Stadiaを待つ最大の障害にGoogleはどう立ち向かうのか?

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Stadiaを待つ最大の障害にGoogleはどう立ち向かうのか?
Image: Alex Cranz(Gizmodo US)

時代にはちょっとまだ早すぎる?

Google(グーグル)発のゲーミングプラットフォームとして発表されたStadiaは、現在世間の話題の的です。しかし、ゲームのストリーミングには常にとある問題が立ちはだかります。米GizmodoのAlex Cranz記者は、やはりStadiaでもそれが不安なようです。


インターネットに大きく依存しているゲームプラットフォームの最大の問題は、インターネットです。Google(グーグル)の新しいストリーミングゲームプラットフォーム、Stadia(スタディア)は、ユーザーに速いインターネット環境を要求していますが、それはかなりの問題です。「ゲームストリーミングで一番悩ませるのは、常にそこです」と、Moor Insights & Strategyの主任アナリスト、Pat Moorhead氏は言います。ラグがあってはゲームストリーミングサービスは成立しませんが、米国はラグだらけなのです。

発表会の会場でさえ、通信速度が遅いんですが…

サンフランシスコで行なわれた発表会。UbisoftのYves Guillemot氏やAMDのLisa Su氏などの著名人が座る席から数列後ろの席に座っていた私は、Stadiaについて記事を書くためにインターネットに接続しようと苦戦していました。部屋には数百人が集まっており、GDCのWi-Fiは劇的に遅くなっていました。自分のホットスポットに直接繋いでも、下りのスピードは1Mbpsに届くか届かないかといったところ。ネットが最も速い都市の一つで行なわれている、ネットに繋ぐのが当たり前のカンファレンスで、私はSlackのメッセージすら送れませんでした。これでは、Googleが言っていたようなゲームのストリーミングなんて夢のまた夢です。

ニューヨークにいる私の同僚ですらそれより少しマシな程度でした。下りは70Mbps出ていましたが、Googleは発表会のストリーミングすらマトモにできていません。ライブストリーミングが大抵そうなように、たまに映像が飛んだりコマ落ちしたりしていました。この発表は、Googleがいかにストリーミングで優れているかのデモンストレーションだったのに。

Googleの求める通信速度は米国の平均値以上

GoogleやGDCが抱えていた接続の問題は、米国そのものに比べれば大したことはありません。Akamaiによる2017年の「インターネットの現状」レポートによると、米国の一般家庭5世帯のうちわずか1世帯のみ、下り25MBpsのスピードでネットを利用しているそうです。米国の平均は18.7Mbpsです。「25Mbpsは米国の平均値より上なんです」と私に語ってくれたのは、AkamaiのNelson Rodriguez氏。

Googleが米Gizmodoに説明したところによると、Stadiaで4K画質のゲームを60fpsでプレイするには25Mbpsが必要になるそうです。つまり、5世帯のうちたった1世帯のみがStadiaの最適環境を持っていることになります。先日のキーノートでGoogleは、ゲームのダウンロードの待ち時間を笑いましたが、ローカルにゲームがあればラグなんて関係ないことを忘れていたようです。

さらに問題なのがオンライン対戦です。「Apex Legends」、「フォートナイト」、「ロケットリーグ」などのゲームは非常にポピュラーですが、ただでさえ遅いネット環境に悩まされています。ネットでの一瞬のラグは、特にこれらのゲームでは生死を分けます。しかし、「アサシンクリード・オデッセイ」などのシングルプレーヤーですらStadiaでは25Mbpsが必要になります。ということは、マルチプレーヤーに必要なデータ量も追加すると、それ以下のスピードではあっという間に帯域を使い切るでしょう。

ほとんどの人にとってStadiaは低画質になるかも

では、通信量が多すぎて、25Mbps以下のスピードしか出ない人はどうなるのでしょう? Google StadiaのPhil Harrison氏がKotakuに語ったところによれば、「帯域の小さい方には、解像度を下げて送信します」とのこと。では、米国の5世帯のうち4世帯では、ハナからStadiaは低画質ということです。

しかし、Rodriguez氏もMoorhead氏も、Googleの成功を楽観視しています。でも、それは安価で高速なインターネットを米国中で提供し始めるというわけではありません(Google Fiberを提供しているわずかな都市でもマトモにできていないわけですし)。二人が指摘しているのは、YouTubeを通して大量のビデオを配信するGoogleの能力です。Stadiaのストリーミングの問題を解決できる会社があるとすれば、YouTubeをビデオストリーミングの大手に仕立てたGoogleでしょう。

「MP4からVP9にすることで節約できた帯域は非常に大きかったのです」とMoorhead氏。VP9はGoogleがYouTubeのために開発したコーデックで、Stadiaプラットフォームのために似たような技術を開発するのではと同氏は見ています。ゲームのストリーミングとはつまるところ、ユーザーの入力にリアルタイムで反応できるくらいライブ映像を高速で配信するということです。YouTubeでできるなら、StadiaでもGoogleはやれるかもしれません。

まだ技術が追いついていない

しかし、帯域への懸念に対してGoogleの反応がうやむやなのを見ると、技術がそこまで来ていないと考えられます。代わりに現在のStadiaは、GeForce Nowと同レベルのサービスを提供しようとしています。こちらは2015年から開始しており、今ホテルでこの記事を書いている現在も問題が起きています。ゲームストリーミングの現状は総じて「まぁまぁ」なのです。インターネットがまだそこまで来ていないのですから。

インターネットの接続速度はバラつきが非常に多く、信頼性も低いのが現状ですが、Googleのそれに対する反応の悪さはガッカリもので、これはMoorhead氏やRodriguez氏にとっても懸念の対象です。ストリーミングサービスを発表しておきながら、メールやポッドキャストで突かれてようやく必要速度を公開するのでは遅すぎます。

これはアルゴリズムやAIで簡単に解決できる問題ではありません(もちろん助けにはなるでしょうが)。それに、この問題がある以上、Microsoft(マイクロソフト)やSony(ソニー)の次世代機のほうが魅力的にうつってしまいます。ネット環境の調子がいい時はゲームをストリーミングできて、悪い時はダウンロードしてプレイさせてくれるコンソールがあるのに、Stadiaを使おうとは思わないでしょう?

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