さよならGAFAM:Appleやめる→体の一部をもぎ取られたみたい

  • 17,629

  • author Kashmir Hill - Gizmodo US
  • [原文]
  • 福田ミホ
さよならGAFAM:Appleやめる→体の一部をもぎ取られたみたい
Image: Gizmodo US

GoogleAmazonFacebookMicrosoft、そしてAppleの製品・サービスをそれぞれ1週間ずつ断ってみるこの企画。第5週目はAppleですが、スマホはiPhone・パソコンはMacというAppleどっぷりのKashmir Hill記者にとってはかなりつらい1週間だったようです。

5週目:Apple

巨大テック企業を生活からひとつずつ切り離していくというこの実験を考えた時点では、私はふたつの会社を対象外にするつもりでした。ひとつはMicrosoft、ほとんど使っていないので。そしてもうひとつはApple、こちらは使いすぎているからです。

190214_apple_1
Image: Gizmodo US

まずMacBook Airが2台、仕事用に支給されたものとプライベート用のものを使っています。それからiPhoneは私の「テック器官」と呼んでいるくらい、体の一部です。さらに夫と共有のiPad2はジムで使ったり、飛行機や長時間ドライブのときに1歳の娘を退屈させないために使っています。

Appleは私にとって、全デジタル世界への入り口です。私はどんな日でも、1日のほとんどの時間、Appleのデバイスに触っています。だからAppleを生活から取り除かれるのは、体の中でもすごく便利で不可欠な何か、たとえば指とか目をむしり取られるのと同じことを意味します。

190214_apple_2
Image: Gizmodo US

なぜAppleを断たなきゃいけないんでしょうか? たしかに彼らはとても価値のあるパワフルな会社で、時価総額はほぼつねに世界最高、それでもだいたいはテック企業の中で正義の味方側にいると思われています。税金逃れとか外国の下請けの劣悪な労働環境とか中国でプライバシーを他の国と同レベルに維持できてない疑惑とか、iCloudのセレブ画像漏えい事件とか、最近ではFaceTimeの巨大バグ、とかとか問題はあるものの、Appleは全体的には悪評を逃れてきました。

実際、Appleはテック界のプライバシー番長みたいになっています。最近FacebookとかGoogleが研究目的と称してユーザーのデータを不正に集めてたことが発覚したとき、彼らのiOSアプリを強制ブロックしてました。この件は、その気になればユーザーのiPhoneに入っているアプリも止められるAppleの強大な力を世に見せつける結果にもなりました。

Appleの利益は、ハードウェアを売ることと、他社のアプリ販売の上前をはねることでできています。彼らのビジネスモデルは、GoogleとかFacebookみたいにユーザーのデータを売ったり広告を載せたりするのとは(少なくとも今は)まったく違います。Appleのティム・クックCEOは、人のデータを売り物にするビジネスをあちこちで批判して競合他社をこきおろし、そんな悪役たちの動きを制限するプライバシー法の必要性を呼びかけています。

このスタンスはただのイメージ戦術かもしれませんが、Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOはクック氏の攻撃に気を悪くしてるようで、経営陣にiPhoneの使用中止を求めたそうです。Facebook公式では、「世界でもっともポピュラーなOS」であるAndroidを社員に勧めただけ、ってとぼけてますが。

たしかにAndroidのユーザー数はiOSよりずっと多いんですが、私はいわゆるApple信者なんです。でも米Gizmodo編集部は私のApple依存に共感してくれなくて、この企画でApple断ちもしなきゃダメって言ってきました。

なので私は自分の体から「テック器官」を1週間切り離してみたんですが…すごく痛いです。

まず、iPhoneの代わりがない

この実験ではiOSデバイスはもちろん、ネット上でもどんな形でもAppleと接触できなくなります。エンジニアの Dhruv Mehrotraさんがこの実験用に作ってくれたVPN環境を使って、Apple配下の1677万7216個のIPアドレスと私のデバイスの間の通信を完全遮断します。当然iCloudとかあらゆるAppleアプリも使えなくなります。まあどっちにしろAppleデバイスを使わなければ、たいていのAppleアプリは使えませんが。

でもいきなり大問題になったのは、スマホをどうするかってことです。普通にAndroidスマホを使ってもいいんですが、私はApple断ちの後はさらに巨大テック全部いっぺんに断つ実験も予定していたので、そのときにも続けて使えるスマホがベストだと思いました。ただ今どきのスマホ市場はほぼAndroidとiOSの寡占状態で、それ以外のスマホを見つけるのは至難の技でした。

190214_apple_3
Image: Gizmodo US

Windowsフォンは戦いに破れ、Firefoxフォンも安らかに眠っています。Blakberryも今やAndroid陣営です。私はサンフランシスコのダウンタウンにあるT-Mobileのお店に行って、AppleでもAndroidでもないガラケーがないか聞いてみましたが、彼らはスーパーのTargetに行ってみれば?と言うだけでした。

米Gizmodoのマネージングエディター・Andrew Coutsも、助けようとはしてくれました。彼はSailfishというヨーロッパのインディペンデントなスマホOSの会社にコンタクトしてくれたんですが、彼らがメールに返信してきたときはもう時間切れでした。もうひとつヨーロッパの/e/ (旧Eelo)という、AppleもGoogleも使わない「データ奴隷制からの開放」 をミッションに2017年に立ち上げたNPOがありました。このNPOはデベロッパー的な人がDIYでスマホを作れるツールを提供しているんですが、私が普通に買えるスマホを作っているわけではありませんでした。それでもDuvalさんがEeloのプロトタイプを送ろうか?と言ってくれたんですが、こちらも時間がかかりすぎました。

なのでApple断ち開始時点の私はスマホなしの状態で、発狂しそうになっていました。

救世主となるか、Libremパソコン

190214_apple_4
Image: Gizmodo US

でも私は、この実験の最後の2週間用で使えるパソコンは持っていました。巨大テックを忌み嫌い、自分たちは「解放運動」をしているのだという会社・PurismLibrem 13というコンピューターです。私の仕事のほとんどはオンラインでできるので、ブラウザやブラウザベースのアプリがあればこなせます。あとはSignalというメッセージングアプリなどで電話やチャット、テキストメッセージなども可能でした。なのでパソコンさえあればなんとかやっていけるはずです…少なくとも理論上は。

Purismのコンピューターは真っ黒で、白いロゴがキーボードのひとつのキーと、本体裏側にあるだけです。MacBookみたいにマットなアルミを使っていますが、Purismを立ち上げたTodd Weaverさんに言わせれば、Appleはアルミニウム素材も独占しています(本当の独占じゃありませんが、感覚的に)。

13インチのLibrem(Libreは「自由」を意味)の価格はAppleと同等の1399ドル(約15万4000円)で、OSはGNU/Linux、プライバシーやセキュリティに関するいろんな機能が満載ですが、そのせいで手間取ることもあります。たとえばビデオチャットしようとしたときにカメラとマイクが使えなくなっててあれ?と思ったら、カメラとマイクの物理スイッチがあって、それがオフになっていました。

Purismはコンピューターハードウェアの世界では新参で、2017年に「社会的目的会社」になったところです。つまり彼らは利益の最大化だけを追及するんじゃなく、会社としてのミッションを考える、ということです。50人くらいいる社員は基本リモートワークしていて、そのひとりにはMastodonの開発リーダーであるEugen Rochkoさんもいます。Mastodonはユーザーが中心にホストするSNSで、私もFacebook断ちのときに使いそこねたところでした。

Apple断ちを始める1カ月くらい前、Weaverさんが私の借りるLibremを持ってサンフランシスコのダウンタウンに来てくれて、使い方も教えてくれました。私は「Linux」と聞いてハードコアなプログラマーとか『マトリックス』に出てくるみたいなデータがずらずら流れる画面とかをイメージして引き気味だったんですが、Weaverさんの説明で、コマンドラインを知らなくてもいいってことがわかりました。

「解放運動」の思想

190214_apple_5_2
Image: Gizmodo US

Weaverさんは「利便性こそ問題の根幹」だと言います。

「みんなのデータを搾取する巨大テック企業を避けるには、自分をあえて不便な状況に追い込まなきゃいけません。僕らはみんなに、自ら調べなくてもそんな体験ができるようにしようとしているんです。」

Weaverさんはこれまで何社も起業していて、90年代からコンピューターギークをやっています。この実験中に出会ったいろいろなエンジニア同様、彼はフリーソフトウェアムーブメントに参加していて、すべてのテクノロジーが互換性を持ち、レビューに対しオープンであるべきと考えています。そして彼は、ユーザーが自分のデータを所有しコントロールする権利を持つべきだとも考えています。

この手のエンジニアには、Apple嫌いな人が多いです。Appleのエコシステムは箱庭で、自前のOS(iOS)とソフトウェア(iTunesで買った曲はMac以外のデバイスでは簡単に聞けません)、独自のネジ(ユーザーが自力でハードウェアを開けて直すことができない)、自前のハードウェア、そしてAppleデバイスでしか使えない(そしてしょっちゅう変わる)充電器でできているからです。ヘッドフォンジャックを真っ先になくしたのもAppleでした。Weaverさんの理想では、ユーザーは個々の会社のエコシステムに縛り付けられるべきではないのです。

「社会は今、我々が巨大テック企業の支配下にあることに気づき始めています」とWeaverさん。彼はオープンソースデバイスでなくAppleデバイスを使うことを現実世界にたとえてこう言います。

「リアルな世界で家を持っていれば、カギも自分で持っています。デジタルの世界では、Appleがデバイスのカギをコントロールしていて、ユーザーはホテルのようにただ部屋を借りているだけなのです。彼らはユーザーの同意も、認識すらないまま、ユーザーのデバイスに対してやりたいときにやりたいことをできるのです。」

このことは今、GoogleFacebookの社員でiPhoneを使っている人たちなら身にしみているはずです。

コンピューターはかつて机の上にあり、ユーザーが数時間とか数日そこから離れているのが普通でした。でも今はみんなが小さなコンピューター=スマホを持ち歩き、さらにはウェアラブルコンピューターなんてものまでできて、通知があれば手首をタップしてきます。「コンピューターは我々の脳にますます近づいています」とWeaverさん。

「だから僕は問いかけてみたいのです。将来脳(チップ)を使うなら、それはGoogle、Apple、Facebook、またはそれ以外の巨大テック企業のものがいい? それとも自分で脳(チップ)をコントロールしたい? とね。」

Weaverさんが抱くテック産業の行く末への懸念は、彼がふたりの女の子の父親となってからさらに大きくなりました。データが乱用されることで娘さんたちがこうむるかもしれない被害を想像したのです。いつか彼女たちの脳にチップが埋め込まれることもありうると彼は考えていますが、そのときチップ上のデータをテック企業に所有されたくはないのです。そこで彼は2014年、Purismの前身となるものを立ち上げて、現在に至ります。

タイミングさえよければ、Purismはまさに、巨大テック断ちをする私が探し求めていたものすべてをかなえていたかもしれません。彼らはもうすぐスマホ販売も始める予定なのですが、今回の実験には間に合わず、今年の春にリリースとされています。

Librem(というか自分)の落とし穴

190214_apple_7
Image: Gizmodo US

上にも書いたように、Apple断ちを始めたのはLibremを手に入れてから1カ月ほど経ったときだったのですが、じつはそれ以来使っていませんでした。それが大問題でした。iPhoneもMacも使えなくなった私が、でもLibremがあるもんね、とばかり立ち上げようとしたところ、復号化用パスワードを聞いてきたんです。コンピューターにログインするためのユーザー名とパスワードなら覚えていたんですが、それはこの最初の復号化には使えませんでした。

ほとんどのLibremユーザーは2種類のパスワードを使っていて、ひとつは復号化用、ひとつはログイン用です。これによってセキュリティをMaxにしているんです。私の場合、Weaverさんが私用にパスワードを設定してくれたのか、自分でやったのかも思い出せませんでした。そしてどっちにしても、私はそれをどこかに保存したり書き留めたりしていなくて、詰んでしまいました。つまり私は、スマホもコンピューターも使えない状況に陥ったんです。

この数週間に及ぶ実験で初めて、自分の失敗を認めざるをえませんでした。私はMacBook Airを立ち上げ、Purismチームにヘルプを求めるメールを出しました。「Password」って入力してみるように言われたんですがそれもダメで、Purismのチーフセキュリティオフィサーが別のLibremとともに家まで来てくれることになりました。ただしそれには1時間以上必要でした。

iPhone XSからガラケーへ

190214_apple_9
Image: Gizmodo US

私はよれよれになりながらも、Purismの人を待っている時間は、Targetでスマホを買うのにちょうどよさそうな気がしました。幸いTargetなら、マップアプリなしでたどり着けます。

皮肉なのはApple断ち開始の前日、私と夫が一足早いクリスマスプレゼントにiPhone XSをおそろいで買っていたことです。2台で2800ドル(約31万円)、どちらもAppleの「ニューラルエンジン」で撮れる素晴らしい写真をたくさん入れられるように、ストレージは256GBです。旧iPhoneから新iPhoneにデータを移行するプロセスは魔法のようでした。新iPhoneのカメラで旧iPhoneの画面に写る点々を捉えるとあら不思議、必要なデータのほとんどが新iPhoneに入っているんです。このプロセスはiPhone XSそのものと同じようにスマートで、スムースで、エフォートレスでした。新iPhoneにパスコードを打つ必要すらなく、Face IDを使えば画面を見るだけでOKなのでした。

でもそれから18時間後、私はそんな未来の道具を放り出して、真逆のものをまた買おうとしているのです。そのガラケーにはひどいカメラと、数字ボタンしかない「キーボード」があり、タッチスクリーンも音声認識もアプリもありませんでした。

Targetにある、AppleでもGoogleでもない携帯電話は、Nokia 3310一択でした。もともと2000年代初期に出てたものが、2017年にほとんどジョークみたいに再発売されたんです。Targetの店員さんは、名札はJacob L.だけど本名はJacob Dayなんだよと、テンション高めに教えてくれました。誰も買わないものが売れて、うれしかったのかもしれません。彼は、Nokiaが3310を作り続けているのは、それが絶対に壊れないというミームがあるからなんだとも言っていました。

ガラケー、つらい

190214_apple_8
Image: Gizmodo US

Nokia 3310 4Gは信じられないほど軽く、私の手のひらよりやや大きい、明るいオレンジのプラスチック筐体です。ポップアート調のヘビのイラストの小さな箱に入っているんですが、それは10年前にNokiaでこのゲームプレイしたよ!という無数の人々のノスタルジアに訴えかけるものでした。価格は60ドル(約6600円)、またはiPhone XSより1340ドル(約14万8000円)安いです。

ただNokia 3310へのデータ移行は簡単ではありませんでした。SIMカードの入れ方を解明するために、私はまたMacBook Airを使い、さらにT-Mobileのお店にも行く必要がありました。

190214_apple_6
Image: Gizmodo US

Nokia 3310では、タイピングも拷問でした。ボタンは0から9、そして#、左、右、エンターの計15個。「c」を打つには、1を3回押します。または予測入力のT9をオンにすると、たとえば「1、1、8」と押せば、「act」「cat」「bat」「abu」って入力候補がこの順で表示されます。

ものすごくベーシックなNokia 3310ですが、なんとネット閲覧がOperaブラウザで可能でした。とても遅いですが。

T-Mobileを出るとき、夫のTrevorにテキストメッセージを送ってみました。私が覚えている連絡先は彼の電話番号だけで、Nokia 3310には他の連絡先データはまだ入れていませんでした。「新しい電話からハロー」と打つだけでもどっと疲れたし、打つために立ち止まらなきゃいけませんでした。昔はこんなにテキストメッセージが大変だったのにみんな電話しないでテキスト送ってたなんて、信じられません。

Trevorは返信してきませんでした。やな感じ。

家に向かいながらNokia 3310をいろいろいじってみますが、タッチスクリーンなしで操作するのがつらすぎて2回も足をひねりそうになって、あきらめました

家に着くと、夫からテキストメッセージの返信が来ない理由がわかりました。彼からのiMessage通知が2件、私の(当時使用禁止中の)iPhone画面に出ていました。Appleが私のiMessageをオンにしていて、iPhoneユーザーから私に来るテキストメッセージは、自動的にiMessage側、つまりiPhone側に回されているんです。

私は(本当は使っちゃいけない)MacBook Airで「iMessageをオフにする方法」をGoogle検索しました。が、それはそれで問題が起こります。一部の人のテキストが私に届かないことがあるんです、特にグループスレッドに送られて、私以外全員がiPhoneを使っている場合です。Appleのエコシステムを抜け出すのは、Googleのそれ以上に難しかったんです。

私はiPhoneを片手に、重要な連絡先をNokiaに手入力していきました。ほかにもっとすばやくできる方法もなさそうだったので。

午後0時、PurismのCSO、Kyle Rankinさんが代わりのコンピューターを持って到着しました。彼にNokiaを見せて、iOSデバイスが使えない状況をグチりました。

「(Appleは)ゲーテッドコミュニティ(周囲を高い塀で囲った住宅地)みたいなものなんです。美しいし、素敵なものを作っているし、でもそこから出るのは難しいのです。」

とRankinさん。彼はデバイスの乗り換えを車の乗り換えにたとえました。「慣れなきゃいけないことはあっても、基本はわかっています。シフトレバーの位置は違っていても、使い方はわかるはずです。」

たしかにその通りです。Libremを1週間使ってみましたが、それは新しい車に慣れていくのと似ていました。でもNokia 3310は違いました。それは新しい車を、違う国で、それも道路の左右が逆の国で運転するようなものです。慣れるのはすごく大変で、結局のところ、私は自分に厳しすぎたんだと気付きました。

結局Androidスマホか…

このApple断ち週間にはGoogleは使ってもいいことになっていたので、Androidスマホを使ってもいいはず、と思い当たりました。家の戸棚をあさると、Androidスマホが5台(!)出てきました。テックジャーナリストの職業病は、ある種の職業の人がカンファレンスのおまけのトートバッグを集めてしまうように、Androidスマホを収集してしまうことなんでしょうね。私はその中でも一番状態が良さそうなものを選びました。サムスンのGalaxy Nexus、最後に使ったのは2012年でした。

Nokiaに入力したわずかな連絡先をAndroidにエクスポートするのはとても簡単でした。Bluetoothで、ものの数秒です。でも、Appleから連絡先を取り出すのはもっと厄介でした。

190214_apple_10
Image: Gizmodo US

まずiPhoneの電源を入れ、iCloudに全連絡先をバックアップし、LibremでiCloudにサインイン(このためにVPNをオフにしました)し、iCloudから全連絡先をVCFファイルとしてエクスポートします。そしてAndroidスマホをLibremにつないで、VCFファイルをスマホにインポート、という手順です。Appleの箱庭の壁はあまりに高く、ほとんど越えられないくらいに思えました。

この作業で、私は自分がiPhoneに1528件もの連絡先を入れていたことがわかりました。連絡先のリストをスクロールしながら、何年も話をしていない人や覚えてもいない人、1回使っただけでもう必要ないエントリ、たとえば「抱っこひもを持ってるNaim」(抱っこひもをUberの車に忘れたとき、ドライバーの名前がNaimさんだった)、「NYC Airbnb」(読んで字のごとく)、「TulumのVictor」(まったくわかりません)といった感じです。

私はこの膨大なリストを「実際話をする相手」だけに絞りました。その結果リストの人数は、143人という興味深い数字になりました。何が興味深いって、これはイギリスの文化人類学者・ロビン・ダンバーが唱えた「ちゃんとお互いを知って、安定した関係を維持できる人数」、いわゆるダンバー数の範囲だからです。現代のテクノロジーを使えば我々は何千人もの「友だち」を積み上げることが可能ですが、一番大事な連絡先にしぼっていくと、それはたいてい150人に近づくのかもしれません。

私はこの143人の連絡先をGalaxy Nexuxにエクスポートしました。自分のスマホには把握できる人数の情報しか入っていないという感覚は、そのせいでよく知らない人に突然連絡したいときに連絡先がわからないというデメリットがあっても、なぜか心地よいものでした。家を引っ越すと本当に必要なものを考えざるをえなくなるのと同じように、ときどきデバイスを替えるのも意味のあることなのかもしれません。

一応、断つことはできるけど

190214_apple_11
Image: Gizmodo US

その後私はついにAppleじゃない世界をセットアップでき、Androidが入っていた戸棚にAppleロゴの入ったデバイスを全部片付けてもいい状態になりました。ここまでいろいろ大変だったことを書きましたが、他のテック企業とは違い、Apple製品断ちは一応可能ではある、とお伝えしたいです。Appleが私のデバイスに話しかけようとした回数は1万1000回に上りましたが、そのほとんどは私がものすごい勢いであやしい動きをしていた最初の日のことでした。

ユーザーがAppleデバイスを使っていないとき、Appleはその人物のトラッキングはしていません。でもAppleはそのユーザー以外のあらゆる人に対して、「こいつApple使ってないぜ!」とばかりにやたらアピールしてきます。

たとえば友だちのKatieとテキストメッセージで会話してたら、おもむろに「Android使ってるの?」と聞かれました。友だちのChikoが出産したことをFacebook断ち終了直後に知ったので、近況を聞こうとメッセージを送ると、彼女は不審そうに聞いてきました。

旅行中? どうして緑なの?

Appleはメッセージアプリの中で、誰がAppleユーザーで誰がそうじゃないかをやたらとくっきり、文字通り色分けしてきます。

190214_apple_12
Image: Gizmodo US

iPhoneからのテキストメッセージは青、そうじゃないメッセージは緑の吹き出しなんです。青いメッセージはiMessageなのでエンド・トゥ・エンドで暗号化されていて、緑のメッセージはそうじゃない、とユーザーが意識できるという意味で、この差を付けるのは重要ではあります。でも同時に、この色分けによって「青>緑」的なテクノロジー格差が見えてしまいます。青い吹き出しで送られる動画はクリアで美しいですが、緑の吹き出しに入ってるものはぼやけています

私はもう、青じゃありません。緑です。ゲーテッドコミュニティから脱出した私は、自分の新しいテクノロジー階級を妙に恥ずかしく感じていました

私はChikoと話をしようと何度も電話したのですが、彼女は電話に出ませんでした。新生児がいるから、仕方ないです。別の日にはChikoもFaceTimeで私に電話しようと試みたのですが、今度は私が出られず、というかApple断ちのせいで無理でした。Chikoはテキストで「子供の泣き声を聞いて欲しい」と送ってきました。

「Googleハングアウトはどう?」と私は返します。

「私、Googleハングアウトはやってないの」と彼女。「iPhoneはいつまた使えるようになるの? 私、これは好きじゃない。」

…さて次回は、全テック企業をいっぺんにブロックします。Amazon、Facebook、Google、Microsoft、そしてAppleも、一度に全部です。神様、お助けを…。


これまでの「さよならGAFAM」シリーズ

さよならGAFAM:Amazonやめてみる→ムリでした

ホントにムリだこれ。GAFAM(ガファム)ってご存知ですか? G: Google、A: Apple、F: Facebook、A: Amazon、M...

https://www.gizmodo.jp/2019/01/i-tried-to-block-amazon-from-my-life-it-was-impossible.html

さよならGAFAM:Facebookをやめたら超寂しくなった…

GAFAM(ガファム)ってご存知ですか? G: Google、A: Apple、F: Facebook、A: Amazon、M: Microsoft...

https://www.gizmodo.jp/2019/02/i-cut-facebook-out-of-my-life-surprisingly-i-missed.html

さよならGAFAM:Googleやめてみる→ネット全土崩壊

ネット五大老GAFAM断ち、第3週はGoogleです。 3週目:Google「Don't be evil」が消えたGoogle「Don't be ...

https://www.gizmodo.jp/2019/02/i-cut-google-out-of-my-life-it-screwed-up-everything.html

さよならGAFAM:Microsoftやめてみる→あれ? できない?

ウェブを支配する5大巨竜GAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)を順繰りに断つシリーズその4、今...

https://www.gizmodo.jp/2019/02/i-cut-microsoft-out-of-my-life-or-so-i-thought.html

    あわせて読みたい

    powered by