸で使ってみたい。ほら、MRで服を着れば良いし。

ん…?

そうか…。『裸の王様』ってそういうことだったんだ! 「君はMR対応の目を持っているかい?」選手権だったんだ! やっぱり童謡ってスゴいなぁ…。いつも先を行ってるや。ハラリ。

地味にアップだ、その他スペック

カメラが2MPから8MPに、動画撮影が720pから1080pにアップしています。HL2ではこれらでMR撮影もできるそうですよ。要は、装着者の視界をそのままキャプチャできる。SNSでシェアする時代にこの機能は必須ですよね。新たな問題が発生しそうな気もしなくはないですけど。とりあえず「HoloLens 2で撮影」された映画をまってみます。

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Video: Microsoft/YouTube

接続性も向上していて、Wi-Fiは802.11acの2×2 MIMOに対応。Bluetoothも5.0に対応。端子はUSB 2.0 micro-BからUSB Type-Cに。 モバイルネットワーク対応は…記載されていませんでした。やはり室内用かな。

バッテリー持ちは憶測に過ぎませんが、多分伸び。HL1ではカスタムのIntel Atomチップを使用していましたが、HL2ではより省電力なARM系のSnapdragon 850を使用していますよね。なので、HL1の2.5〜5.5時間より長くなっているはず。サラリ。


さてさて。まとめられそうなスペックはこんなところでしょうか。HoloLens 2けっっっこう良さげですよね。でも僕らが私生活で使うデバイスかというと、たぶんそれは1年以上先。

今日の発表でも出てくる例はもれなく法人向けで、個人利用できそうかなと思ったのはピアノくらいだったんです。あとは一瞬ゲーム『Fortnite』のEpic Gamesの人が話したときに、ゲーム的な使い方も準備していることがわかってちょっと興奮したくらい。

Magic Leapもそうですが、MR界はコンテンツ作りが課題ですね(だからMicrosoftは開発者向けアピールしてるんじゃない!)。ホロリホロリ。

Sources: YouTube, Microsoft (1, 2, 3) , はてなキーワード, Wikipedia, Tom's Hardware

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