化粧を配信するという発想。
今年のCESでは、肌にリアルフォトショするハイテクコンシーラーが登場しましたが、その上をいくかもしれないハイテク美容ガジェットのコンセプトが明らかになりました。
手鏡のような見た目の「Élever」は、3Dテクノロジーに顔認証テクノロジー、そしてAIを搭載したメイクアッププリンター。SNSで見たメイクを指定すると、AIがそのメイクを画像分析して、ユーザーの顔に噴射してくれるという仕組み。これはコンセプトデザインにすぎませんが、実際に製品化されたら美容業界の在り方がガラリと変わることになるかもしれません。
今の時代、消費者がメイクをする際に参考にしているのは美容ブロガーやインフルエンサーなどが公開するメイクです。SNSがメイクトレンドの発信元となっており、そのトレンドは発信されれば瞬く間に世界中に広まります。そのため、美容業界は従来の製品開発サイクルではトレンドの展開の速さに追いつけず、それが消費者にとってフラストレーションになるという状況にあるとか。
しかしÉleverがあれば、メイクのトレンドが商品に反映されるまでのタイムラグにフラストレーションを感じることはありません。また新たにアイテムを買わずとも、消費者はSNSからリアルタイムでそのメイクを真似できるようになるとのこと。
このコンセプトデザインは、美容の未来を考えるために2年にわたって世界中でリサーチをしたロンドンのデザインコンサルティング会社Seymourpowell(シーモアパウエル)が打ち出したもの。メイクにおけるSNSの影響に着目した同社は美容業界の企業側やインフルエンサー、メイクアップアーティストに対してはÉleverを使って各々のメイクルックを配信するという新たな販売手法を提案しています。
現時点ではあくまでコンセプトデザインということですが、実現したら消費者だけでなく、美容業界の企業側やインフルエンサーたちにとっても革新的なアイテムとなりそうです。
化粧品メーカーなどからコスメをバーチャルに試せるARアプリが出てくるようになって久しいですが、顔認識テクノロジーについては何かと懸念がある中で、その技術を安心して活かせる分野は美容の世界なのかもしれません。
Source: Seymourpowell via Dezeen, YouTube