常備薬ならぬ常備シンセがあるとしたら、こういう系。
コンパクトな楽器は、良いものです。電卓シンセでおなじみPocket Operator(POシリーズ)や、KORGのvolca、RolandのBoutique、あるいはスタイロフォンなど。最近だとErektronも小さなサンプラーをリリースしました。僕もこの前「hapiNES」というちっちゃい4トラックシンセを買いまして、バリバリ遊んでます。

こうしたガジェット的シンセを作っているメーカーは世界中にいーっぱいあるんですけど、国内の個人シンセメーカーDigiLogTokyoが開発中の「Microne」もその1つ。今回、触らせてもらう機会があったので、ちょっとハンズオンしてみようと思います。これ、前から気になってたんですよ。
こんな小さいのに複数の音が鳴らせる珍しい子

カバンに常備したくなるコンパクトさでありながら、物理の鍵盤を持っているのが「Microne」の魅力。小さなシンセの多くは小型化のために鍵盤をはしょったりタッチ鍵盤にしてたりなんですけど、1オクターブながらしっかり物理の操作感を残してくれています。本体もカッコいいでしょ?
そして何より好きなところは、3和音が弾けちゃうというところ! 和音とはギターやピアノのように、同時に複数の音を鳴らすこと。メジャーやマイナーといった、和音特有のステキな響きを作れます。
シンセサイザーには単音しか鳴らせないモノシンセと、複数の音が同時に鳴らせるポリフォニックシンセがありますが、つまりMicroneはポリフォニックシンセ。このコンパクトさでポリは珍しいんですよ。
シンセは「弾きたくなっちゃう気持ち」をそそるかどうかが大事

機能の説明をしつつ弾きたくってきました(いろいろと語るより、音を聞いたほうが早いですよね)。
DigiLog Tokyoが開発中のシンセ「Microne」。手のひらサイズ、3ポリ、ディレイが楽しいのは言わずもがな、ボタン型鍵盤の操作性が演奏欲求にビンビン来ます。このサイズで和音が弾けるロマン、とっさの弾き語りも辞さない。#Microne#シンセpic.twitter.com/O9nP2CFPC2
— Tokino (@tokino09) February 9, 2019
ほーら楽しい。Sync inもあるから、volca beatsとかPO-12とかと連携させたらもう止まりませんぞ。スピーカーから出した音を録音してるんですけど、良い鳴りしてるでしょ?
#Microne Reverb pic.twitter.com/oLqeRRUy4f
— Shota Moriguchi パリピデストロイヤー クラウドファンディング中! (@5icksteen) 2019年1月10日
こちらは製作者の演奏。リバーブを噛ませてあるけど、このドリーミーな感じ超好き。これもまたポリフォニックならではのサウンドです。

オシレーターシンクをかければギュイーンとメタリックな倍音が楽しいし、LFOで揺らしても楽しいし、ディレイも楽しい。何より鍵盤の操作性、これがまたすこぶる良好! 押した感もパチっと深めで、押し心地の良さからつい弾きたくなっちゃう。ゲームコントローラーのボタンの感触が近いかな。POシリーズの電子工作っぽいボタンよりもグっと押し込めます。
楽器って、この「弾きたくなっちゃう」気持ちをそそるかどうかが大事だと思うのです。Microneの物理鍵盤や和音が弾ける要素は、僕にとっては完全にそそらせ要素。電池駆動だからどこでも動くし、この小ささでこの分厚いハーモニー、たまりません。
個人シンセメーカーの数は、情熱の数

電子楽器ってめっちゃ色々あるので「この機材のココが好き!」ってツボもさまざまです。僕は和音大好きマンゆえ、まるでピアノがポケットサイズになったようなMicroneにLOVEずっきゅんでした。作り手の「俺はこれがやりてぇんだ!」的な情熱や哲学が色濃く反映されるインディーズメーカーの場合、 製作者の指向性が自分の好みとガッツリ噛み合ったときのワクワクってハンパないんですよね。シンクロとでもいいますか。
世界中にあるガレージメーカーの数は、「こんな楽器が作りたいんだ!」という情熱の数。そいつらと好みが合致したときの喜びたるや、飲み屋でずっと話してられるわー的なわかりみがある。

電子楽器のトレンド、というかテクノロジーの進歩的にも、小さいのにパワフルっていう楽器はどんどん来る感じがしますね。あと、小型路線はスピーカー内蔵もセットでトレンドな気がする。Microneもスピーカーがあればなーとは思いましたけど、サイズ感変わっちゃうかなぁ。
DigiLogTokyoはほかにも色んなシンセを開発していて、最近は超小型ベースシンセ「パリピデストロイヤー」のクラウドファンディングを成功させました。こっちはスピーカーを搭載するかもという話ですし、このへんのフットワークの軽さも個人メーカーならではといったところでしょうか。
世界最小級アシッドベースマシン”パリピデストロイヤー”の適当シーケンス方法 (説明する気無し) pic.twitter.com/jlRVeUpgGy
— Shota Moriguchi パリピデストロイヤー クラウドファンディング中! (@5icksteen) 2019年1月19日
良いですなーこのサイズでこのブリブリ感。Microneもいつかクラウドファンディングを始めるそうですよ。座して待たれよッ。

というわけで、ガジェットシンセも和音も大好きな僕にとって、Microneは最高の楽器でした。こうして片手で持てて、それで和音も出せて。たまらねぇぜ。
Source: DigiLogTokyo, Twitter(1, 2)