マイクロソフトの新MRヘッドセット「HoloLens 2」ハンズオン:課題と進化。一般の手にはいつ届くの?

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マイクロソフトの新MRヘッドセット「HoloLens 2」ハンズオン:課題と進化。一般の手にはいつ届くの?
Image: Alex Cranz (Gizmodo US)

興奮まだ覚めやらず。

先日行なわれたMicrosoft(マイクロソフト)のイベントでは、新MRヘッドセット「HoloLens 2」が発表されました。イベントの様子はSFの世界の到来を感じさせ、最初から最後までのめり込んでしまいました。バーチャルなピアノを弾く様がまだ脳裏に残ります。イベント直後の記事でもHoloLensは一般への投入を視野にいれたエコシステムづくりを構築しようとしているとされていましたが、その道のりはどうやら長そうです。

米GizmodoのAlex Cranz記者が実際にHoloLens 2をハンズオンしてきました。


Microsoftがやってくれましたね。

先日、やっとHoloLens 2を実際に触れる機会に恵まれました。アイウェアを生で装着して視線のトラッキングを簡単にキャリブレーションすると、すぐに部屋を歩き回りながら空間に浮かび上がるオブジェクトと触れ合えるようになりました。AR(拡張現実)の世界はあまりにも自然すぎました。

現実世界のソファの上に仮想のヘリコプターが飛び回り、手をのばすとヘリコプターが入っていた見えないボックスの境界線が現れ、ドラッグする要領で位置を動かしたり、手で広げて大きくしたり小さくしたりできます。ピンチやスウィッシュといった動作で回転させることもできました。このヘリコプターは実存しません。特殊な手袋もコントローラも必要ありません。 HoloLens 2は指をトラッキングすることでその動作を実現のものとしてくれます。これぞインタラクションです。ざっと体験して感じたのは、残念ながらHoloLensが一般の手に渡るのは、まだまだ先だなということです。

初代HoloLensは夢を具現化したものでした。発表以来Microsoftの開発者向け年次カンファレンス「Microsoft Build」では常にHoloLendsについて語られていましたし、コンピューティングの未来はすぐそこにある、ってな気にさせてくれました。Microsoftはユーザーにごっついゴーグルをかけさせて、モニタもデスクトップコンピュータもない世界へと導こうとしているかのようでありました。

そんな語りも単なる夢物語なのかなと、 2017年、コンシューマー向けに開発するするというあの約束はどうなったのか、米Gizmodoでもメッセージを送っていましたよね。どうもMicrosoftは夢の実現をわたしたちの自宅ではなくメーカーの工場や大企業でまず進めていきたいようです。2018年のBuildカンファレンスに出たとき、わたしはHoloLensのデモに数回参加しています。 そのときにもHoloLensは工場や重機の修理などというシーンで使うよう想定されていました。

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Image: Alex Cranz(Gizmodo US)
重量はバランスがとれているようだが後部にコンピュータとバッテリが入っている。充電はUSB-C。

そしてこないだのMobile World Congressで、 ついにMicrosoftはHoloLens 2を発表しました。 その発表における内容もまた、ほとんどがARヘッドセットがどんな場面で使用されているのかを紹介するものでしたが、その対象もまた大企業や工場でありました。見栄えのよくない特殊ツールも、工場でなら気になりません。ビジネスシーンではなりふりよりも実用性が優先されますから。新しい機能も大きな向上も加わり、HoloLensは大きく進化しました。

HoloLens 2を使用した実感

HoloLens 2は初代HoloLensよりも視野が広くなっており、Magic Leap Oneと肩を並べます。視野は拡張世界で人の目に見える空間の範囲のことです。初代HoloLensは30度×17.5度、Magic Leap Oneは40 度×30度。HoloLens 2は43度×29度。 平均的な人間の視野は220度。 HoloLens 2はいいとこいってます。VRの世界への窓口といったところです。AR(拡張現実)のオブジェクトを見るとき、視野が狭いと視野から飛び出した対象は欠けて見えてしまいます。

HoloLens 2の視野は拡張現実にしてはすごいもんです。Magic Leapは似たような視野を実現していますが、それはテクノロジーに感心した投資家が数十億というカネを注ぎ込んだからこそできたことでもあります。Microsoftはそれを別の面から実現しています。超高速で動くミラーにレーザーを照射して、反射レンズに光を拡散させて拡張現実のオブジェクトを生成しているのです。

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Image: Alex Cranz (Gizmodo US)

Microsoftは賢い技を使って初代HoloLensよりも広い視野を実現しながら、ハードウェアもコンパクトにしたためにヘッドセットの前面に多くのセンサーやカメラを詰め込めるようになっています(ヘッドセットのリア部分にはコンピュータとバッテリーを搭載)。ヘッドセットは結果的に快適になり、バランスがとれています。

手指と視線をトラッキングできるセンサーも多く採用することができました。コントローラーのないインタラクションは快適で、ARオブジェクトと自然なインタラクションができ、変なオブジェクトがわけもなく視界の真ん前にきてしまうとかいった不都合がなくなりました。

ただし、HoloLensはレーザーを使用しているため、(LEDディスプレイと比較すると)色のついた光の波長が非常に狭くなり問題が発生しやすくなります。メタメリズムと呼ばれる色条件の発生もその問題のひとつ。光の波長が狭くなればなるほど、同じ波長の色の受け取り方が異なってくる可能性が高くなります。 ミラーが光を反射する方法と相まって、メタメリズムによる色の問題はより大きくなっているように感じられました。見ているホログラムは残念ながらケバケバしくなってました。

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Image: Alex Cranz(Gizmodo US)
側面のでっぱりで音量を調節。 音声も聞こえる。

Microsoftの広報ディレクターのグレッグ・サリバンさんはソフトウェアは最新版でなく、色条件の問題を修正する必要があると、語ってくれました。これはARテクノロジー全般にいえることでもあります。現在、ヘッドセットの課題は、どのようにオブジェクトを生成するかでも、どのように生成されたオブジェクトとインタラクションするかでもなく、「どのように情報を表示するか」ということです。一般の人たちがふつうに身につけて歩き回れるくらいのサイズに落ち着くまで、ホログラムゴーグルのディスプレイテクノロジーにはやることがまだまだいっぱい残されているのです。

なぜまだ一般の手に入らないの?

それではなぜ一般用にはまだ使えないのでしょうか。HoloLens 2はまったく新しいコンピューティングを組み入れたデバイスです。オブジェクトとどうインタラクションするかはまさに難題となっています。デスクトップコンピュータにGUIが導入されるまで、長い道のりがありました。

でも、Microsoftは実質的に数年で拡張現実の世界でオブジェクトとインタラクションをとる方法をマスターしました。みんなには、 特にMagic Leapが抱えていたような問題の数々をHoloLens 2が解決していることに注目してもらいたいと思います。

わたしたちは残された課題について、よく考えてみる必要があります。ARは一般の平均的な人にとっては、その有用性が非常に限られているということ。料理するときにレシピを見たいからといって、コンピュータを見る代わりに大きなヘッドセットを装着するなんて考えられませんよね。知らない町での会合の待ち合わせに急ぐとき、こんな変なヘッドセットをつけながら町を歩くなら、道に迷ったほうがまだましじゃないですか? ARは一般の人にも有用である可能性はありますが、テクノロジーはまだそれを便利に使いこなせるところまで開発が行き届いていないのです。

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Image: Alex Cranz(Gizmodo US)
バイザー部分を上にあげて目を露出させることができる。人とのアイコンタクトも。

どうも初代のころのBluetoothヘッドセットを彷彿とさせるんですよね。変な機械を耳につけてる人が町を歩いているのを見たら、特殊な作業をする人なのか、ただの変な人なのか、ちょっと見分けがつきません。HoloLens 2も今つけて外を歩いたら、後ろ指さされるんじゃないかと思います。 AppleのAirPodsがBluetoothヘッドホンの世界でユビキタスの世界を実現しました。ARの世界では、現在AirPodsばりの存在感あるデバイスの出現を待っている状態といっていいでしょう。

HoloLens 2を実際に使ってみたところ、やはりもうちょっと待たなくてはならないなと確信できました。まだまだARは開発の初期段階。このことはMicrosoftのサリバンさんも認めています。AR企業はARの進化は近い将来いっきに大きく一歩前進すると期待しているようですが、 Microsoftはそれよりも小さな一歩を積み重ねた前進が必要と考えているようですよ。

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HoloLens 2—Overview, Features, and Specs | Microsoft HoloLens

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