ホホジロザメが生き長らえる理由は、半端ないDNA修復力

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ホホジロザメが生き長らえる理由は、半端ないDNA修復力
Image: (Terry Goss/Wikimedia Commons

フカヒレを食べたらその恩恵に与れるかも?

ホホジロザメは非常に恐ろしい生物と考えられています(意外と人間にとってはそうでもないのですが)。でも新しい研究によると、そのホホジロザメの遺伝子は素晴らしい進化を遂げてきたのだそうです。

科学者たちは初めて、ホホジロザメのゲノムを完全に紐解いたと話しています。これによって、がんやその他の加齢性疾患予防になぜサメが優れているのかを理解するのに役立ちそうなんですって。もっと研究が進めば、これがいつの日か、人間にとって有益になるかもしれないのです。

複数の機関による共同研究

月曜日に米国科学アカデミーの議事録に発表されたこの研究は、モントレーベイ水族館、コーネル大学獣医学部、そしてノヴァ・サウスイースタン大学(NSU)の鮫調査センターを含む、多くの機関の研究者の共同研究で行なわれました。

彼らは、ホホジロザメのゲノムを解読した後、それを人間を含む多種多様な動物のゲノムと比較したとのことです。

身体だけでなく遺伝子も大きかった

ちなみに最大級のメス鮫は体長4.5mで、重量は2267kgですが、彼らはホホジロザメが単に巨大なだけではなく、そのゲノムまでもが人間の約50%大きいことを発見しました。研究者らによれば、その中にはなぜそれほど耐久性があり、回復力が高いのかを説明できる遺伝子が含まれているとのことです。

その効力

ひとつには、ホホジロザメは回復を助けるたくさんのゲノムを持っていることがあります。怪我をした場合、細胞の損傷を治し、血が固まり新たな細胞が成長するのを促進してくれるのです。さらに、癌など内部から起こる病からも守ってくれる働きがあります。

ホホジロザメは大体70年ほど生きるのですが、長寿の動物は加齢に伴い、DNAにダメージを蓄積していき、細胞ががんやほかの加齢性疾患のリスクを高める突然変異を起こす可能性が高くなります。しかしホホジロザメは、細胞が制御できなくなるのを防ぐ、遺伝的安定性を備えた活性な遺伝子を持っているのです。

彼らが保有しているのは、ゲノム間を跳び回ることができるトランスポゾン(転移因子)という遺伝子。これは突然変異でがんなどの病気を引き起こすこともあるものの、長期間に渡り健康的な遺伝的多様性を促進することができます。ホホジロザメは特に、長鎖散在反復配列(LINEs)というトランスポゾンを多く持っているので、研究者たちはサメが自ら病気の副作用を緩衝させるよう進化してきたものと信じるようになりました。

コーネル大学の進化生物学者であるマイケル・スタンホープ氏は、声明文でこうコメントしています。

これらのLINEsは、DNA二本鎖切断を引き起こすことでゲノムの不安定性を引き起こすことが知られています。

もっともらしく言うと、ホホジロザメのゲノムにおけるLINEsの増殖は、効率的なDNA修復メカニズムの進化の強力な選択剤となる可能性があり、非常に多くのゲノム安定性遺伝子の正の選択と濃縮に反映されていると考えられます

人間への応用に期待

サメは一般的な考えに反して、がんに対して完全な免疫があるわけではありません。しかし調査結果は加齢に関連した病を防ぐため、非常に良く適していることが確認されることとなりました。そして、ホホジロザメの完全な遺伝的地図が入手可能になれば、科学者はその遺伝子がサメたちが癌からいかにして護られているのかを正確に解明することができるでしょう。その知識がいつか人間にも役立つかもしれないのです。

ノヴァ・サウスイースタン大学のMahmood Shivji博士は、声明文でこう話しています。

ゲノムの不安定性は、多くの深刻な人間の病気において非常に重要な問題です。たとえば潜在的にガンや加齢からくる病気と戦う情報など、まだまだこうした驚きの進化から学ぶことはたくさんあります。

そして動物たちがいかにして行っているかを明かし、人間の創傷治療へと応用させたいのです

著者らによると、この研究はまた絶滅の危機から少しずつ回復しつつあるホホジロザメの保護にも役立つだろうといわれています。人間の治療や長寿のためにも、この研究は頑張って頂きたいですね。

Source: PNAS via NSU, NATIONAL GEOGRAPHIC, LIVE SCIENCE, PHYS ORG

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