急激な進化。
Huawei(ファーウェイ)から光学5倍ズームレンズ搭載のP30 Proが発表されました。3倍ズームのP30と一緒に米GizmodoのSam Rutherford記者がハンズオンしてますので以下、どうぞ!
僕はもうずっと前から、誰か、どの会社でもいいから、スマホに強力ズームを付けて…!と願ってきました。いままでそんなものが見られたのは、2年前のMWCでOppoが出してた5倍ズーム付きのプロトタイプくらいでしたが、ついにHuaweiがやってくれました。光学5倍ズーム搭載のP30 Proが発表されたんです。
スマホでこれだけ強力なズームということは、17−88mmのレンズをポケットに入れてるようなものです。P30 Proのカメラでは、建物の高い尖塔のディテールを捉えたり、ビルの15階から街を歩く人をスナップしたりといったことが可能になります。これだけでも新作スマホとしては十分面白いんですが、P30 Proの面白さはこれだけじゃありません。
P30 Proも、ProなしのP30も、まったく新しいカメラを搭載していて、Huaweiいわく今までありえなかったくらい暗い場所でも撮影可能になったんです。

どんなスマホでも、そのカメラの心臓部にはセンサーと「ベイヤーフィルター」なるものがあります。ベイヤーフィルターには赤と緑と青のピクセルが並んでいて、カメラセンサーはそれを使って被写体から来る光の色を識別しています。でもP30・P30 Proでは、従来の緑のピクセルを黄色に置き換えているそうです。そしてHuaweiいわく黄色のピクセルは赤と緑の光両方を取り込むので、従来よりも全体で40%多くの光を取り込むことができるんですって。
センサーに届く光がより多ければ多いほど、できる写真はより明るくなります。P30 ProのISO感度は409600、P30でも204800と、いままではなんだったんだのレベルです。センサーサイズが違うので正確な比較はできないんですが、たとえばミラーレスカメラのNikon Z7のISO感度は102400で、P30 Proの4分の1です。
こうなると、ベイヤーフィルターの緑を黄色に変えるくらいでそこまでパフォーマンスが変わるんだったら、なんで他社もやらないのかと不思議に思われるかもしれません。主な理由は、いまどきのデジカメ内部の画像処理はすべて、赤・青・緑がベースになってしまってるからです。P30・P30 Proでは、緑から黄色に変更するために、センサーから画像プロセッサ、そして画像をRGBのディスプレイに表示するための処理まで作り直しの必要があったそうです。







でもP30とP30 Proのカメラのすごさはここにとどまりません。4000万画素のメインカメラと800万画素の5倍ズーム(P30では3倍)に加えて、風景撮影用の超広角レンズも用意しています。さらにP30 Proのスペシャルボーナスとして、ToF(タイム・オブ・フライト)方式の3Dカメラも搭載されています。これで距離を正確に測れるので、ポートレート撮影の完成度を高めることができるし、専用の計測アプリを使えば家具のサイズとかを測ることもできます。
さらにP30 Proの5倍ズームはデジタルズームと組み合わせて10倍ハイブリッドズームにもできるし、さらにデジタルズームを最大化すれば50倍にまで拡大できます。ここまで来ると見え方はガタガタしてきますが、それでも、道路の反対側にある建物の中のコンピュータに何が映ってるかわかるのはすごいというか、もはや恐怖すら感じます。Huaweiはあらゆるカメラ技術をP30 Proにぶちこんで、何がヒットするか見ている感じです。







ほかにもP30 Pro・P30はいまどきのフラッグシップスマホにふさわしい機能をとりそろえています。どちらも背面は美しいガラス、プロセッサはKirin 980でデュアルNPU(Neural Network Processing Unit)搭載。P30 Proのスクリーンは6.47インチの2340×1080のカーブした有機ELディスプレイ、バッテリーは巨大な4,200mAh、オンスクリーンの指紋リーダーや逆ワイヤレス充電といった最新ボーナス機能もあります。無印のP30のほうは、スクリーンは6.1インチでバッテリーは3,650mAhとなります。
あ、あとはカラバリもなかなかです。Amber Sunrise(赤)とかBreathing Crystal(淡い水色)、Aurora(水色)、Pearl White(白)といった、空にインスパイアされたっていうファンタジックな名前が付いていて、他にはないきれいなカラースキームです。でも地味でいいよという人には、ブラックもあります。
唯一P30にあってP30 Proにはない主要機能は、ヘッドホンジャックのみです。P30 Proにだけあるのは赤外線ブラスターで、これはSamsungでも何世代か前に搭載をやめた機能です。

Huaweiはセキュリティというか政治的というか、な事情でいろいろ騒がしかったりはするんですが、P30とP30 Proに詰まったテクノロジーには素直に感動してしまいます。
日本での公式な価格は未発表ですが、P30・P30 Proともに多分そう安くはないです。いちおうヨーロッパで発表されたプライスを共有しておくと、128GBモデルが999ユーロ(約12万5000円)、512GBモデルが1249ユーロ(約15万6000円)です(P30は799ユーロ:約10万円)。でもヨーロッパではガジェットの値段が高くなることが多いので、日本でのお値段はもうちょっと低いかも。とはいえ「安い」ことはないはず。