科学者たちはこうして「壁を通り抜けるレーザー」を作っている

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  • author Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岡本玄介
科学者たちはこうして「壁を通り抜けるレーザー」を作っている
Image: Yale University

まだ憧れの“透視”はできませんが。

壁を透かして見れるようになったわけではありませんが、科学者たちは、不透明な媒体を散乱することなく通過できる光線を作ろうとしています。

ペンキや皮膚を透過できるライトビーム

たとえば霧を通してヘッドライトを照らすと、その光のビームは散乱または反射して広がりますよね。ですが科学者たちはそうした拡散なしに、ビームを何かに通過させる必要があるときがあります。そこで、とある物理学者のチームが波の微調整に取り組んでおり、彼らは医療や通信などに応用すべく、光に白いペンキや人間の皮膚さえも通過させようと研究を重ねているのです。

イェール大学でこの研究の主任研究員を務める女性研究者、Hui Cao教授は米Gizmodoにこう話してくれました。

レーザーパルスを体組織の奥深くまで送りたい場合、我々は光が広がるのを防ぎ、より集中させることができます。

そして雲や霧を通してレーザーを送るためには、エネルギーが拡散することなく検出器に到達できるよう、ビームを集中させておきたいのです

計算とハイテクで収束ビームを届ける

研究者たちは長い間、電子のような粒子または光のビームを、どうやったら不透明な材料を通せるか疑問に思っていました。これらの材料は光が散乱したり反射するため、通常は反対側には透過することができません。しかしながら、最近の進歩によって、特別に調整されたビームを狙い通りの方法で進行させると、いくつかの波が打ち消し合ったり強め合ったりすることで、不透明材料を通してエネルギーを伝達することができることを示したのでした。

ですが、新しい論文の背後にいる研究者たちは、「材料の反対側に集束ビームを作りたい」と、ただすべての光を通す以上のことを望んでいました。

特別に調整されたビームを作成するには、最初に少し計算が必要でした。研究者たちは、不透明媒体(この場合は白い酸化亜鉛塗料で覆われたスライド)の簡易モデルを作成し、「推測、確認、修正」というプロセスを使用して波面の形状を計算しました。

彼女らは方程式を解いたあと、正しい波面を作り出すため空間光変調器と呼ばれるものを使って、塗料が塗られたスライドに照射し、普通のビームが作り出すよりも細い出力をうまく送り届けました。Nature Photonicsに掲載された論文によれば、媒体を通過した幅13マイクロメートルのランダム偏光は、直径21マイクロメートルの出力を生成しましたが、特別に生成された10マイクロメートルの光線は幅14マイクロメートルのスポットを生成したのでした。言い換えれば、カスタム光線は、白色塗料を通過した後でも比較的集中したままだったのでした。

いまは時間がかかるけどAIで加速できるはず

なんだか魔法のように思えるかもしれませんが、Cao教授は通過させたいそれぞれの材料に合わせて光線を特注で変える必要があると指摘しました、そしてそれには時間がかかるとも。

これを機械学習と組み合わせて、2~3の測定でシステムを素早く学習させ、それを使用して正しい波面を見つけるようにしたいと考えています。おそらく常に、特定のシステムに合わせて調整する必要があるでしょう。問題はどれだけ早くそれを出来るかどうかです

彼らはまた、媒体の反対側にさらに集中したビームを作ることを望んでいます。

この進歩により壁を通してレーザーを照射することが可能になりましたが、それは非常に特殊な種類の壁のみです。うまくいけば、透過できる壁のリストはすぐに増えるでしょう。特殊な状況なら使える不透明レンズみたいなイメージでしょうか。

Source: Yale University

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