「人間の目の解像度」を謳うVRヘッドセットVarjo VR-1が見せる未来は明るい(正面を見れば)

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「人間の目の解像度」を謳うVRヘッドセットVarjo VR-1が見せる未来は明るい(正面を見れば)
Image: Alex Cranz/Gizmodo US

VRの未来が一気に楽しみになりました。

VRにはまだまだ改善される点はたくさんありますが、米GizmodoのAlex Cranz記者がハンズオンで体験したVRヘッドセット「Varjo VR-1」は、解像度が高くなればVRは一気に楽しくなる可能性を見せてくれたようです。66万円ほどするコンテンツ開発者向けのプロ機体となっているものの、VRの将来を覗けたようですよ。以下、Cranz記者です。


VRはまだまだ初期段階から脱してはいません。言ってみればカラー放送前のテレビ、パーソナルになる前のコンピューターに近いでしょう。あまりにもたくさんのヘッドセット(とダンボール製の箱)がたくさん市場に出ているので、そのことを忘れてしまいそうになります。しかしVarjoによるVR-1を試してみると「ああ、VRはまだ今後成長する技術なのだな」と思わされました。シャープなデザインのVR-1は、一般ユーザーが将来プレイするためのコンテンツ開発用の、プロ向けヘッドセットとなっています。ここまで高画素な映像を楽しませてくれるのは、VRとしては初めてのものです。

Varjoとは

Varjoという名前は聞き慣れないかもしれません。とにかく存在する中では最高のVRヘッドセットを作る、という目標を掲げたフィンランドのスタートアップです。彼らのもともとの計画ではカメラも装着したVRヘッドセットにして、ARヘッドセットとしても機能するというプロダクトを想定していたようです。VR-1にはカメラは付いていませんが、そのためのモジュールは今年中にリリース予定となっています。というのも、企業向けにこのテクノロジーを披露し始めた時に分かったのは顧客は現時点ではARではなく高画素を求めているということだったのです。そのためVarjoは「人間の目の画素数を持った」VRヘッドセットを作ることに主眼を置いたというわけ。「人間の目の解像度」はもちろんPR用の表現ですが、要は人間の目ではこれ以上見分けられないほど小さく密度の高いピクセルをディスプレイに表示しているということ。

VRヘッドセットの弱点:ピクセルが目立つ

VRヘッドセットは言ってみれば拡大鏡が付いたディスプレイのようなものです。頭に装着して、焦点が合えば、3D空間の視覚体験を与えてくれます。しかしこの拡大要素が仇となって、ディスプレイのすべてのピクセルもまた目立ってしまいます。テレビ画面に鼻をくっつけるように近づいて見るのと似ています。

Varjo VR-1は超高精細

Varjoはスーパー高解像度のBionic Displayを用いることで、この現象を軽減しています。Bionic Displayはハイブリッドなディスプレイです。まず外側のディスプレイは片目につき1400 x 1600のAMOLEDディスプレイ、これはHTC Vive Proと同じものです。

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ヘッドセットとボックス。ケーブルはボックスに差し込まれ、ボックスはUSB-Cでコンピューターとつながります
Image: Alex Cranz/Gizmodo US


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ヘッドセット側のボックス
Image: Alex Cranz/Gizmodo US


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ボックスの逆側。2つのUSB-Cケーブルが差し込まれます
Image: Alex Cranz/Gizmodo US


このAMOLEDも非常に高画質ですが、一番の売り文句は中央のディスプレイです。1インチあたりのピクセル数なんと3000という1920 x 1080 microLEDディスプレイとなっています。3000PPI…これはまさに別次元です。このディスプレイはVarjoによるとSonyなどの会社が開発する高級テレビ放送用カメラのビューファインダーに使われるものと同じディスプレイとのこと。

完全にピクセルが見えなくなる、というわけではありませんが、これまで試したヘッドセットのどれよりも小さいピクセルになっていることは間違いありません。そしてVRの未来を想像させてくれる、ハッと驚く世界を見せてくれました。粗いピクセルが消えることで、VRコンテンツはよりリアルに見える。ギザギザな縁だったり、文字がボヤけるといったことはありません。全てがクリアーでくっきりしており、まるで高級4Kテレビでプレイするビデオゲームのような感覚です。

「人間の目の解像度」の意味

PPIだけでなく、Varjo VR-1のBionic Displayは「角度あたりの画素密度」であるPPDで考えても60と高い数字となっており、「人間の目の解像度」という宣伝文句はここから来ています。ディスプレイを見る場合の距離を考慮に入れた場合のピクセル(画素数)の密度がPPDとなっており、その計算方法は「2dr tan(0.5°)」。dが視距離、rがディスプレイの画素数です(計算をしてくれるサイトもあります)。10インチ(約25センチ)の距離で見たiPhone XSの場合PPDは82.6、4フィート(約122センチ)の距離で見た4KテレビのPPDは55.7となっていますが、これが距離が5フィートとなるとPPDは67.5になる、といった具合です。

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Image: Alex Cranz/Gizmodo US

2.0の視力を持った人間の目であれば、PPDが60を超えると、区別がつかなくなります。そのためVR-1の60PPDはピクセルが見えない状態と言えるでしょう。ディスプレイを見ているんだな、と常に思わされることがないわけです。

VRの未来を感じるも、あくまでプロ向け

実際に試してみた感想としては、まるで魔法のような仕上がり!とまでは感じませんでした。中央に極めて高解像度な映像があり、その外側の左右に(中央と比べると)解像度が低いディスプレイがあるという状況です。これは気が散る原因になりました。

また体験デモの間でも、二種類のディスプレイが映像を異なるように写してしまうことが複数回ありました。Varjoの担当者の説明によると、使われたコンテンツが対象としている解像度が低いためとのことでした。HTV Vive Proやそれよりも低い解像度のディスプレイで使われるためのコンテンツだったというわけです。その結果、高いPPIを持った中央ディスプレイですとサイドのディスプレイの連携という点でのプログラム上の欠点が明らかになりました。車を使ったデモでは、反射された映像は2つのディスプレイでは根本的に違うものに見えました。フライトシュミレーターでは外側のディスプレイでは通常通り現れた夜空の星も、中央の高解像度ディスプレイでは消えてしまいました。

しかし、Unityを使ったデモでやっと、欠陥のない体験ができました。Unityはこのレベルの高解像度に対応しているため、星や反射も両方のディスプレイで見えることができました。

下はVarjoによるスクリーンショットです。Varjo VR-1とVive Proで同じコンテンツをプレイしたものになっています。ちょうどVarjo VR-1の中央ディスプレイと両サイドのディスプレイの違いがこんな具合でした。

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Image: Varjo via Gizmodo US


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Image: Varjo via Gizmodo US


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Image: Varjo via Gizmodo US


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Image: Varjo via Gizmodo US


そうなんです、視界に入っている映像の間でこれくらい違いが生まれるんです。

でも、この違いはそれほど気になりませんでした。そしてVarjoがターゲットとしているのがデザイナー、エンジニア、VRコンテンツプロデューサー、であることを考えるとこのことも理に適います。現存する最高の画像を提供することを目的とした、あくまでも参照用のディスプレイなわけであります。これを使って開発することで、将来的に高解像度が必要になった時にでもコンテンツをまた全て設定し直す必要がないと。では一般ユーザーがどのレベルの画質でプレイするのか、を確認するためにはプロデューサーは両サイドのディスプレイを見れば良いわけです。そして目の前には将来的に達成されるだろう高解像度の世界が確認できると。

ビデオ編集者が300万円もするディスプレイで「理想の状態」を作り出した後に、脇に設置した4Kテレビで一般視聴者がどのような映像を見るかを確認するのに似ています。

それを考えると、Varjo VR-1の値段も少しだけ許せるものに思えてきます。小売価格は6000ドル(約66万円)ほど、これに加えて年間ライセンス料を995ドル払う必要があります。値段を聞いて目玉が飛び出した私でしたが、担当者はこのヘッドセットは一般ユーザー向けではないことを強調していました。我々のような一般ユーザーが使うコンテンツをデザインするプロのための物なわけです。「理想の状態」を参照するためのモニターであって、4Kテレビではないと。

しかし今後技術がこんな具合に進化していくのか、と想像させられ、ワクワクする体験でした。いつの日か、値段が下がれば一般ユーザーもVarjo VR-1のような高画質のヘッドセットでプレイできるようになるかもしれません。VR-1のおかげで、VRの今後が楽しみになったことは各日です。良いディスプレイが、VRに大きな革命を生むことが分かりました。

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