命名、菩薩サウンド。
ドイツの音響メーカーUltrasone(ウルトラゾーン)のヘッドフォンといえば、とかくハイエンド。2013年のNHK紅白歌合戦で、サカナクションの山口一郎さんがSignature DJというモデルを使っていたのがプチ話題となりましたが、そこでUltrasoneの名を知ったという方もいるのでは?
今回新たに発表されたのは、最高級ラインであるEditionシリーズのフラッグシップ「Edition 15」を密閉型に改良した「Edition 15 Veritas」。そのお値段、税込み39万9980円。40万のヘッドフォンですぜ、ひえぇ……。

ここの最上位シリーズですね。宇多田ヒカルが「Goodbye Happiness」のPVでEdition 8を使っていたり、公式サイトによるとSUGIZOさんやアクセル・ローズも愛用しているとか。


なんかもう、触っただけで気持ち良い。カチっと組まれたヒンジ部分や、ヘッドバンドとイヤパッドを覆うシープスキンレザーなど、細部に至るまでメイドインジャーマニーの丁寧な仕事が感じられます。


ハウジングフレームには、これまた手触りの良いアメリカンチェリーウッドを使用。レーザー刻印された彫刻がグレコのギターみたいです。え、ゼマティスだろうって?

付け心地もうっとり。極上のキングサイズベッドにごろんしてる感覚、あるいはめっちゃ高い座布団に座ってる感じ。
さてそのサウンドですが、耳がですね、窮屈じゃあないんです。面じゃなくて立体で音が感じられて、耳の周囲の空間に余裕が感じられます。この圧倒的なまでの心地よさ、決して40万という値段の魔力にヤられているせいじゃあないッ。
……いやこれほんとにすごいですよ。試聴しながらこの文章を書いてるんですけど、空間感がすっごい。耳がまるごとスピーカーになったような感じで、耳という端末レベルではなく空間で音楽を感じられる。ただ音を出すだけでは決して味わえない感覚、音が耳を包み込もうとする。まさに菩薩のごとき包容力、菩薩サウンド。

その空間感の秘密は、S-LogicというUltrasoneならではの独自機構にあり。一般的なヘッドフォンは音がダイレクトに鼓膜に届きますが、S-Logicは音を耳介(耳の外に出てる部分)に当てて反射することで、自然な響きとハンパじゃない定位感を実現してるそうです。

イヤパッドを外すとよくわかります。スピーカーと耳の間にけっこうな空間があって、かつスピーカーの出口も漏斗型のような立体加工になっていますね。これが普通のヘッドフォンとは一味も百味も違うの音空間を作っているのですな。つまり、かたちからして普通のヘッドフォンと違う。そりゃあ出音も違うわ。
奥に見えるドライバーもすごいですよ。振動板の中央ドーム部をチタンコーティング、周辺部はゴールドコーティングした40mm径ダイアフラムを採用。元となった「Edition 15」にも同じドライバーが採用されていますが、密閉型に最適化したとのこと。

スペックだけでイメージできないのが音モノの常、ヘッドフォンの宿命みたいなとこありますけど、これで40万って言われたら「あぁ、わかるわ」と、そんな納得みすらあるほど良い音でした。なんならS1Rより安いんでしょとか言い出したら金銭感覚おかしくなってる証拠だな?
40万のイヤフォンもありますよ

もう1つ、新しいイヤフォンも発表されました。静電型ツイーターを採用したハイエンドモデル「SAPHIRE(サファイヤ)」。お値段はこちらも税込み39万9980円。バランスケーブルで聞いた時の高音のキラキラ感たるや、まさに宝石の煌き。笑っちゃうほど良い音とか美味しい料理ってあるじゃないですか。それです。

UltrasoneのCEO、Michael Willbergさん。ザ・紳士という佇まいに「あぁこの人が推すヘッドフォンなら間違いないな」的な信頼感もあったり。

極上の体験を放つ「Edition 15 Veritas」と「SAPHIRE」は、ともに2019年4月発売。価格的には完全にオーディオマニアの世界ですけど、あのサウンドが40万って言われたらなんか納得だもんなぁ。後味が良い音だもん。
Source: Ultrasone