建築業界の静かなる進化。iPadと昔ながらの工法でイノベーションを起こす

  • Mugendai
  • author 渡邊徹則
建築業界の静かなる進化。iPadと昔ながらの工法でイノベーションを起こす
建築(掘削?)中の洞窟風レストラン。
Image: Mugendai(無限大)

あらゆるところでイノベーション。

都心部では東京五輪などに向けた建設ラッシュが続いていますが、いかんせん建築の世界には難しいイメージがあり、素人には敷居の高さを感じます。しかしこの分野においても、テクノロジーを使ったイノベーションは確実に起きているのです。

IBMのWebメディアMugendai(無限大)にて、iPad3D技術などを活用した新しい建築の方法が紹介されていました。

「古さ」を表現するための新技術。建築は、つくり方から再発明すべし

インタビューに登場していたのは、建築家の石上純也さん。2018年、パリのカルティエ現代美術財団において大規模な個展を成功させたり、2000平米もの空間を、壁を一切つくらず細い支柱によって支える「KAIT工房」など、先進的な建築で知られます。

建築業界の静かなる進化。iPadと昔ながらの工法でイノベーションを起こす
神奈川工業大学のKAIT工房。柱のフォルムは1本ずつ異なります。
Image: Mugendai(無限大)

そんな石上さんが現在取り組んでいるのが、山口県宇部市内の洞窟型レストラン。クライアントからは、「ヨーロッパの古い街並みにある、何百年も続くレストラン」「CAVE状のワインセラー」といった、「古さ」を売りにした仕上がりをリクエストされたそうです。

その雰囲気を出すために石上さんが行ったのが、自然の地形に手を加えること。形状は模型でデザインしつつも、「穴を掘る」という工程を加えることで「あえて自分たちのコントロールが利かない状態をつくった」といいます。石上さんは「新しいものをつくるときには、つくり方も同時に発明し直さないといけない」と語るなど、歴史ある建築の世界にも、新技術を積極的に導入しているのです。

そしてその実現のために利用したのが、iPadと3D技術。石上さんは、以下のように分かりやすく説明してくれています。

通常、建物をつくる場合には、掘削後、平らにならした地面にガイドラインとしての墨出し(工事の基準となる線を記すこと)を行い、躯体(骨組み)を立てていきます。分かりやすく説明すると、地面に直接、設計図が描けるということです。一方、このプロジェクトでは、地面を掘った穴にコンクリートを流し込み、躯体の型を取るという手法を用いたので、穴だらけで墨出しすることができませんでした。そのため、職人さんには各々iPadを手にしてもらい、模型を基に3Dデータ化された数値を頼りに、躯体となる場所をリアルタイムに光測量し掘削してもらったんです。作業自体は古代に回帰しているように見えるかもしれませんが、これは現代のテクノロジーを使わなければできないと思います。

建築業界の静かなる進化。iPadと昔ながらの工法でイノベーションを起こす
Image: Mugendai(無限大)

近代的な建築技術が広まり、「どの街に行っても同じような風景が広がる」ことを憂う石上さん。依頼を受けたモスクワ科学技術博物館では、外観にはほぼ手をつけず周囲を掘削して敷地全体をつくり変えるなど、オリジナリティを生かした建築にこだわりをみせます。

他にも、近代建築において絶対的な概念だった「機能性」からの脱却など、建築関係の方もイノベーション好きも楽しめるインタビューの続きは、Mugendai(無限大)よりどうぞ。

Source: Mugendai(無限大)

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