魚雷の神とともに沈んだ米空母ホーネット見つかる。伝説の日本本土初空襲の空母

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魚雷の神とともに沈んだ米空母ホーネット見つかる。伝説の日本本土初空襲の空母
日本軍の九九艦爆に急降下爆撃を受ける空母ホーネット(1942年10月26日早朝) Image: 米海軍 via Wikipedia

魚雷神、村田重治の骨も眠っているのでしょうか…。

日本本土初空襲の母艦ホーネット。南太平洋海戦で燃えたまま撃沈した伝説の艦が、77年の時を経て1月20日、ソロモン諸島の沖合い水深5400mの海底で発見されました。見つけたのは故ポール・アレンMicrosoft共同創業者の資産運用会社Vulcanの調査船Petrelです。

伝説のドゥーリトル空襲(日本本土初空襲)

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USSホーネット(1941年10月)
Image: 米海軍 via Wikipedia

ホーネットは真珠湾攻撃の報復を大統領にも内緒で遂行した戦績で知られます。日本にとっては悪夢の戦果ですが、よくもまあ、やったもんだと呆れるほどの無謀な作戦でした。

まず、空母発艦は米軍全員、未経験。着艦はムリなので、サンフランシスコ湾の基地で戦闘機をクレーンで空母に積んでアメリカを出て、日本爆撃後、中国に全員パラシュート着陸するというアクロバットなことをやったんです。飛行隊も乗組員も攻撃目標を知らされたのは出港してからでした。

沖合で巡航艦と駆逐艦が合流すると、すべての艦に向けて通信が送られた。「この艦隊の目的地は東京である」。5000人の兵士が上げる歓声が、暮れゆく太平洋の空に響き渡った。 ーナショナルジオグラフィック

指揮官は航空隊のエース、ジミー・ドゥーリトル中佐。UCバークレイ卒MIT博士号取得の頭脳明晰にして大胆不敵な彼がまず大揺れの看板から「シーソーのように」浮力をつけて空に飛び(予定より早く日本軍に検知されたので予定発艦地点より300km以上も手前の大荒れの海で急きょ)、残る15機も決死の覚悟で飛びました。

航行距離を稼ぐことを最優先に通信機器などは一切積んでいなかったため、日本では攻撃目標を間違えて、手を振る児童らの校庭を誤射するなどの失態を演じ、軍事拠点に思うような打撃は与えられませんでしたが、それまでぱったり途絶えていた暗号通信が蜂の巣をつついたように交わされたことで1割だった暗号解読が9割方進み、これが1か月後のミッドウェー海戦の戦果(日本の大型空母4隻を待ち伏せて撃沈)へとつながります。

トゥーリトル急襲の空母の正体は1年間機密として伏せられたため、日本軍はそんな武功艦とも知らず、ミッドウェー海戦を経て南太平洋海戦でこれを襲い、沈めました。

探査方法

探査の模様はCBS Newsが密着取材し、発見時の映像を公開しています。調査隊は沈没地点上空にドローンを飛ばして超音波のソナーでしらみつぶしに調べ、サイズがぴったり合致する物体を探知後、海にROV(遠隔操作機)を投入。何時間もかけて光が一切届かない海底まで進み、沈没船の船体に当該ホーネットの目印である「CV8(Carrier Vessel 8=空母8)」の文字を確認しました。

中の写真を見てみましょう。

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5インチ砲
Image: R/V Petrel via CBS News
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Image: R/V Petrel via CBS News
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船体の砲弾痕
Image: R/V Petrel via CBS News
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海底に鎮座する農機製造元International Harvesterのトラクター。これで機体をけん引した
Image: R/V Petrel via CBS News

同行取材のCBSはさっそく南太平洋海戦の退役軍人Richard Nowatzkiさん(95)に見つかった空母の写真を見せました。

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見つかった空母ホーネットを見つめる退役軍人(当時18歳)
Image: CBS News

「間違いない、自分が担当していた砲台です。うわあ…」とNowatzkiさんはびっくり。「ロッカーに45ドルあるので見つかったら、もらっていいです」と冗談を言って笑わせ、「自分は長生きできたけど本当にたくさんの仲間が死んだ(死者140名)。みな若かった。まさかこうして再び日の目を見る日がくるなんて思いませんでした。本当に光栄です」としみじみ語りました。

日本も南太平洋海戦ではエースの村田少佐をはじめ九七式艦攻、零戦、九九式艦爆の主力を多数失いました。同じ思いを抱える方は大勢いるのではないでしょうか…。

Sources: Paul Allen, CBS News, PANZER, ナショナルジオグラフィック

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