新しい望遠鏡技術のおかげで太陽系外惑星を直接“見る”ことが可能に

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  • author Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岡本玄介
新しい望遠鏡技術のおかげで太陽系外惑星を直接“見る”ことが可能に
Image: ESO/L. Calçada

“見る”といっても科学的にはちょっと意味合いが違うようです。

ヨーロッパ南天天文台がチリに建設した超巨大望遠鏡「Very Large Telescope(VLT)」のおかげで、科学者たちが太陽系外惑星をダイレクトに観測できるようになりました。

光学干渉法を用いた新しい観測法

VLTは単なるレンズと鏡の集まりではなく、高度な電磁放射検知器です。非常に遠くにある物体を観測するのに伴う多くの課題を乗り越えるためにデザインされています。太陽系外惑星は自身がその周りを周回している星々よりも圧倒的に暗く観測も難しいのですが、GRAVITYという装置を用いた光学干渉法による新しい観測法がもうひとつの重要なツールになっています。この観測法では、軌道を回っている星からの光を太陽系外惑星がどのように変化させるのかに基づくのではなく、太陽系外惑星から届く光を直接観測できるのです。

若い木星型の惑星「HR 8799e」を観測

この研究のリーダーで、フランス国立科学研究センターのパリ天文台に勤める科学者Sylvestre Lacour氏はこう話してくれました。

これは我々にとって技術的な成果です。これまで誰も成し得なかったことをやってのけたのです

科学者たちは、太陽系から129光年にある明るい恒星「かじき座γ型変光星(HR 8799」の周りを公転する、若い木星型の惑星「HR 8799e」を観測しました。これは新発見ではありませんが、初めて光学干渉法を使って見ることができた太陽系外惑星となりました。その結果は、Astronomy&Astrophysicsにて報告されています。

Video: European Southern Observatory (ESO)/YouTube

仕組み

遠く離れた星の微かな光を4基のVLTとGRAVITYという装置を用いて直接とらえる
Video: European Southern Observatory (ESO)/YouTube

光学干渉法は、ブラックホールを観測するために使うような、電波望遠鏡を用いた干渉法と似たもの。科学者たちはチリにて口径8.2mの望遠鏡4台が並ぶVLTを使い、可視光を観測します。まるで中央のカメラに光を集めるための、大きな鏡を建てたような感じですが、鏡が光を反射するのではなく、GRAVITYを利用して物理的に4台の望遠鏡から光を集めるのです。

それは電波天文学では一般的な道具ですが、光学的に可視光線を計測することが、より多くの情報を与えてくれます。

これについて、Lacour氏はこうコメントしています。

この観測は、惑星の位置のさらなる正確な計測をもたらします。そして惑星のスペクトルについて、より詳しい知識をもたらすのです

つまり惑星から放出される光の色で、惑星の大気にどんな物質があるのかを決定付けることができるのだそうです。

計算と違う結果を得た

その結果は驚くべきものでした。「HR 8799e」は、メタンよりも一酸化炭素のほうが多かったのです。これは科学的な計算とは違い、予想しなかった結果だったのです。

Lacour氏いわく、おそらく惑星で縦に吹く風がメタンの化学反応を阻んでいるのでは? とのこと。

直接“見る”といっても……

捕捉ですが、この方法では綺麗な画像を撮像できないのと同じく、これで私たちが惑星からの光を直接撮像できるってことではなく、数学的に変換されたデータが得られるのみなのだそうです。Lacour氏は、「お見せ出来るほど綺麗ではありません」と話しています。加えて、「HR 8799e」は木星型の惑星なので生命の印などなさそうなものの、私たちはまだそこに生命体や、惑星の大気を変えるほどの生命反応を見つけられる技術を持っていないのが現状です。

チームにとってはVLTは凄い望遠鏡ですが…いつか一般人の我々にもわかりやすいよう、そうした生命体を見つけられるほど高精度の望遠鏡が作られたら良いですね。

Source: YouTube, Astronomy&Astrophysics
Reference: Wikipedia (1, 2, 3)

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