雇われた人たちが聞いています。
Bloombergの記事にて、何千人ものAmazon(アマゾン)従業員が給料を貰って、スマートスピーカーAlexaによって録音された顧客の自宅や職場の音声を聞いていることが伝えられました。
とはいえ、ユーザーたちはそんなに驚くことではないのかもしれません。なぜならジェフ・ベゾスCEOは、もう何年も我々にそうなることを話してきたから、です。
人間が内容を分析している
Bloombergは、「Alexaを人力で解析する助人たちは毎日1,000もの音源を精査し、音声認識の機能向上に貢献している」と書いています。ちなみにApple(アップル)もGoogle(グーグル)も、彼らの音声アシスタントに同様の人力プログラムを用意しているとのこと。Alexaが録音した内容は、平凡なものから親密なものまでありますが、中には犯罪につながるようなものも聞こえてくることがある、と従業員が話しているそうです。
Alexaに関するお問い合わせページでは、Alexaが録音した顧客の日常会話を使って、システムを精錬している旨が何となく仄めかされています。
さて、ここでこれまでにベゾスが話してきたことを見てみましょう。
2000年
お客さまの声は聞くべきだ、それに耳を傾けない会社は失敗する
ベゾスはこの年、TVジャーナリスト、チャーリー・ローズのインタヴューに、監視についての情熱を匂わせていました。
2009年
お客さまの声は聞くべきだ
これは靴の通販サイト、ザッポスに映像で寄せたメッセージの中で話していた言葉です。ですが続けて、こう話しています。
だが彼らはすべてを教えてくれない
2010年
お客さまの声は聞くべきだ。だが単純に聞くだけではいけない。彼らに代わって発明するのだ
これは2010年に株主に宛てて書かれた手紙の中にある言葉です。誰かがAmazonはそれに失敗していると非難したようなのです。なお2014年に書いた手紙(※)には、「顧客は誰もEchoを求めていない」と綴られています。
※原文ではAmazon.comへのリンクが貼られていましたが、リンク先が削除されたのか、現在はトップページに飛ばされるようになっています。
2018年
聞くべきだ
去年のこと、作家のマイケル・ルイス氏と対談したとき、ベゾスがどのように批判に対応しているのかと尋ねられて出た答えがコレでした。この返答は個人的に大きな安らぎと安堵感をもたらしました。
2019年
Amazonのウェブ・サービスで作り上げてきたものの多くが、顧客の意見を基にしている
これは先日、4月11日に株主に書いた手紙(※)にある言葉で、Amazonのウェブサイトと、Amazonのディストピア的な顔認証ソフトウェアを支える、クラウド・コンピューティング・サービスを指しています。
※原文ではAmazon.comへのリンクが貼られていましたが、リンク先が削除されたのか、現在はトップページに飛ばされるようになっています。
少しのミスも許されない
AmazonはBloombergのメール取材に対して、「社内のテクニカルかつオペレーショナルな保護を厳重にしている」、そして「極めて少数のサンプル」のみが人力で精査されている、と強調したそうです。ですが1億台以上のAlexa搭載機器からは膨大なデータが収集されるため、滅多にないような手違いが大問題を引き起こしかねません。
昨年のこと、Alexaが勘違いで夫婦の会話を録音し第三者に送ってしまう事件や、Amazonに自分のデータを求めたら、送られてきたのはまったく知らない人の音声データだったという怖い話がありました。これらは極端な例かもしれませんが、誰にでも起こり得る出来事でもあると思います。
ベゾスは何かにつけて、「お客さまの声は聞くべきだ」と言ってきました。でもそうした個人的な音声データが絶対に流出しないとか、精査する人員が何らかのミスを犯さないとは限りません。「人様に、めいわくかけるんじゃあ、ねえぞ。」ってことなのですが、Amazonは絶対にそれを守り通せるでしょうか?
Source: Bloomberg, amazon, CHARLIE ROSE, YouTube, vimeo