宇宙おトゥイントゥインの芸術作品。米政府閉鎖のせいでおっきできず

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  • author George Dvorsky - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岡本玄介
宇宙おトゥイントゥインの芸術作品。米政府閉鎖のせいでおっきできず
Image: Trevor Paglen/Nevada Museum of Art

おトゥイントゥインとは、ギズモードが推奨する男性器の呼び方です。

以前にもチラっと触れましたが、昨年の12月に、アーティストのトレヴァー・パグレンが、ネバダ美術館の助けを借り、周回軌道する反射板芸術作品として打ち上げたこともありました。これは地球の人たちからはあまり興味を持たれず、天文学者からは不満の声も聞こえる、ガッカリ・アートとなっているんです。

本来ならば、この「おトゥイントゥイン」のようにヒョロ長い芸術作品は、地球からの操作で膨張しなければならず、その状態で初めてフィニッシュを迎えるはずなのですが……実はアメリカ政府の閉鎖が原因で、いまだにフニャフニャのまま生殺しの目に遭っているんですって。

政府の閉鎖とは?

以前にもハッブル望遠鏡故障の記事解説したことがありますが……これはトランプ大統領がメキシコ国境で壁を作る予算を巡り、与野党で新年度予算案が不成立となったため、NASAを含む各機関が活動を一時停止せざるを得ない状況に陥ったことを指しています。

それがSpaceXの打ち上げ計画にも、各機関で働く職員たちにもお金が回らず、深刻な影響を与え続けているのです。

「オービタル・リフレクター」の苦難

トレヴァー・パグレンが設計した「オービタル・リフレクター」は、SpaceXのファルコン9ロケットに積まれて2018年12月3日に、その他たくさんの箱型衛星と共に地球の低軌道へと打ち上げられました。

およそ1.6億円もするという、宇宙を飛ぶ芸術作品で、プロジェクトにはネバダ美術館と、Spaceflight Industries社、そしてフロリダの貨物航空会社ウエスタン・グローバル・エアラインズも参加しています。

Video: https://youtu.be/6iiZaWpS4no/YouTube

しかしニューヨーク・タイムズが報じているように、アメリカ政府の閉鎖のおかげで米連邦通信委員会(FCC)もが閉鎖しており、「オービタル・リフレクター」をおっきさせるためのGoサインを得ることができず、いまだお預け状態になっているのです。

「オービタル・リフレクター」は、マイラー樹脂のような軽量量素材で作られています。広げて完全に膨らませると、サッカー場くらいの長さの、細長いダイヤモンド型になります。そして酸化チタンによる高反射コーティングで、作品が地上からもキラっと光って見えるようになるはずなのです。

とはいえこの風船彫刻は長期に渡り地球を周回し続けるわけではなく、数カ月後は地球の大気圏で燃え尽きるよう設計されています。アーティストによりますと、このプロジェクトの目的は、以下のようになっています。

新たな驚きの感覚で夜空を見上げ、宇宙での自分の居場所に想いを巡らせ、この地球で私たちがどのように暮らしているかを改めて想像することです

企画段階では、パグレンはほかの企業らと同じ方法で、FCCから免許を取得すること、及び国際武器取引規則(ITAR)によって確立された規則を順守することを余儀なくされました。しかし今、トランプの記録的な政府の閉鎖により、プロジェクトは止まってしまったのです。パグレンはFCCから許可を得るまで、風船の展開ボタンを押すことができません。

早くしないと果ててしまう

ニューヨーク・タイムズは、彼がその間にも作品が傷んでいくのではないか? と心配している、と報じています。

パグレン氏は「打ち上げと展開の後」、彼のチームが衝突のない軌道を確保し、膨張のためFCCから認可が下りるよう、広範囲な「軌道解析」を行ったと述べました。しかしFCCからの通信は、閉鎖のために間もなく終了したのでした

そしてパグレンはこうコメントしています。

私たちが心配していることは、衛星が日光にさらされるたびに全体が加熱され、それから地球の影の中で凄く冷たくなることで中身が収縮するということです。このプロセスを長くしすぎると、電子機器が損傷する可能性があるのです。小型衛星は永遠に存続するようには設計されておらず、本当に風船を展開させたいのです

萎えたままでいて欲しい人たち

彼の気持ちもわかる半面、この作品を快く思っていない人たちは「あー良かった」と思っている部分もあるようです。そんな輝く宇宙おトゥイントゥインなどなくったって、夜空を見上げればいつでも、宇宙での自分の居場所に想いを巡らせられることができます。ついでに宇宙のゴミになるものなんて、資源のムダですし環境にも悪いですよね。

でももう、宇宙に飛び立ったあとではどうすることもできません。

宇宙空間でのアートといえば

「オービタル・リフレクター」と一緒に打ち上げられた、芸術家タヴァレス・ストラチャンが作った24カラットの金の骨壷彫刻や、巨大なミラーボールの「ヒューマニティー・スター」、そして日本の株式会社ALEがJAXAの「革新的衛星技術実証1号機/イプシロンロケット4号機」で飛ばした人工流れ星衛星「ALE-1」というのもあります。

各方面での危険性は大丈夫か?

確かに、それらは斬新でクールに思えるかもしれません。ですが低地球周回の明るい物体は、潜在的に天文観測を妨害することに加えて、宇宙を周回軌道している有用な衛星との衝突や、それらを損壊させる可能性を秘めており、ただでさえ問題のスペース・デブリを増やすことになりかねないのです。

それに最近はロケット打ち上げの費用が安くなっているので……今後はそれ以上の悪夢が起こる可能性だってあるのです。さてこの作品、筆下ろしはできるのでしょうか……?

Source: YouTube, Orbital Reflector, The New York Times (1, 2)

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