ラットの会話をディープラーニングで解読するシステム「DeepSqueak」、 GitHubで無料公開

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ラットの会話をディープラーニングで解読するシステム「DeepSqueak」、 GitHubで無料公開
Image: Getty Images

ラットの気持ちを理解できれば、臨床実験の精度はより上がります。

ラットによる生体実験は科学研究の象徴です。マウスやラットは生理学及び遺伝子構成がヒトに近いため、癌から糖尿病、そしてアルツハイマー病まで、あらゆる生体実験に用いられています。

しかしながらこのラットによる臨床実験は、数々の実験で動物モデルとして実証済みでもかかわらず、科学者を悩ませてきました。今まで研究者達はげっ歯類同士の会話を時間のかかる手作業で分析し、試行中に何が彼らの行動を促進するのかを理解しようと試みるために、多大なる時間を費やしてきました。ただ、これらの方法は、ヒューマンエラーや誤認に大して脆弱です。

そこで、ワシントン大学の新しい「DeepSqueak」プロジェクトでは、ディープラーニングを使用して、より迅速かつ確実に、げっ歯類の鳴き声を分析し詳細に解読することを目指しています。

マウスやラットの不可解な鳴き声を分類するために、ディープラーニングとマシンビジョンのアプローチを使用しています。 自立走行車が正面の道路の視界からビジュアルデータを取り込んで査定するのと同様、「DeepSqueak」は、げっ歯類の鳴き声の記録をソノグラム画像(音波分析図)に変換し、マシンビジョンを使用して分析します。このプロジェクトについての論文が2019年1月に「Neuropsychopharmacology」に掲載されました。この論文の主執筆者でありソフトウェアの共同作成者であるKevin Coffey氏は、次のように述べています。

「人間の学習方法に酷似させながらデータを分析し、ソフトウェアを学習させることができます。鳴き声が何であるかを数学的に説明するのではなく、単に画像と例示で表します。オーディオを変換した後DeepSqueakは波形で、それぞれの音のグループをカテゴライズします」

また、異なる音節やバックグラウンドのノイズパターンなど、最初に手動でラベル付けしてコールを送ることで認識するようにプログラムを学習させています。げっ歯類を用いた作業は、バックグラウンドノイズを細かく検出して除去する機能が特に重要とのこと。

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Image: Russell Marx and Kevin Coffey

「人間がこれを手動で行なう場合でも、大量のバックグラウンドノイズがある場合、音声をオーディオシグナルから取り出すのは困難です」

Coffey氏はそう述べています。 なぜなら、動物は走り回って物にぶつかっているからです。

本来、げっ歯類は鳴き声の動物であり、これまでの研究は、特定の鳴き声が感情状態を示していると関連付けられていました。例えば、ラットにおける高音の鳴き声は、ポジティブな反応(例えば何らかの報酬を受け取るなど)と見なされ、一方低音の鳴き声は、ネガティブな反応と見なされていました。しかしこれは科学的に正しいとはいえません。「DeepSqueak」の研究で開発されたツールでこれらの鳴き声を、より精細に理解できるようになります。このDeepSqueakでは、このソフトウェアが、手動分析における誤認の数を減らすだけでなく、最大40倍速く分析できるとしています。

DeepSqueakは、バックグラウンドのノイズを自動的に除去することに加え、識別された音節を手動で簡単に確認することができ、げっ歯類の種別や、音節の分類を指定するなど、各実験に合わせてパラメータを調整することができます。自分自身でデータを変換、分析、出力することができますが、Coffey氏とMarx氏は、研究者のニーズに適応できるソフトウェアを設計することが重要であると考えています。

例えば、手動による発声の分析の経験が豊富な研究者は、それを自分の研究の精度をより高めるためのツールとして使うことができますし、この分野に初めて取り組む人にとっても、発声研究への門戸が簡単に開かれるのに役立つでしょう。このDeepSqueakは、Coffey氏のGitHubアカウントから無料でダウンロードすることができます。

2017年に設計されたMUPET(Mouse Ultrasonic Profile ExTraction)というソフトウェアと、UltraVoxと呼ばれる市販の製品がありますが、これら2つのソフトウェアは、DeepSqueakと同様、げっ歯類の音声ファイルを画像に変換することによって、音節分析と発声の分類を行なうことができますが、DeepSqueakのディープラーニングのアプローチは、これまでのものとは一線を画しています。

DeepSqueakが必ずしも、他のソフトウェアを凌駕しているわけではありませんが、バックグラウンドノイズのフィルタリングおよび、さまざまな周波数の呼び出しの検出において改善されていることを示していることが明らかであるとしています。

前述のMUPET論文の共著者であり、南カリフォルニア大学の助教授であるAllison Knoll氏は、DeepSqueakはこの問題解決の追求において、これまでの研究の進歩を補完する大きな成果であると述べています。

現状、DeepSqueakのソフトウェアにおいて人間の会話を取り込む計画はありません。

しかしながらDeepSqueakによってげっ歯類の行動や動機についての理解を深めることで、それぞれの研究において、人間に対するさまざまな治療法の研究に役立てもらうことを願っていると、DeepSqueakの開発者たちは願っています。

「例えば、薬物中毒の研究では、動物がその薬物を服用しているかどうかだけでなく、なぜ彼らがその薬物を服用しているのかを知る必要があります。彼らはそれを好んでいるからという理由なのか、または辞めたいという否定的な感情から免れようとしているという理由なのか、なぜ薬物を服用しているのか、感情を理解する必要があるのです。動物たちは、発声に対してどのように感じているかを私たちに伝えることができます」

Coffey氏はこう述べています。

薬物中毒試験におけるげっ歯類のモチベーションより理解することで、研究者は、人々のためにより効果的な治療法を見出すかもしれません。 さらにDeepSqueakは、うつ病、不安症、パーキンソン病の動物モデルの研究にも使用できるとのこと。

実験に使用されるラットたちの感情を、ディープラーニングで理解することが、私達の寿命を延ばすことに繋がるのですね。

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